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真実と決意

【とある酒場】


(ガシャーン!!!!)


厨房から響く音に周りの皆が注目する。

その視線の先に見えるのは1人のウェイトレスの姿だった


「いい加減にしやがれこの役ただずが!」


「すみません!すみません!」


あぁまたやってしまった、私ってどうしていつもいつも空回りしちゃうんだろ…

私は自分で割ってしまったお皿を広い片付ける


「っ!」


皿の破片が人差し指に当たってしまいそこから血が流れる。

ここですぐ血を止めれば良かったがこの時の私はパニックになっており止血の考えまでには至らなかった。

そして私は血のついた指でまだ割れてないお皿に手をつけてしまった。


「なっ!?お前!血の出た指でなに触ってんだ!」


「え…?あっ!すみません!」


ここは飲食店。

私がやった事は衛生的にもまずい

洗えば何とかなると思っていてもそうはならない。

仮に洗ったとしても、もしその皿の上に料理を乗せて出してしまったらお客様に食中毒を起こしてしまう事になってしまう。

そんな単純な事に気付けないないて…


─────ほんと私ってダメだな


「くそ…ちょっと顔が可愛いからって雇うんじゃなかったぜ…これじゃ店の役ただずだな」


「……すみません」


「あー、お前もう明日から来なくていいよ。今日1日分の給料やるからさっさと出ていけ」


私の前にお金が投げられる。

くしゃくしゃに丸められて、はは、まるで私みたい…


「短い間でしたがお世話になりました…」


私は主人にお礼をいい店から出ていく。

はぁ、また職を失っちゃったな。

また新しい職場を見つけないと。


「…どうして私生きてるんだろ」


私は自分の価値が見いだせない。

存在するだけで皆に迷惑をかけてしまう。

私は昔から物覚えが悪く、手先も不器用だった。

そのため学生時代は苦労した。

何とか卒業する事は出来たけどそれは私の実力じゃない。家族がお金を使って私を卒業させたのだから


私の家は由緒代々から伝わる有名家系のひとつだった

いわゆる貴族の家系かな。

私はその跡取り娘として小さい頃から教育を受けていた。貴族の立ち振る舞い、食事のマナー、あらゆる作法を叩き込まれた。

だいたい8才ぐらいから教わった事を覚えている


でもその時の私は習い事が嫌で嫌でしょうがなかった

もっと外で遊びたかったから。友達が外で遊んでる最中、私は家でひとり勉強していた。

確か一回お父様に習い事を休みたいって言ったことがあったな。

その時のお父様は顔を鬼の形相のようになり私の頬を血が出るまで叩いてた。

私が行くと言うまでずっと、ずーっと。


だからこんな家私は居たくなかった、10才の時に家出した事があった。

でも一人娘の私を家族は誰一人探そうとはしなかった。

その時私は思った


───ああ、私は元から必要とされてなかったんだ


そして私はひとりで生きていくと決めた、まだ幼く何も出来ない子供でも何とか雨風をしのげる場所を見つけて、食べ物は流石に盗みはまずいからゴミ袋からまだ食べられる食料を見つけて食べていた。

