やはり巻き込まれるのは避けられないようだ
出会いは必然的に・・
レムリナ王国に向かう道中、俺達は襲われている馬車を発見した。見るからに豪華な馬車なんだが護衛の姿が見えない。罠の可能性もあったが、それならそれでと考えて助けることを選択する。
襲っているのは、野盗に見えなくもないが、その動きは統率されていて訓練されている者のように思えた。
御者に「助太刀する!」と声を掛け 馬車と追手の間に入り込む。野盗たちは怯む様子も見せず俺達に向かって来た。出来るだけ殺さず情報が取りたかったんだが、途中からおかしなことになる。
「ぐっ 仕方あるまい・・」そうつぶやいた野盗の統率者の一声で 野党たちがおもむろに懐から何やら瓶を取り出し飲み干した。すると野党たちの姿が変化しだした。手足が浅黒くなりその太さも爆発的に大きくなる。おいおい これって・・・。そう、前に見たた邪神教の時と同じく人間が魔人もどきに変化するあれだ。
皆に注意するように声を掛け 討伐に頭を切り替える。この状態になった人間が元に戻ることは無い。
心配された強さはさほどでもなく、俺達は異形の者になった野盗達を退けた。死体を調べてみたが身分が確認できるものはない。この中には、刺青を入れた人間を見つけることは出来なかった。空になった瓶は回収した。またギルドで調べてもらう必要があるからな。この戦闘で、勇者たちも元野盗達を倒した。
普通の人間と違い抵抗感が薄れたんだろう。だが後のケアはしっかり行わないとな。
そして襲われていた馬車に声を掛ける。
「助かりました。ありがとうございます!」と御者。すると 馬車の中から1人の女性が侍女と思われる少女を連れて出てきた。
「姫様!お出になってわ!・・」って侍女さんが言うんだが・・・それ大きな声で言っちゃだめだよ。
「助けていただいたお礼は言わねばなりません!」と姫様?
どうやらよくあるやつですね。オリヴィエの時のや-つだ。
「いえ こちらも王都へ向かう途中に襲われているのを見かけたので・・・」
そこで詳しく話を聞くことになった。襲われていたのは予想通り、この国の姫。それも第一王女アナステラ様だ。護衛の姿が見えなかったのは、その護衛も襲っていた連中の一味だったようだ。城に居た時に、宰相から自身が狙われているとの話を聞いて その宰相の手配でサンピエ-ル王国に退避する事にした姫様たちだったがその道中で襲われたそうだ。うん。完全にその宰相が悪者だ。この後どうするか 姫達に確認したんだが・・・・
「私は許せません。まさか宰相に騙されるなんて! すぐに戻ってお父様に報告せねば!」
「いけません!姫様。国王様は、病に倒れておられます。今戻られてもお命の危険が!!」
なんてやり取りをしておられます。これどう考えても巻き込まれるよね?
「冒険者様!どうか 私を王都までお連れ下さい!報酬はいくらでも払います!」
「ふぅ。危険を承知で帰られるんですか?こう言っては何ですが 無謀ですよ。殺されに行くようなものです。」
「お父様もきっと宰相に何かされたのです!それに弟もあ奴に操られているのです!私が何とかしないと!」
う-ん。頭に血が上っているよね。少し冷静になってもらわないと。しかし このまま姫様たちを放置も出来ないしなぁ。そう考える俺の横で俺の仲間達は微笑んでる。
シゲルなら助けるよね?って感じだわ。まぁそりゃ助けますよ・・お人好しですから。
「わかりました。ただ俺の指示に従ってください。勝手な行動を取るなら置いていきます。」
そう言った俺は、姫達の馬車はそのままサンピエ-ル王国に向かわせた。念のためのカモフラ-ジュだ。
姫と侍女は俺達の馬車に乗せた。野盗たちの遺体は処分。姫達には 近くの街で着替えてもらった。
出来るだけ目立たないようにしたんだ。楽しそうに服を選んでる姿をみると普通の女性なんだけどな。
王都に着いた俺達の馬車は、中を見られることなく進むことができた。ここでも金級の力を発揮。
念のため 闇の精霊シェイドに幻影の魔法も掛けてもらってたんだが・・
俺達は まず宿をとった。動く前に情報収集する為だ。目立って動くわけにもいかないので 王都のギルドには 俺とシグルド、デニスの3人で向かった。他のメンバ-は姫の護衛だ。
レムリナ王国 ギルド本部~
「忙しいところ済まないが、ギルド長と話がしたい」
「しょ、少々お待ちください」
いつもこんな感じなんだが・・・・金級ってそんなに力があるんだろうか?
ギルド長室~
「お待たせしたかな?私がギルド長の イザ-ク・ベルフォンス・ルクレアだ。で今日は何用かね?」
「どうもシゲルと言います。突然 お呼び立てしてすみません。実は・・」
ここで今回 赴いた件を話す。サンピエ-ル王国のギルドからも連絡は入っていたようだ。姫の件は伝えていない。何処から情報が洩れるかわからないからな。ここで分かったのは、王が体調を崩したのは、ここ2,3か月の話らしい。突然倒れた王に代わり 宰相が王国の実権を握ろうとしていたんだが、それに第一王子サクロイドが反発。それに対しまだ年若い第三王子レブロイを宰相が担ぎ今の状態になっているらしい。第一王子には王の実弟でもあるザクレ-公爵が後ろ盾になっていて日々争いが激化しているそうだ。今の状態で王が亡くなると内戦が起こるのは確定的だ。その後 一度宿に戻りどう動くか考えていたんだが、姫が懇意にしているジョ-ダライト侯爵という人物に接触してみる事になったんだ・・・




