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EP02 異世界の初仕事。その5

 その大半が魔境という冒険者なんて呼ばれる連中、垂涎の大陸であるアルシュバーン大陸の人口だが、他の大陸――主にアルシュバーン大陸の東に存在するミルドバン大陸からの入植者ことミルド人が大半を占めている。


 そのせいで先住民ヴォイヴォは、絶滅に瀕している――と言っている学者がいるそうだ。


 うーむ、俺が本来いるべき世界では、ミルド人が現生人類、先住民ヴォイヴォはネアンデルタール人ってところか?


 さて、先住民ヴォイヴォだが、悲しい事かミルド人がもたらしたミルドバン大陸の文化に感化されてしまったモノが多いようだ。


 そのせいで今じゃ先祖代々受け継いできたヴォイヴォという種族そのモノの文化や技術等を忘れ去られつつあるって話を聞く。


 だが、中には反ミルド人文化を掲げているモノもいるワケだ。


 ソイツらは純ヴォイヴォ――先祖代々受け継いできた文化や技術等を守り続けているモノ達なんだとか。


 ああ、だから、純粋な血統のヴォイヴォ――略して純ヴォイヴォなのか?


 しかし、自分達の文化をそっちのけにしている連中は勝手が違いようだなァ、関心感心☆


 おっと、そんな悠長な事を言っていられるかッ――俺、そして兄貴を筆頭としたサキュロ団のメンバーは今、純ヴォイヴォで構成された盗賊団に包囲されているんだった。


「アンタ達はアインゼルン神殿遺跡に巣食っている盗賊団なのか!」


「…………」


「…………」


「……おいッ! 何か言え!」


「…………」


「…………」


「喋れないのか、ゴルァ!」


「……ブ、ブルアアアーッ!」


「わ、わああー!」


「駄目よ、駄目駄目ェ! ソイツに私達の言葉は通じない……いや、聞く耳を持たないのよ!」


 中心に大きな目玉とその周りを囲む小さな目玉が描かれた奇妙な仮面をかぶった集団――純ヴォイヴォの盗賊団は、喋る事が出来ないのか――いや、俺達の言葉が理解不能なのかもしれない。


 だからか? 話しかけてもしばらくの間、無反応だったのは――。


 むう、とにかく、威嚇の奇声を張りあげてきたわけだし、エリザベートの言う通り、話が通じる輩ではないのかも……多分。


「オオオオラアアアーッ!」


「わ、なんだ……左手が光っている!?」


「メディエリカ、避けろッ……魔術だ! 魔術攻撃だーッ!」


「ま、魔術攻撃…だと…!? グ、グワーッ!」


「く、いきなり、攻撃を仕掛けてきたぞ!」


 ちょ、いきなり攻撃ですかー! しかも魔術攻撃を――ってなワケで、俺の背後にいた純ヴォイヴォの盗賊の一人の左手から閃光が――高熱波(?)が放出される!


 ウヌーッ……それが至近距離で俺の身体に直撃する!


「メディエリカさん、大丈夫ッスかーッ!」


「お、おお、一応……痛ェな、ゴルァ!」


「な、なにィィ! 至近距離で私の鼻った光術が直撃したのだぞ!」


「ちょ、喋れるのかよ、お前! んで、話が通じているじゃん!」


「ガ、ガアアアーッ! このパンツ丸出し女がァ!」


「う、うお、確かにパンツ丸出しだな……って、それはお前の魔術のせいでズボンが破けたんだ!」


 むう、純ヴォイヴォが行使する魔術っていうのは、対象の服のみを破く効果があるワケェ?


 そんなワケで至近距離で魔術攻撃を受けた筈なのに、俺は無傷だったのかァ——って、納得いくか!


 上着はともかく、ズボンを吹っ飛ばされてしまったおかげで、今の俺はパンツ丸出しという恥ずかしい状態になってしまったじゃないかーッ!


「フン、運が良かったな……パンツ丸出しの痴女め!」


「お、お前のせいだろう、お前の……って、ギャアアーッ!」


 痴女だと! お前のせいでズボンが吹っ飛んでパンツ丸出しになったんだろうがァ! 


 う、そんな事より、再び俺は魔術攻撃を喰らってしまうのだった!


「い、痛ェーッ! この野郎、今度は上着も吹っ飛ばしやがってー! と、とりあえず、シャツだけは吹っ飛ばされずに済んだぜェ!」


「う、うぬゥ……何故だ。何故、無傷なのだ……おかしい……おかしいぞ!」


「は、何がおかしいだ! 今度は俺の番だぜ!」


「ガハハハ、なんだぁ、その弱々しい拳はッ! そんなモノ、俺には利かぬ……ウ、ウウーッ!」


 俺がタフなのか? それとも再度、魔術攻撃を仕掛けてきた純ヴォイヴォの盗賊の一人が手加減をしたのか――。


 とにかく、上着を吹っ飛ばされた程度の軽いダメージで済んだぞ! しかし、危なかった……上着の下に着こんでいたシャツまで吹っ飛ばされていたら、俺はパンツ以外、何も着ていない際疾(きわど)い状態になっていたかもしれん!


 だが、これ以上、一方的に攻撃されたままではいけない――とばかりに俺は怒りの鉄拳を叩き込むのだが、まったく効果がない。


 で、よ~く見りゃ俺に攻撃を仕掛けてきた純ヴォイヴォの盗賊だが、長身でなおかつはち切れんばかりの隆々に盛りあがった筋肉の鎧に覆われた大男である。


 この男、所謂、魔術師とか魔法使いというヤツなんだろうけど、その姿から誰が魔術師や魔法使いを想像できるモノかよ……矛盾しているぞー!


 おっと、それはどうでもいい話だ。


 俺に二度も魔術攻撃をしかけてきた純ヴォイヴォの盗賊団の一人が、突然、苦悶の声を張りあげて(うずくま)る……な、何が起きたんだぁ、何が……。

 


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