最初は生臭くて食べれたものじゃなかったけど、生きるためにはしょうがない事だったし、慣れればそれほど気にはしなかった。


────────────────────────


「はあ、嫌なこと思い出しちゃったな」


私は近くの広場のベンチで流れる噴水を見ながら昔のことを考えていた。

周りには子供連れの親子と私と同じようにベンチ座って手を握りあっているお年寄りの夫婦。

噴水近くで遊んでいる子供たち。


「……………」


この時私は何を思ったのだろうか。

自分でもよく分からなかった、ただ呆然とその光景を見ていた。

すると私の足にコロコロと丸い物がぶつかる。


「おねーちゃん!それとってー!」


どうやらこのボールはあの子達の物のようだ

遊んでいる最中に間違って私の所へ来たのだろう。

私はボール手に取り子供達に返そうとする


「いくよー!それって、きゃっ!!」


私はボールを投げて返そうとするが途中で足が絡まりそのまま顔を地面に強打する。

そのままボールはコロコロと子供達の所へ転がって行った。


「おねーちゃん大丈夫!?」


「う、うん大丈夫…」


「あっおねーちゃん鼻血でてるよ!?」


確認するとかなりの量の鼻血が出ている、うっこれはまずいかも…

私は鼻を抑え、立ち上がる。


「ご、ごめんね!お姉ちゃんは大丈夫だから!君たちも遊ぶ時は怪我しないようにね!」


「え、う、うん…でもおねーちゃん血が…」


「大丈夫だから!お姉ちゃんこう見えても頑丈に出来てるからね!こんな怪我痛くも痒くもないよ!」


うそ、本当は泣きたいぐらい痛い。

鼻を抑えても隙間から溢れんばかりに血が出てくる。

子供の手前心配かけないようにしないといけない

それにあまりここに長居したら親御さんたちが駆けつけて面倒臭いことになりかねない…

私はそそくさとその場から逃げるように立ち去った。


────────────────────────


「うぅ…」


めまいが酷い…そう言えば朝から何も食べてなかったな…それに加えてこの血の量…本当にまずい…

私はふらつく足取りで誰もいない路地裏に入り込んだ

限界だったのかその場で座り込む。


「本当についてないなぁ私…」


どうしていつもこうなっちゃうの?

私が何をしたっていうの…

…もう疲れちゃったな


「ん?おいあそこに寝てる女がいるぞ?」


「おっ、しかも結構上玉じゃね?」


路地裏の奥から2人の男性の声がする。

意識が朦朧(もうろう)として顔は分からないけど、多分関わっちゃいけない人達だ。


「ねぇねぇ、お嬢ちゃん…っておい!こいつ血だらけじゃねーか!」


「うお!本当だ…気持ちわりぃ…」


そっか、今の私は酷い顔してるんだ。

女の子なのに最悪だなぁ


「…なあ、こいつなんか今にも死にそうな雰囲気だし今なら何しても問題ないんじゃね?」


「はあ!?お前正気かよw何ってナニでもすんのかw」


「ああ、こんなシチュエーションは滅多に訪れねぇよそれにイライラしてたからな…いいストレス発散機になりそうだしな」


「あのマクアって野郎だな…マジで腹立つぜ!ぜってぇいつかシメてやる…あーなんか俺もだんだん腹たってきたわ、兄貴俺も参加してもいいか?w」


この人達何言ってるの?

もしかして私これから大変な事に巻き込まれる…?

逃げなきゃ…

私は体を何とか動かそうとする。

意識はまだ回復してないが、それでも動かす。

─────────だが。


「おっと、どこへ行くんだよこのアマ!」


「うっ!」


男が私のお腹に蹴りを一発入れる。

その衝撃に口からも大量を血を吐き出してしまった。

意識が(かす)み、指先一つも動かない。


「ちょ!兄貴さすがに蹴るのはまずいんじゃ…」


「けっ、どうせ死人みてーな顔してんだ今更いたぶっても変わんねーよ。」


「まあ、そりゃそうだけどよ…」


「あ?なんか文句でもあんのか?だったらこいつは俺一人で楽しませてもらうぜ」


「ああ!違ぇよ兄貴悪かったって!俺も参加させてくれよ!」


ああ、もう本当に終わりだなぁ

男達は私の腕と足を抑えて身動きが取れないようにしている。

こうなったら女の力ではどうする事も出来ない。

スルスルと服を脱がす

やめて…お願いします…私の身体を見ないで…

しかしそんな心の声が届くこともなく男達はがむしゃらに衣類を引っペ返し私は下着姿になってしまった


「うわ…こいつの身体痣だらけじゃねーかよ」


見ないで…


「うわ!こいつもしかして身体とか売って金稼ぎしてるんじゃねーの…?」


違う…私はそんな事してない…


「しかも身体くせーし…風呂とか入ってないぜこりゃ」


毎日じゃないけど…ちゃんと入ってるもん…


「まあまあ兄貴、萎える気持ちは分かるぜ?でもヤれれば一緒だろ?」


やめて…私…初めては好きな人とって決めてて…


「だな、その証拠にもうやべぇ事になってるわw」


「きたねーモノ見せんなよ兄貴w」


本当に、私されるのかな。

こんな惨めな人生を送って

好きでもない男の人にこんな…

酷いよ…神様は残酷だよ…

どうして私だけこんな思いしなきゃいけないの…?

