クズな人間は、殺しましょう
「もし、1人だけ殺せることができたら
あなたは誰を殺しますか?」
突然、僕が部屋でゲームをしていると 目の前に女の子が現れた。
少し小柄だが 僕と同い年くらいに見える。
長い黒髪は腰あたりまであり、マジシャンがかぶるような帽子をかぶっている。
僕は驚きで何も答えられずにいると、女の子は話を続けた。
「案外、殺してほしい人ってたくさんいますよね?」
「誰でもいいですよ。誰でも。ただし 1人だけですけどね」
女の子は僕の部屋を見回りながら、ペラペラと喋っている。
「ちょ、ちょっと待ってよ!君は誰!?」
女の子は僕の方を振り向く。
「誰?そんなの知らなくてもいいじゃないですか。」
「ただ、殺してほしい人を言えばいいんです」
女の子は、ニッコリと笑っている。
ここは、百歩譲って話を進めてあげよう。
「代償とかいるんじゃないの?」
僕は少し下を向く。
「いえ、いりません」
そう言うと女の子は、説明を始めた。
「最近、人口が増えつつあります。 まぁ、それは良いことだと思います」
「良い人たちが。だったらの話ですけどね。
今 クズな人間が増えているんです。」
「弱肉強食。あぁ、本当に怖い。クズな人は純粋な人を喰らい 自殺へと追い込む…」
女の子は少し間を開けて笑顔で言った。
「だからこそ、クズな人間を減らすため 殺すのです。 ね?いじめられっ子さん」
女の子は僕の左腕の袖をめくった。
僕はビクリとなる。
いじめられっ子…
「誰を殺しますか?1人だけですよ。 お1人様 1人までですから。」
女の子は、優しく微笑んだ。
「あいつを殺して…」
僕はポトリと涙を零した。