刺青の集団の正体とは・・・
今後の展開の鍵を握るお話なのですよ
翌日、俺達はサンピエ-ル王国 王都のギルド本部へ向かった。
この国のギルド本部もデカい。1Fカウンタ-でロンド支部からの依頼書を見せた。依頼書の確認を終えた職員が、ギルド本部長へ連絡しギルド長の部屋へ案内された。
「初めまして。私がこの国のギルド本部のトップを勤めている ヒョ-ドル・ハンベルトだ。よろしく頼む。」
「シゲル・アレフガルドです。よろしくお願いします。」
この後、皆の自己紹介も終わり本題に入る。
「報告書は、読ませてもらった。で話にある手首に星形の刺青をした集団なんだが、1つ心当たりがある。私達の情報網で調べたところ、闇ギルドの構成メンバ-の中に、その刺青を入れた人間が居るとの報告があった。」
「という事は、その闇ギルドが関係していると ギルドでは判断されているのですか?」
「いや 確認しているギルドの構成員の1人というところまでなんだ。これで完全に関わっているという確証は、まだ得られていないんだよ」
「わかりました。それでその闇ギルドというのは?」
「ああ 私達の調べたところ 暗殺などを金で請け負う非合法の集団で ”闇の理解者”と言われているようだ。殺人や強盗で指名手配されている人間もその構成員の中に含まれている。色々な国や私達冒険者ギルドでも見つけ次第、捕縛、討伐をする為に行方を追っているんだ」
「ではその集団について詳しく情報を得るのは難しいんでしょうか?」
「ああ 過去に捕縛できた人間もその当日に牢屋の中で殺されていた。その時は、職員の中に奴らの構成員が入り込んでいた。とても巧妙でなかなか尻尾が掴めないんだ。」
「そうですか・・ では何か新しい情報が入り次第連絡を頂けるとありがたいです。」
「うむ わかった。因みに君たちはこれからどうするんだい?」
「それなんですが、今のところ動ける情報が無い限り手詰まりですね。状況によっては 他国でもどこでも移動しようと考えていますが」
「そうか念のため何日か 王都に居てくれると助かる。提出してもらった魔道具や魔物除けと思われる物の鑑定結果も出るだろしね。」
俺達は、この後一度宿に戻り今後について話し合いをした。話を聞く限りこれからは対人戦闘が多くなるだろう。これまで、勇者たち(アズミ・アオイ・ヒトミ)には、人殺しはさせていない。
俺は、大事なものが欠けた状態でこの世界へ来たから、殺人に対する嫌悪感も罪悪感も持たないまま必要に駆られていたんだ。だが、今の状況は、覚悟がいる。その覚悟が無ければ狙われた時に躊躇してしまうだろう。どれだけステ-タスが高くても心が病む可能性もある。俺としては、3人は元の世界に帰してあげたい。その時に心に闇を抱えたまま帰る事に成りかねないんだ。
勇者以外のメンバ-は、この世界の考え方で育ってきている為、命が軽い事を理解している。でもさ 平和な日本育ちには 基本的に無理だよなぁ。そう思っていたんだが・・・・・
「私は、もう覚悟はできています。これまで 色々な戦いを見てきました。馴れたと言えればいいですが、まだ正直不安です。でもやらないといけない事も理解しています」
そう 答えたのは アズミだ。
「私も戸惑いはあります。ですが、剣を持って戦う以上 その覚悟は持たなければいけない事をこれまでの経験で理解しました。」
続いてアオイが答える。
「私は、頭がついていけません。でも シゲルさんが、魔人と戦う姿を見て 私も私の力を信じてこの世界に召喚されたんだって思っています。であれば、出来ることをやらないと。今日まで避けてきたこともやらないと自分が納得できないと思います。自身はないけど・・・・」
とヒトミが答える。最近の中学生ってしっかりしてるんだな。俺が一番心配してたんだが、考え方はすでに大人なんだな。
「わかった。君らの考えを出来る限り尊重する。でも辛かったら言ってくれ。俺は 自分で言うのもあれだが、鈍い。気が付いてあげられないかもしれない。出来れば遠慮なく自分から言って欲しい。」
「「「わかりました」」」
この話は 一応の決着だ。その時に自分を見失う事が無いように 皆で助け合わなければ。
この話の後、シグルドが ヒトミちゃんにショ-トソ-ド2本渡していた。兼ねてから近接の武器が無かったんだ。でもこの話の後に渡すなよな・・・男連中空気読めず・・・
そして2日後、俺達は ギルド本部を再度尋ねることになった。
これから 面倒事に巻き込まれていくことも知らずに。