嫌だよ…嫌だ!

私はこの運命を変えたい、こんな惨めな人生は嫌だ

最後くらい私が納得のいく死に方を選びたい!

こんなの嫌だ!

私は叫ぶ、心から叫んだ。


「ゃだ…やだよ!誰かァ助けて!!!」


「なっ!おい口を抑えろ!」


男は私の口を抑える、だがその手を噛む跡が残るぐらい強く。


「いだだだ!こいつ!」


「こんなところで死にたくない!助けて誰か!!」


「こいつ急に元気になりやがって!仕方ねぇやりたくは無かったが、少し痛い目見ないとわかんねぇようだな」


男は懐から小型ナイフを取り出す。

私はそのナイフを見て恐怖のあまり声が出なくなってしまった。


「へっ、騒ぐなよ?次騒いだらお前の綺麗な顔に傷が付くことになるぜ?」


ああ、もう本当にダメだと思った。

私の叫びもこんな路地裏じゃ意味をなさなかった。

その証拠に足音ひとつ聞こえない。

分かっていた、無意味な事ぐらい、でも希望を見たかった。信じたかった。こんな私でももしかしたら救いの手を差し伸べてくれる人がいるかも知れないと。

しかしそんな淡い期待はすぐに崩れた。


「あ、ああ…」


「さて、随分手こずったが潮時だぜ?」


「兄貴!俺もう我慢できねーっすよ!」


「ああ、分かってるさお前の楽しみも取っておいてやるよ」


お願い…やめて、ください。

口からその言葉が出ることは無かった。

私はそれを最後に諦めた。

もう疲れたから。私を助けてくれるヒーローなんて現れる事は無かった、ただそれだけの事。


私の人生ってなんだったんだろう?


そんな事を考えてる刹那、男達は私の身体を弄ぶ。

もう何も考えない。考えるとどうにかなりそうになる。

ただ無心にされるがままに。

そして男達が私の下着を脱がそうとした時────


「ぐはあ!」「ぐへぇ!」


2人の鈍い声が辺りに響く。

だが今の私にそれを確認する術は無かった。


「ユリウス様、この者達の処分はどうなさいましょう?」


「…このような輩はルキスラに必要ない。見るに耐えん…殺せ」


「……かしこまりました」


掠れた目で何とかその現場を目視する事ができた。

2人の男性と複数人の兵士…?がいた。

何者なんだろうこの人達は…どこかの騎士団の人達かな…?


「この娘はどうしましょう?」


「………」


ひとりの身だしなみが華やかか人が私に近づく。

まるでどこかの王様みたいだな…


「酷いことをする」


王様?見たいな人が私に身につけていたマントを被せてくれる。

こんな醜い姿なのに…何も言わずにマントを纏わせてくれた。

…すごく暖かい。

私はその時涙が出た。初めて人に優しくされた。

周りから見たら当たり前の事なのだろうけど、私はそんな当たり前の事が嬉しくてたまらなかった。


「うぅ…ひっぐ…」


「…生きていれば幸せな事もある。名も分からぬ少女よ君がこんなことになっているのはこの国の根源が腐っているからだ。君が不幸だからではない」


私は泣きながらその人の言葉を聞いていた。


「ここに誓おう、必ず私はこの国を変える。人々が苦しまない平和の国を私は築き上げる。この涙がこの国で最後の涙だ」


その人は私の涙を拭ってくれた。

その手は冷たくひんやりしてた、でもその手が私は好きだった。


「行くぞ爺、兵達は彼女を城に連れていき怪我の手当てをするのだ」


「「はっ!」」


そこで私の意識は完全に途切れたのであった。

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