表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/35

EP02 異世界の初仕事。その3

登場人物の紹介


・兄貴――何でも屋サキュロ団のリーダーである兎獣人。


・ヤス――瓶底眼鏡の少女で本名はヤーティス。


・マリウス——巨乳男装女子。ちと露出狂。


・サマエル――サマエルと同じ男装女子であるが、こっちは貧乳。

 勇者の剣ねぇ……あ、ああ、岩に突き刺さった某聖剣みたいなモノかな?


 んで、引き抜けるモノは、勇者の刺客を持つモノのみ――とそんなお決まりの展開キターッ! ってヤツなんだろう。


 とはいえ、なんだかんだと、気になるワケだ――よし、どんなモノなのか拝見しに往くとしよう。


 盗賊共が巣食うアインゼルン神殿遺跡とやらへレッツゴー……だな!


「勇者の剣ってヤツは、ここら辺に住んでいる土着民がアドムイヴァ――そう呼んでいるモノをオルゴニア語に訳すと、そんな解釈に至るモノの事さ。柱に刺さった剣って感じかな?」


「ん、土着民? ヴォイヴォ族がそう呼んでいるのか?」


「ああ、その通りだ。ヴォイヴォの連中がアレをそう呼んでいる」


「フーン、それじゃ件の盗賊共はヴォイヴォの連中かもね」


 土着民ヴォイヴォ――アルシュバーン大陸に古くから住んでいる連中がいるワケだ。


 ああ、そういう連中がいても当然といえば当然だろうなぁ――。


 ちなみに、俺がいるアインゼルン神殿遺跡は、別大陸からやって来た連中の中でも、特に大きな勢力を持つ自称、アルシュバーン大陸の覇者であるオルゴニア帝国という帝政国家の管轄下にあるようだ。


 さて、前述した土着民ヴォイヴォだが、その大部分がオルゴニア帝国がもたらした別大陸の文化に馴染んでしまっており、自分達が元々使っていた言葉を忘れ去られつつあるって話を後日、聞くのだった。


「勇者の剣か……ククク、面白そうだな!」


「面白そうだって!? 兄貴には絶対、引き抜けないと思うんスけどね☆」


「なんだとォ、ヤスゥゥゥ~~~!」


「ひえええ、嘘ッスよ! だからって、お尻を木の枝で突くのをやめてほしいッス!」


「ハハハ、兄貴はエロ兎だな! おっと、そろそろ見えてくるぜ……アインゼルン神殿遺跡が」


「ん、塔のようなモノが見えてきたぞ」


「アレがで数少ないアインゼルン神殿遺跡の遺物の中でも、特に巨大な――歴史に天にも届かんばかりの超巨大神殿として、その名を歴史に刻んだアインゼルン神殿の名残である天井を支えていた柱の一本だ」


 足許に落ちていた木の枝でヤスの尻を突く兄貴を一言で説明するなら痴漢セクハラ兎である。


 で、そんな兄貴の痴漢セクハラの被害者であるヤスは、無抵抗な上にニヤけている……ちょ、お前、マゾか!


 それはともかく、間違いなく三十メートルはありそうな円筒型の巨大な建築物が――巨大な柱のシルエットが見えてくる。


 アレが、かつて天にも届かんばかりの超巨大神殿と謳われた、と言われていたらしいアインゼルン神殿遺跡に残された数少ない遺物の一つようだ。


「さて、アインゼルン神殿遺跡へ往く前に教えておこう。あの巨大な柱に件の勇者の剣が突き刺さっているってね」


 件の勇者の剣の在処だが、あの超巨大な柱のどこかに刺さっているようだ……ちょ、どこら辺だよ、どこら辺!


 近づいても探すのに手間がかかるレベルだなァ、こりゃ……。


「待てッ――罠だ、足許に罠が仕掛けてられている!」


「え、えええッ……キ、キノコが地面のあっちこっちに生えているぞ」


「アレは爆弾キノコッスね。触れただけで爆発する代物ッス!」


「爆弾キノコ!? し、しかし、派手なピンク色のキノコだな、おい」


 ん、罠だと!? そうマリウスが、この先――アインゼルン神殿遺跡へと向かう俺を制止する。


 で、その罠――それはヤスの話だと、俺の足許に大量に見受けられるピンクの派手なキノコの事らしい。


 ああ、ついでに、そんな爆弾キノコのせいで先に進む事が出来なかったエリザベートの姿が見受けられるぞ。


「むう、アレのおかげで、この先に進めないわ!」


「ハハハ、何も考えずに先行するから悪いのさ!」


「はいはい、兄妹喧嘩はそこまでッスよ! とにかく、あの爆弾キノコはヤバいッスよ。触れた途端、爆発するし、オマケに毒の胞子も……さてさて、どうしたものか……」


「馬鹿か、お前? 空を飛べば済む事だろう……こんな風にな!」


「わ、わお、マリウスさんの背中に二対四枚の翼が――ッ!」


 む、むむむ、マリウスの背中に翼が生える――二対四枚の真っ黒けな烏のような翼が。


 アレも君主の証ってヤツなんだろうか?


