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EP01 転生したらサキュバスでした。その5

 俺、木村翔太郎……いやいや、今はメディエリス 或いは瓜二つのそっくりさん?


 まあ、とにかく、そんな俺が今いるサキュロスという村は、あの薄気味の悪い森——アルシュバーンと呼ばれる大陸の中央にあるルルルイエ樹海の中にある湖を囲むカタチで存在しているそうだ。


 んで、そんなルルルイエ樹海の湖は、嘘か真か魔界と繋がっており、そこから湧き出す瘴気によって、ここへやって来るモノは、皆、魔界の住人である魔族化させてしまうそうだ――まあ、仮説ではあるけど。


 さて、あくまで魔族と一括りに呼んでいるだけであり、ルルルイエ樹海の胡の東西南北では、同じく湖から湧き出す魔界の瘴気によって姿が変かしてしまったモノ同士とはいえ、外見等の様相が違うようだ。


 例えば、今、俺がいる周辺――ルルルイエ樹海の胡の南側にやって来たモノは、その身が男性であれば、瘴気によって女体化してしまうそうだ。


 それが魔族の一種――サキュバス誕生の起源ってヤツだろう。


 むう、そのおかげで俺の身体も女体化し、ヤス達のような女魔族のサキュバスの仲間入りをしてしまったってワケだ。


 その前にッ……住人の大半が裏社会に生きるモノ――犯罪者ばかりって事にも納得できん!


 このままだと、俺も犯罪者の仲間入りをしてしまうのではないだろうか?


 さて。


「ここが俺達――サキュロ団の事務所だ。さあ、入った入った!」


「あ、はい……」


「お、これは珍しいッスね」


「え、何が?」


「あのコを見てわからのか?」


「あっ……角がない!」


 喋る二足歩行の兎こと兄貴が営む行方不明となった飼い猫の捜索といった仕事はともかく、強盗や殺人(?)といった汚れ事も請け負います――と謳う通称、なんでも屋に依頼が入ったようだ。


 で、依頼人がやって来たワケだ――ん、白い小型犬を抱いた髪の長い若い女だ……つ、角が生えていない…だと…!?


 ――という事は、あの娘はルルルイエ樹海の外からやって来たのか?


 それじゃ彼女は魔族ではない……筈だ。


「よぉ、お嬢ちゃん。アンタは物好きだな。こんな辺鄙な場所までやって来たワケだし」


「あ、はい、ここへ来れば、どんな依頼も受けてくれる人達がいるというウワサ聞いて……」


「ふーん、ウワサねぇ。クククッ……俺達って有名なんだな☆」


「兄貴、多分、私達ではなくて〝騎士団〟のウワサを聞いてやって来たんだと思うッス」


「にゃ、にゃにーッ! ちょ、そうなのか?」


「あ、はい、その通りです。兎さん……」


「ヌ、ヌガーッ! やっぱりかよォ!」


「ん、騎士団ってなんだ、ヤス?」


「同業者ッス。しかも同胞のサキュバスの中でも、その名前を聞いただけで悲鳴をあげて逃げ出すような悪名か高き方々ばっかりがいるんスよ、これが……」


「へ、へえ、そうなんだ……」


 へえ、なんだかんだと、同業者がいるのね。


 しかも件の騎士団とやらに所属している連中は、サキュロスの村に住む女魔族界の中でも悪名高きモノばかりという。


「え、アナタ達は騎士団――アルテミシア騎士団の方々ではないのですか!?」


「違うよ。違うから、その程度の金で依頼を請け負えるってワケ」


「は、はあ、まあ、あの方々ではなくてもいいのですが……」


「アイツらに依頼するよりは、ずっと安いぜぇ☆」


「それはともかく、どんな依頼なのかを聞かせてもらおうか」


 件の騎士団の正式名称はアルテミシア騎士団というらしい。


 んで、高額の金銭を要求する事でも有名だって後日、知るのだった。


 当然、そんな高額な金銭を要求するだけあって仕事の成功率は百%に近いんだとか――。


「では、お願いします。アインゼルン神殿遺跡を根城にしている盗賊団を追い払ってください。アイツらのせいで、アインゼルン神殿遺跡の研究が出来ないのです!」


「ん、その発言から考えて、アンタって考古学者だったりするぅ?」


「あ、はい、まだまだ助手ですが一応……あ、まだ名乗っていませんでしたね。私はエリザベート・モリシーと言います。」


 依頼者こと白い小型犬を抱いた髪の長い若い女は、エリザベート・モリシーと名乗る――フーン、考古学者ねぇ。


 なんだかんだと、この世界にも存在する職業のようだな。


「アインゼルン神殿遺跡ねぇ。あそこは折れた柱が、何本か残ってるだけじゃなかったかな?」


「はい、それでも古代遺跡を保護、そして調査をする側としては盗賊団のような輩にいられては困るので……」


「うん、確かにね。ああいう面倒くさい連中がいたら調査もクソもあったもんじゃないね」


「んで、ソイツらを追い出してくれってか?」


「あ、はい、お願いします!」


「どうするんだ、兄貴?」


「うーむ、盗賊団とは厄介だな。だが、まあいい、受けようじゃないか!」


「えええ、兄貴、受けるんスか!? 兄貴がそう言うなら、私は従うまでッス」


 アインゼルン神殿遺跡とやらは、面倒くさい輩――盗賊団の根城と化しているようだ。


 んで、考古学者の端くれであるエリザベートは、そんな盗賊団を追い払えるモノを探すために、ここへ――サキュロスの村にやって来たようだ。


 しかし、ここは魔族の村――オマケに住人の大半が犯罪者だって話だ。


 おいおい、それでいいのかぁ、魔族+犯罪者に頼っちゃっても……。

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