護衛の二人
拝謁の間の扉を開けば
王座に現魔王と王子が座っていた
現魔王の膝に王子がまるでぬいぐるみのように抱かれている
顔は少し疲れた表情を浮かべている
「精鋭部隊ガルム アスト ここに」
「右に同じく精鋭部隊ガルム エーシュ只今、参上いたしました。」
「あーお前らを呼び出したのは、シャルルが城下に行きたいと…そこでだ精鋭部隊ガルム アスト、エーシュ貴様らに命令だ。シャルルの護衛を頼む。くれぐれも傷物にしてくれるなよ??」
「はっ!」
「承知しました。この命に代えてもシャルル様をお守りしましょう」
顔を上げ返事をするといつものニンマリ顔がいつもに増して釣り上がり歯が見えた。
ついでにいうと目が笑っていなかった
相変わらず子煩悩だな魔王様は…
オージ様は、げっそりしてるしよー
大丈夫か?
「そういうことで、お前ら持ち場に戻っていいか…ら?」
「父様、そろそろ離してください」
腹に回された手をオージ様は解こうと奮闘してるそれよりも俺たち二人はオージ様が喋ったことに対してびっくりしている
「えーもう行っちゃうの??」
「…母様に言いつけますよ」
「げ、わかったわかった気をつけるんだよ」
子煩悩な魔王は王妃には逆らえないらしい
魔王の腕から解放されたオージ様はこっちへ歩いてきた
「ねー早く行こう」
「は、はい承知しました。」
「お、おう!」
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城下への道を歩く
真っ直ぐ行き橋を渡って行けばすぐだ
「そういやーオージ様は喋れたんだな!」
てっきり喋れないかと思ってたと言うアストに頷くエーシュ
「喋るよ」
「もう直ぐ、城下の入口です。ここからは人が多いので手を繋ぎましょう」
「なぁなぁ俺と繋ごうぜ!」
「え?いーけど」
「まったく…」
アストの手を握り城下を散策することになった
城下は活気にあふれている
獣人やら悪魔やらいろいろな魔族がいる中には人間もいたりするが大半が羽根が生えていたり尻尾やら獣のミミがあったりする魔族とのハーフだったり様々だ
さて、初めての城下
楽しむしかねぇよな!
「お!曲芸師がきてるみてーだし見てみようぜ!」
「え?!アスト!」
「アスト!!」
いきなりグイッと引っ張られ人混みをかき分け進む
アストの手をギュッと握り返す
少し後ろでエーシュがなにか言ってるが人の声でわからないとりあえず離れないようにする
少し進み立ち止まると
「あーオージ様見えねぇよな?」
「うん」
「…仕方ねぇな肩車するしかねぇな」
俺は見えんだけどなとつぶやきながらシャルルを抱き上げ肩車をした
目線が高くなるが不安定になるためアストね頭に生えているツノに捕まる
「うぉっ、ビックリしたぜ!捕まってろよ〜」
「もしかしてくすぐったいの??」
「まーあんまり触らせないしな…」
「我慢してよ〜!あ、始まったよ」
曲芸師が玉乗りやら火吹きをしたり
小さいネズミに羽根ついた魔物をジャグリングしたり
魔法でお菓子を降らせたりしている
曲芸師の背には蝙蝠の羽根が生えていて宙を舞ったりしながら芸をしているが地上で芸を披露するのもいるから肩車してもらったから見える
多分、下に居たら観客の足しか見えなかっただろう
「魔法ってあんなことできるんだ」
「よっと!」
アストが落ちてきた飴をキャッチした
「あーぶどう味か…オージ様にやるよ俺、ぶどう味嫌いなんだよなー」
残念そうに眉を下げるアストが飴を差し出した
それを受け取る
「ありがとアスト…あ、また飴だ」
降ってきた飴を今度はシャルルが二つキャッチした
赤い包みだからイチゴ味だと思う。
「アストあげる。」
「おうありがとよ!」
「もう一つはエーシュにあげよ…エーシュ居ないね」
「あー、置いてきちまったみたいだな」
アストに肩車してもらってるから目線は高い
周りを見渡すとフサフサした耳を見つけた
「あ!エーシュ!!こっち〜」
「見つけたかぁ?」
「はっはぁはぁ、全く人の話も聞かないで!」
「エーシュこれあげるから許して」
赤い包み紙の飴を差し出す
「え、あぁありがとうございます」
渡された飴をじっと見ているエーシュにアストが声をかけた
「結構、オージ様には弱いよな〜ワリィな先行っちゃってさ」
「ごめんねー」
「うっ…シャルル様そのお顔は…やめたほうが」
「えー」
キュルンってしたら顔背けられた
「さてーエーシュも来たことだし散策開始だ!」
アストの声に城下町を散策することに
見慣れないものだらけだ
楽しみだな
ガルムとは生と死の境壁なるものという意味。
アストは精鋭部隊ガルムの隊長でエーシュが副官である。アストはがっつり戦闘肌でエーシュは文武両道って感じでお互いにカバーしているかんじです