打ち解けましょう
アストがエーシュの説教を聞き流し相槌を打っている横で暇を持て余した俺はアストの服から飛び出しているそれに目を奪われた
ゆらゆらと揺れるそれ
鱗に覆われたそれは、尻尾である
ジッと見ているとアストがこっちを見た
「なんだー?オージ様どうかしたのか?」
「…」
ゆらりとまた大きく尻尾を見ると気づいたのか動きを止めるエーシュは気にせず説教を続けている
「尻尾が気になってやんの」
俺が小さく頷くと尻尾で頬を撫でた
ヒンヤリとしていて気持ちいい
暑い日にはぴったりだと思う
爬虫類独特の低体温
「そんな珍しいか??まぁ、城の使用人は夢魔とか見た目が人間に近いからな〜街に行けばいっぱいいるんだぜ??そこらへん歩いてるしな」
アスト達みたいなのがいっぱい…
想像するとまだ少し怖い
慣れるしかないよな
こいつら俺の護衛らしいし
動物がダメとかは全くないんだが前世は100歳近く生きていたが魔族なんて会ったこともないのだしょうがないよなうん
御伽の国など存在していないと思っていたのに生まれ変われば次期魔王
しょうがないしょうがない
喋るのは魔族とはいえ中身が100歳近いじじぃだから生まれてこのかたあまり喋らない
気を許したやつにしか喋らない
現時点では母親と父親、身の回りのことを手伝うメイドくらい
「…触ってみっか?」
コクリと頷くと目線に合わせてしゃがんでくれた
ギュッと掴むとやはり冷たい
硬いしツルツルしている
尻尾を堪能していると上から声が降ってきた
「ふっくふっ…くすぐってぇ」
反応を楽しんでいると涙目になっていくアスト
やべーこれは楽しい
「ひっひゃ、や、止めてくれ」
次期魔王、シャルルはS度ランクアップした!
トカゲ頭を手なずけた!
魔王レベルがアップした。
「…」
ニヤける顔をそのままに反応を楽しんでいるシャルルにアストが涙ながら声をあげた
「オージ様ァ、っ…エーシュも…尻尾あんだぜぇ」
エーシュの方に目を向けるが尻尾らしきものはない
この二人は軍服に身を包んでいる
種族に合わせて形は違うようだ
デザインは似ている
黒字に銀やら金の刺繍がある
アストは上の方が少し短め
エーシュに関しては裾が長くその上から長いコートを羽織っている尻尾はその下にあるのだろうか
「!」
非常に気になる
第2の人生開始からというもの子供独特の好奇心というか探究心が強くなった気がする
昔から面白いものには手当たり次第手をつけていたが…
アストから離れエーシュの背後に回り気づかれないようにそっとコートをあげた
丁度シャルルの目線の高さに尻尾の先っちょがあったむぎゅっと小さな両手で掴む
「ぎゃっ!!?なな、なシャルル様?!」
掴んだ瞬間、毛が逆立ちブワッと広がる
逆立ってもふわふわなそれはアストのツルツルとは違った心地よさだ
尻尾を掴まれ驚いたエーシュは目を見開いてこちらを凝視している
「シャルル様…手を退けてはくれませんか?」
優しい口調だが尻尾は毛が逆立ったままだ
ふわふわのそれを堪能しているとエーシュの顔が強張った
「シ、シャルル様尻尾はダメです…私たちのような尻尾を持つ者は尻尾が弱点なのです。または、尻尾を触るというのは求愛をも意味します。まだ生まれたばかりですのでわからないとはいえ私以外にしてはいけません!」
「おいおい私ってさ、お前だけかよ!ずりーぜ。」
そうなのか
弱点であり尻尾を触るのは求愛行動になってしまうらしい。
まったくといってこの世界の知識は全くと言っていい
「シャルル様離してください」
毛は逆立ったままだし
離すつもりはこれといってさらさらない
先っちょから根元付近まで手を滑らせるとエーシュが声をあげた
「ひっ!?」
「ひっだって!久々にエーシュの恥ずかしいとこ見たぜあ、そうそう根元が弱いから触ってみろよ
」
きっと楽しいぜとニヤニヤ笑うアスト
また手を根元付近までやって撫でると変な声をあげてエーシュがぶっ倒れた
なんだつまんねーと内心思いながらエーシュの背にまたがり尻尾を堪能しているとバンッと音を立てて俺つきのメイドが入ってきた
「シャルル様!何事で、すか?!え?」
たぶん彼女はエーシュが倒れた音に反応したんだろう
部屋に入るとエーシュにまたがり尻尾を鷲掴みしている俺と少し離れたところでゲラゲラ笑うアスト異様な光景が広がっているものだから戸惑っている様子
「あ、えーと失礼しました!!お邪魔しました!」
一言いうと部屋を出ていってしまった
嵐が去っていった
尻尾を堪能した後エーシュから離れベッドに置いていたこの国の歴史について書いてある本の続きを読み始めた
アストは空気読んでかエーシュを引きずり部屋を後にした