自重って・・・何なんだろう?
難しい事言ってないよね?
俺達は、模擬戦が予定されている時間の少し前に 訓練場に向かった。王都のギルドだけあって 訓練場も大きく、なんでだろう?観客席まであるようだ。その観客席は・・・・・超満員。見世物かよ?
とか思ったが、相手が金級3人という事もありこおいう状態にもなるのだろう。俺達が入ってくると
観客席の冒険者がひそひそと話し始める。 相手の金級冒険者もすでに待機しているようだ。
俺達一行も用意されていた 椅子に腰かけてその時を待つ。しばらくすると ギルド長と職員が複数人でやって来た。さぁ 始まるなっと思っていた時 観客席から・・・・
「おい アイツ女ばっかり連れやがって。どうせ女共に 守られてるんだぜ。情けない奴だ!」
「おいおい 獣女も居るじゃないか!」
俺の事は 何言われたって良いんだよ。見た目からただのおっさんだしな。そりゃメンバ-美人さんばっかりだし人数居るから 良いようには見えないだろう だが・・・・・ 俺の仲間の悪口は、いけないなぁ。
俺は 立ち上がり声のした方を見た。 その時 訓練場が凍り付く。途轍もない重圧が 俺から放たれていたからだ。もうすでに失神しているものや 座り込む人も大勢出ていた。対戦相手である金級の冒険者たちも今にも腰を抜かしそうになっている。ギルド長はまだ何とか耐えているが、職員は漏らしている者までいる。
「シゲル!!! ダメぇ!!!!」
その声で我を思い出した。 いかん 怒りに身を任せてしまったようだ。 正気に戻った事で
訓練場に充満していた重圧は無くなった。
そこにギルド長が やって来た。
「シゲル君 頼むよ。模擬戦どころじゃなくなってしまうよ。暴言を吐いた者はこちらでも何らかの処分をするし 勘弁してやってもらえないかな?」
「ああ すまないな。仲間への暴言は許せないんだ。 今回はこれで勘弁しておくよ」
ここで一旦仕切り直し。 立てない冒険者や職員が運び出された。その後、俺は、模擬戦には出ない事になった。先ほどのあれで 実力が離れすぎていると判断されたようだ。まぁ俺も手加減が難しいから良いんだが。誰も目を見ないからな。ちょっと反省しておこう。やりすぎ禁止だ。
相手の金級冒険者は、さすがに高位の冒険者だけあって人格者のようだ。俺の実力は彼らが一番感じたのであろう。
さて模擬戦の方は 1対1の形式で 行われるんだが 連戦できるかは 相手次第な。
まずは、金級冒険者”金剛”の二つ名持ち ベリル と うちの アオイから 始まった。
二つ名通りなら 防御が優れてるのかな?とか 思っていたんだが・・・・・
おい アオイ!手を抜けって言ってんだろう? なんで一撃で ベリルが観客席まで吹っ飛んでるんだよ?
皆がポカンってなってる。 当のアオイは、首をかしげて 驚いている。 そうか 本人も手加減したんだなぁ。 俺たち同士でも模擬戦したりしてるけど 俺らも大概なんだもんな。しまったよ。基準が悪かった。
「勝者!! アオイ!!」
・・・・・・ おおおおおおおおおおおお!!!! というどよめきが上がった。
次は 金級冒険者 ”疾風”の二つ名持ち トワイト対デニスだ
「デニス わかってるよな?」
コクコク とうなずくデニス。 よしっ これなら大丈夫だろう。伊達に付き合いが一番長い訳じゃない
と思ってたよ。始まるまでは・・・・・・・・・・・
試合は、開始早々トワイトがデニスに切りかかる。え?疾風?って思う程 遅い攻撃だが、観客席からは、
「うわっ はえぇ-!!! あれじゃ 相手一撃だろ?」
とか聞こえてきたんだけどさぁ デニスも??って顔してたよ。 それをいなして 軽く模擬刀を振ったんだ。当たった瞬間に ドガッ って音と共に トワイトは壁にめり込んだ・・・・・
そうか 手加減はしたんだ・・・ なぁ? 金級ってほんとに強いのか?
「しょ、勝者 デニス!!」
しばらく固まっていた冒険者たちも はっとした後
おぉぉおおおおおおおお!!!!!!!
「すげぇ!!姉ちゃん めちゃくちゃすげぇえええ」 と歓声を送る。 デニスもそんな観客席に手を振って応えてた。うん わだかまりもこれで大丈夫かな?
次は、 金級冒険者 ”鬼神”の二つ名持ちアカカネ 対 ウルルカ だ。
もう何も言わない。
「ウルルカ! 頑張ってな」
「うん! 手加減頑張る!!」と最高の笑顔で出て行った。・・・って聞こえてるよね今の。
相手のゴライアスは真っ赤な顔して怒ってたよ。
試合開始と同時にアカカネの拳がウルルカに向かう。ウルルカは避けずに受け止めた。
驚いた顔のアカカネだったが、すかさず 足蹴りを放ってくる。ウルルカは慌てる様子も見せず
アカカネの胴体に掌底を放った。 ドォォォォン っという音で観客席は気が付いた。
そこにアカカネが飛ばされていることを。 そう軽くはなった掌底で 吹き飛んでいたのだ。
「勝者 ウルルカ」
「すげぇ!!!! 何なんだよ あの連中 無茶苦茶すげえぇええ!!!」
この後 残りのメンバ-の試合は無かった。対戦相手が拒否したからである。
自重はしてるつもりじゃ ダメなんだと 思ったわ・・・・




