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EP02 異世界の初仕事。

 アルシュバーンと呼ばれる大陸が存在する異世界の名称はリドームアースというそうだ。


 んで、そんなリドームアース最大の陸地を誇る大陸がアルシュバーン大陸である――まあ、兄貴から聞いた話の範囲では、そうらしい。


 そんなアルシュバーン大陸の約六割以上が、未発見のオンパレード的な人跡未踏の魔境である。


 なるほど アルシュバーン大陸は四割しか開拓できていないワケだ。


 それ故、一攫千金を狙う命知らず共――冒険者達が続々と人跡未踏の魔境に挑むそうだ。


 ああ、当然の事ながら、無傷のまま無事に戻ってくれるモノは少ない――名声を得る、という事は命を失い危険があるって事と同意義だな。


 その事をちったぁ知るべきだなって輩と何度も出会っているって兄貴やマリウスが言っていた。

 

 さて。


「う、うわ、女魔族……サキュバスがたくさんいるぞ!」


「下半身が蛇の女がいる! あれも魔族?」


「当然だろう。ちなみに、アレはラミアって女魔族の一種だ」


「ヘ、へえ、そうなんだァ」


「そんな事はどうでもいい! クソ、他の何でも屋の連中があんなにたくさん……」


「ちょ、エリザベートさん! アンタのお兄さんは僕達以外の何でも屋チームを雇いまくっちゃいないかぁ?」


「ううーん、多分、お父さんが雇った何でも屋も……」


 二足歩行が出来る上、喋る事もできる兎こと兄貴を筆頭に俺、ヤス、マリウス、サマエルの四人のサキュバス——サキュロ団のメンバーは、盗賊共の巣窟と化しているというアインゼルン神殿遺跡の近くにある考古学者達のキャンプへとやって来るのだった。


 だが、先にやって来た他の何でも屋――要するにライバルチームの姿が多々……ちょ、これじゃ別の何でも屋に依頼を横取りされてしまうじゃないか!


「ん、兄貴と同じ獣人の姿も多々、見受けられるね」

 

「ああ、ありゃ獣魔族だ。兄貴のような獣人の正式名称ってところだ」


「そういや、竜魔族もいる……ったく、エリザベートちゃんの兄貴は奴らにも声をかけたっぽいなぁ」


「獣人……獣魔族の中には爬虫類型もいるのかな? ハハハ、魔族ってヤツァ奥が深いぜ」


 魔族と呼ばれるモノの種類は、何も人間の男女の似た姿の女、男魔族以外にも存在するのね……奥が深いなァ。


 兄貴のような獣人——正式名称、獣魔族の姿も多々、見受けられるぞ。


 ついでに、体格はともかく、首から下が人間という限りなくヒトに近い姿をした小型のドラゴン――竜魔族もいるっぽいぞ。


「ん~……昆虫型や蛸や烏賊のような海洋生物型の魔族もいた気がするッス」


「マジか!」


 昆虫はともかく、蛸や烏賊のような海洋生物型の魔族もいるのかよ!


 ま、ますます奥が深いなぁ、魔族って連中は――。


「おい、お前はメディエリスじゃねぇか!」


「ボーイッシュな女のコ……」


 ん、ショートカット故に一瞬、少年と間違ってしまった――が、その一方で華奢な体格だが、俺やマリウスに勝るとも劣らぬ爆乳の持ち主だったりする女魔族の少女が話しかけてきたぞ。


 ちなみに、競泳用の水着のようなアンダーウェアの上から軽装の鎧を身に着けている。


 所謂、冒険者ってヤツだろうね。


「ソイツはアイギス。フリーの女魔族だ。ふむ、どうやらどこぞの何でも屋に雇われたっぽいな」


「ま、そういう事さ。ああ、どうでもいいけど、メディエリス、お前、生きてたんだな!」


「生きていた?」


「ん、忘れちまったのかぁ? お前、俺と一緒に邪教徒共の討伐依頼の最中、ソイツらの逆襲に遭ってアヴェンの滝に落っこちた筈なんだが……」


「そ、そうなの? き、記憶がまったくないんだが……」


「ふむ、記憶喪失ないって、それじゃ……? まあいいや、とりあえず、見かけたんで挨拶に来ただけだ。じゃあな!」


「お、おお……」


 邪教徒共を道連れにアヴェンの滝とやらに落っこちたァ!?


 そんな記憶がまったくないんだが――。


 ま、とにかく、今の俺――メディエリスについての情報をある程度だけど知れただけでもいいかぁ……。


「なるほどぉ、それでメディエリスさんは記憶を失っているッスね」


「大方、頭を強打したんだろうよ。それで記憶を……」


「ああ、忘れたぜ。アイツ――アイギスも元は男だ。俺達と同じ穴のムジナってワケだ」


 同じ女魔族でもサキュバスを見かけたら、その中身は男と考えるんだッ――とそんな予想が当たったぜ。


 なんだかんだと、あのアイギスってショートカットの女のコも元は男のようだしね。


「あ、メディエリスさん! お久し振りです!」


「ん、アンタは?」


「私ですよ、ユルウスですよ。ほら、いつだったかサキュリタ教の布教のお手伝いを依頼したじゃないですかぁ」


「そ、そうだっけかな? うーむ……」


「しかし、こんな場所に出張ってまで布教たぁ、物好きだな、おい!」


「あ、はい、よく言われます。アハハハ、物好きでしたかぁ~☆」


 白いブラウスとベージュのタイトスカートという格好の小奇麗な黒髪ロン毛の若い女が話しかけてきたぞ――むう、なんだか場所的に矛盾した格好じゃないかぁ?


 よ~く見りゃ、そんな若い女の頭には、山羊や羊といった動物を連想させる双角が見受けられるし、どうやら同胞のようだ――ああ、胸もけっこうデカいので君主の一人だろう。


 ちょ、ちょっと待て! 宗教勧誘の手伝いだぁ……み、身に覚えがないんですけど!


 むう、俺――メディエリスは妙な顔ぶれとも馴染みな様子だぞ、おい。


「え、記憶喪失なんですかぁ!? あ、もしかして……」


「ん、もしかして?」


「アナタはメディエリスさんに瓜二つの別人……双子の妹さんの方ですね!」


「ふ、双子の妹…だと…!?」


「はい、双子の妹がいるって話をしてくれましたよ、彼女は――」


「へ、へえ、そうなんだ……じゃ、じゃあ、俺は……」


 俺はメディエリスの双子の妹として、この世界――リドームアースに転生したって事でOKなんでしょうか、教授!


 うーむ、その説が一番、有力な気がするぜ。


 俺は一部の事以外、ほぼ知らないのだから、メディエリスについて――。




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