「さ、流石は君主(ロード)ッスね! ああ、メディエリカさんも君主ッスから翼を最低でも一対はお持ちの筈ッスよね?」


「え、俺も翼を? うーむ、どうやってマリウスみたいな翼を……」


「頭で考えるな。身体に感じるんだ!」


「わ、わからん……と、とりあえず、翼よ……出ろ! と言ってみたけど駄目かな?」


「むう、本当に翼を展開の仕方がわからんのかぁ? じゃあ、その翼はなんだよ、おい!」


「え、翼?」


「メディエリカさん、気づいてないんスかぁ? その可愛らしい背中の翼に――」


「か、可愛らしい翼!? お、おわー……モコモコした四枚の翼が背中にィ!」


 俺の背中に翼が生えた……二対四枚の翼が!?


 ちょ、無意識のうちに、そんな翼を展開させたようだ――あ、ああ、やっぱり俺はマリウスと同じ君主だったようだ!


 で、俺の場合、背中に生えた二対四枚の翼の形状が、真っ白くてフワフワした体毛に覆われた翼である。


 ハハハ、まるで羊毛とかアンゴラ兎の毛皮みたいだ。


 うーむ、マリウスの奴と翼の形状が違うし、翼の形状は個人では違うってところかな……かな?


「ん、そういえば、兄貴の姿がどこにも……」


「あ、確かにいねぇ。どこに行ったんだァ?」


「ここだよ、ここーッ!」


「え、どこどこ?」


「ここだァァァ~~~ッ!」


「ウ、ウワーッ! メディエリカさんの背中に生えたモコモコした真っ白な翼に目がァー!」


「俺だっつーの! 何故かは知らんがメディエリカの〝翼〟になっちまったんだァーッ!」


「あ、兄貴ィ?」


「うむ、気づいたら、メディエリカの翼になっていたんだ」


「ほ、ほえぇ……ナ、ナニが起きたのか、俺にはさっぱりわからいッス!」


「フーン、どうやらメディエリカは近くにいる動植物をその身に取り込むという能力を持ってるようだな。んで、そんな取り込んだ対象を〝翼〟に変える能力も同時に持ち合わせているのかもな」


「あ、ああ、だから丁度イイ具合に兄貴が取り込まれたんですかね?」


「し、知るかボケーッ! うう、どうなってしまうんだァ……」


 近くにいる動植物をその身に取り込み能力…だと…!?


 んで、そんな取り込んだ対象を自身の翼に変える能力かぁ……。


 まさか、そんな能力を持っていたとはね。


 俺って何気にスゴいかも☆


「む、どうでもいいが、早いとこ爆弾キノコが大量に生えている地帯から空を飛んでおさらばしようぜ。なんだかんだと、俺達の行動を監視している輩がいるようだし」


「え、俺達を監視している奴がいるって? お、おい、待てよ、マリウス……って、こうやって飛ぶのか!」


「おい、なんだかんだと、飛翔能力は、お前だけの力じゃないからな。この俺の力も混じっているって事を忘れるなよ!」


「お、おお、わかっているって兄貴! さ、俺の手につかまれーッ!」


「は、はいッス!」


「はい、よろしくお願いします!」


「ちょ、ヤス、エリザベート! 足にしがみつくのかよ、お前らー!」


 ん、監視している輩がいるって!?


 そりゃ面倒だ――さっさと爆弾キノコが生えている危険地帯から、先にサマエルを連れて飛び去ったマリウスの後を追うとしよう。


 背中に生えた翼を羽ばたかせて――。


「ちょ、僕も連れて……ウギャーッ!」


「親分、待ってー……ヒャワーッ!」


 おっと、エディスンとボブの事を忘れていたぞ……あ、爆弾キノコに触れてしまったぞ、アイツら——。


 そんなワケで爆弾キノコがチョドォォォン――と真っ赤な炎を撒き散らせながら爆発し、エディスンとボブは、その奔流に飲み込まれて爆死……だ!


「ブ、ブハーッ! 爆発に巻き込まれたァ!」


「し、死ぬかと思ったわ!」


 な、何ィィ! 生きているぞ……真っ黒コゲとなって再起不能(リタイア)じゃないのか……タ、タフだ! なんてタフな奴らだ!


 むう、だが、今は放っておこう。


 空を飛ぶなんて初めてだし、オマケの両足にはヤスとエリザベートがしがみつている状態というワケで上手く飛べないだろうし、オマケのマリウスとサマエルは、さっさと先へ進んでしまった事だし。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