晩餐会の準備
爺さんから貰った箱の中身を見る
どう見てもただの輪っか
しかも、大きさが中途半端だ
「…小さいよね」
一人自室で唸っていると扉からノック音が聞こえた返事をすれば執事のロシャンがやってきた
「失礼します。シャルル様、今宵の晩餐会があります。お召し物を数点ご用意しておりますので選んでいただきます。」
「わかったよ」
「では、こちらへ」
箱に輪っかを直しロシャンの後についていく
別の部屋に行くとずらりと並べられた礼服があった
数点どころじゃないんだが…
それも、メイドがキラキラした目で見てる
嫌な予感しかしない
「メイドたち、あとは頼みますね」
「え、ロシャン行っちゃうの?」
「晩餐会の準備がありますから」
では、と去っていったロシャン
置き去りにされたシャルルは、諦めた。
「シャルル様!こちらなんか如何でしょうか!」
「いやいや、こっちの方が気品があって王子に合いますわ」
「あー」
ロシャンが居なくなった途端、メイドたちがあれよこれよと服を当てたり口論になったりなんだこれ状態である
遠い目をして着せ替え人形と化して解放されるまであと数時間
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メイドたちから解放され
シンプルなタキシードを着た
薄紫のネクタイがアクセントになっている
最終的にロシャンがやってきて決めてくれた
髪もきっちりセットされ普段は髪に埋もれた角が顔を出している角を触りながら窓の外を見る
あと少し暗くなれば招待された者たちがやってくる
夕日が傾き廊下が橙色に染まっている
魔の時間だ
たしかこの時間はたしか
「逢魔が時だったっけな」
魔がさす
魔物と遭遇する時間
まぁ、ここじゃあずっと逢魔が時
窓から庭を見渡せばふと目に入った白
白い長い髪にこれまた白いタキシード
橙色に染まったその髪はグラデーションになってキラキラ光っていた
綺麗だなと見ているとその白と目があった気がしたのは気のせいだ
時間が来るまで自室で本でも見よう
まだまだ時間はある