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死者の王

なんだか腑に落ちない戦いの後、俺達は旧ロブロイ王国へ向けて進んでいる。スノ-ドラゴンだった少女は、名前が無いと不便だし ”ゆきんこ” と呼ぶことにした。名前をもらった事ではしゃいでいる姿を見ているとドラゴンの面影なんかこれっぽっちもない。ホントどういう事か? 誰か説明をプリ-ズだ。


俺の鑑定でもその正体が見えない時点で、普通の少女ではない事は分かっているんだがね。皆が楽しそうにしているからとりあえずは棚上げだ。先ほどの旧パ-ㇺ王国でも生きている人間は発見できなかった・・・

どこかで もしかしたら?って希望的な気持ちがあったんだが、この状態では期待できないな。

しばらく進むと案の定、魔人と思われる人型と元住人と思われる魔物化した人々がまるで隊列を組む様にして待ち構えていたよ。


この魔人は見た目から間違いなく ”リッチ”だ。黒のロ-ブを身に着けているが身体に肉は無い。足は無いんだろうか?宙に浮いている。手にデカい鎌と指にリングが見えるから魔法も使う事が伺える。今までの死の軍団と違い統率がとれている事からこの魔人が操っていると見ていい。ぱっと見た目からこの程度の推測が出来たがそれだけでもないと思っていた方が良いかもしれないな。


先程から魔人を見たゆきんこが震えている。アズミに指示をしてゆきんこ共々後方へ下がらせた。

俺の考察は皆にも伝えてある。さぁ戦闘開始だ!


小手調べで、俺は ”隕石の雨(メテオシャワ-)”を放つ。 リッチは動揺するでもなく、自分を死の軍団に守らせた。使い捨ての駒の様に扱う姿に怒りを覚えた俺は リッチに斬りかかった。

届くと思われた攻撃は、リッチの手前で弾かれた。どうやら障壁を使ったようだ。これで間違いない 奴は魔法を使うんだな。数で押されることを考えたのか、精霊たちは遠距離で死の軍団に攻撃している。俺もそれが正解だと最初は考えていたんだ。だが、その考えは、次の瞬間否定された。


手足が吹き込んだ死の軍団の1人が魔人に吸収されたのだ。戦闘不能の状態にしても魔人の力が増すのなら消滅させないとマズい。そこで邪気を浄化する魔道具を使った攻撃に切り替えさせた。俺は、リッチをその場から遠ざけるために敢えて距離を詰めに行った。だがそれも予想されているかの様にリッチはうまく攻撃を躱して中々遠ざける事が出来なかった。こいつはお世辞抜きに強い!俺は身体強化を重ね掛けして神剣で斬りこんで行ったんだが、鎌で受け止める動作をしたところは見えたんだ。だがその鎌が神剣を透過して次の瞬間俺の右手首より先が 飛ばされた。なんだそれ? 落ちた手を素早く回収してくっつけながら冷や汗をかいた。あの鎌の能力なのか?めちゃくちゃ厄介じゃないか! 打ち合えるなら手はあるが、すり抜けるとなると接近戦が逆に不利になる。どの手が通用するかとにかく色々試すほかない。


俺は目くらましに ”氷の息吹(アイスブレス)”を放つと同時に 神剣から神気の斬撃を飛ばした。

リッチは魔法障壁で防ぎに来たが、魔法の後から飛ばした斬撃は 鎌で受けた。

よしっ! 物理はダメだが飛ばす斬撃なら受ける他ない様だ。それならと 俺は 斬撃を連続で放っていく。もちろんリッチに躱されるんだが、俺は怯むことなく同じ攻撃を繰り返す。少し苛立った様子のリッチがとうとう根負けしたのかこちらに斬りかかって来た。 かかった!


リッチが俺に向かって来た次の瞬間、リッチの頭上に巨大な魔法陣が浮かび上がる。ペルセポネに使用した


”遅延発動術式魔法 極” ”天上の審判(ジャッチメント)”が発動。


天から降り注ぐ浄化の光がリッチを包み込む。 此処が勝負処だ!!


”その者は願う。希望に満ちた明日を懇願する想いは神の意志となりて罪深き者に降りかかる”


神魔法 ”世界の意志(ワ-ルドマインド)


「死者を弄ぶお前のような奴は、俺は許さない。黙って浄化されとけ!」


低く響くような断末魔の後、リッチは浄化された。リッチが消えた事で死の軍団はバラバラに動き始めた。後は速やかに浄化しよう。皆と手分けして死者たちを無に帰した。


俺は死者を冒涜する行為は許さない。だから冥界神クトニウスは必ず倒す!


この後、魔人の姿は無かった。生きた住民を探しながら俺達は土地を浄化して回ったんだが


残念ながらここでも生存者の姿は発見できんなかったんだ。いったい何人犠牲が出れば良いんだよ・・


え⁈ ここで ゆきんこの身体が急に発光しだした。その光を浴びた俺は 意識を手放したんだ・・・

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