教皇国と総本部
聖都に向かいます
さて、次に向かう国なんだが、ユーピテル教皇国というんだ。ゼウス神を信仰する宗教国家だ。どこの国にも属さない戦争にも加担しない中立国って聞いている。ギルドの総本部があるのもそう言う理由からだろう。この国まで1週間程度の距離だったんだが、道中熱心な信者を見かけた。巡礼の為に教皇国に向かう人が沢山いたんだ。マリアが、興味深そうに見ていたよ。元々マリアのいたシ-ルズ教皇国に似た雰囲気を感じていたんだろうね。国境付近の街や村も巡礼者には優しく接していたからユ-ピテル教徒は嫌われてはいないのだろう。
中心部にある大聖堂のある街が聖都と呼ばれていて、そこに冒険者ギルドの総本部がある。国境を通過してから3日程の距離を今俺達は進んでいる。聖都までの道のりで立ち寄った街や村では宿泊施設が予約でいっぱいで宿は一度も取れなかった。まぁ予想してたから食料などは買い込んでたけどね。そんな道のりも聖都が見えたのでそろそろ終わりだ。
聖都への入門時、ギルドの人間が迎えに来ていた。どうも入国の際に聖都に連絡が入っていたようだ。
そのまま総本部まで案内してくれたよ。3F建の建物は、めちゃくちゃでかかった。1Fを素通りし、3Fの総本部長の部屋に案内された。
「ここまでよく来てくれました。私が総長の アヤメ・シルクレイブと言います。」
え?アヤメ?言語翻訳がおかしいのか?その黒髪の美人さんはそう名乗った。
「はじめまして。シゲル・アレフガルドです。・・」
「驚いた顔をしていますね。私は、異世界人と言われる者の末裔です。私の先祖がこの冒険者という仕組みと組織を作ったのですよ」
しれっととんでもない事言いましたね。この女性。という事は、ここにも過去に召喚された人間がいるんだな。俺達は、ここで1つ決断した。隠すことなく自分たちの事を話したんだ。それだけ信用できる人物だと思ったんだよ。俺達の話をキラキラした目で聞いているアヤメさんは、自分のル-ツに繋がるであろう話を興味深そうに自分から質問しながら聞いていた。一通り話を終えた俺達は、アヤメさんの実家に泊めてもらう事になる。
その日、アヤメさんの実家に案内された俺達は、更に詳しい事を聞いた。召喚されたのは、アヤメ・タカハシという女性だ。召喚当時 魔王という存在と人類が戦争していた。魔王の軍勢に苦境に立たされていた人類が勇者を召喚と。もう何百回も聞いたことある話だったよ。この時、召喚されたのは5名。残りの4人がどうしたのかは分からない。アヤメという名が代々引き継がれていて、歴代のギルド総長もアヤメさんらしいよ。俺は、現在戦っている冥界神の話もした。冒険者ギルドの助けも必要だと思ったからだ。アヤメさんは真面目な顔で協力を惜しまないと言ってくれたよ。世界の危機だからな。
で、闇ギルドの話なんだが、何故俺達がすぐに行動していないかと言うと地図には拠点となる場所、青い印が記されてなかったんだ。ただし赤い印はこの聖都。アヤメさんから教皇に連絡を取ってもらう事になり
明日の昼に大聖堂で会う事になっている。
翌日の昼~
俺達は、アヤメ総長と共に大聖堂を訪れていた。このメンバーの中でもマリアが一番楽しそうだ。
メリル枢機卿という方に案内され教皇の待つ広間に案内された。そこは、ゼウス神と思われる銅像が建つ聖域を思わせる空間だった。俺は、カトリック信仰ではないが、教会の雰囲気は好きだ。
「よく参られました。私が教皇のレネディクト16世です。」
「お時間を頂いてありがとうございます。私はシゲル・アレフガルドです」
そこで、なんと教皇が俺に跪いた。いったい何事?! とオロオロする俺に教皇が言った。
「神々の使徒にお会いできて光栄です。何なりとお申し付けください。」
俺は、教皇の手を取って立ってもらいどういう事か話を聞いたんだ。すると枕元に神々が立ちシゲルという者が尋ねて来た時に教会が力を貸しなさいとお告げがあったと言う。
・・・・神様 ありがたいけど 先に俺に言って欲しいわ。目上の人に跪かれるとか勘弁してくれ。
そこで俺は、現在 冥界神がこの大陸に何かをしている事。その手先である”闇の理解者”が邪神信仰者であり世界各国で騒ぎを起こしている事。そして今現在、聖都が目標になっている事などを説明し協力をお願いした。教皇はこの申し出に対し最大限の協力を約束してくれた。
この後俺達は、ギルド総本部に戻り対応を協議したんだが、正直 この聖都という場所は、奴らが隠れるのに一番都合のいい場所だ。教徒の格好をしていれば、疑われることなく入国できるしな。
もしかしたら教会内部にも邪神信仰者がいるかもしれない。 俺達は、良い手を考えられないまま数日がたったんだ・・




