わたしは私になる!
後半のテンションを常時にするかで悩んでます。。
言葉はまだわからなかったが
あの朦朧とする意識の中で見た
あの茶髪で泣きぼくろのある
優しげな目をした女性が
わたしの母であり
私が意識を失い、次に意識が戻った時
すぐ近くにあった艶のある灰色の髪の毛に、
整えられた髭を少し生やした
この男性が父であるとすんなり理解できた。
次に理解したことは
両親がこちらを見ながら語りかける
『シャロン』という言葉
これがわたしの名前らしいということだ。
(シャロンか、、女性みたいな名前だな、、、)
いまだコレは夢なんじゃないかと
他人事のように思いながら
なされるままの日々が過ぎていった
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『うそ・・・』
あれから2年が経ち
すっかり『わたし』は私になっていた。
衝撃的だった。。。
涼のときにすでに慣れたと思っていたが
そばにあるものが、なくなるというのは
とても落ち着かない・・・
具体的にいうと27年間ともに居た息子が
あの日から影も形もないどころかその逆の存在へと変貌していた。
(これは、アレか?・・・夢か・・・・)
だが、夢としての時間が経ちすぎているし
目覚めるための衝撃はすでに受けた。
(ほんとに目が覚めた・・・)
改めて確認しよう。
私は、そう「わたし」はシャロン・バラルド
この父:シャミルと母:リランの『娘』であり、
バラルド家の長女である。
このバラルド家はセントリア王国の貿易都市
【バザークロック】にある商家であった。
前世の記憶と自我を持ち
足腰もしっかりしてきて、
ハイハイもとっくの昔に卒業し
屋敷の中を走り回れるほど成長していた。
周りの話を聞いていたため
会話に必要な最低限の言葉も
舌足らずではあるが話せるようになった
シャロンではあった。
そんなシャロンの最近のお気に入りは
2歳の誕生日に買ってもらった
絵本であった。
そして買ってもらったその日から毎日寝る前に
母であるリランに読み聞かせをお願いしていた。
「かーさま!、あの絵本読んで!!」
「ふふっ、シャロンは勇者様が大好きね、お父様がまた拗ねちゃうわよ?」
「大丈夫!とーさま優しいから!」
本を開き、読み聞かせするリランの声を聞きながら
(何度も読んでもらってある程度内容も覚えてるけど、かーさまの声も好きだし、この物語のゆうしゃさんが何故か心に残ってしまうんだよねぇ)
絵本の中の主人公は正義感が強く
周りの人を気遣える人間であり、
大事な人を守れるような勇者になりたい少年が
その剣と魔法で
冒険をし本当に勇者と呼ばれるようになっていく、
そんな何処にでもあるような、ありふれた物語。
(乙女はこういう勇者様に憧れるのよね~)
そんなことを思いながら今日の読み聞かせを終え
本を閉じたがリランがこちらを向き
「ねぇ、シャロン」
「ん?なーに、かーさま?」
「シャロンは将来どんな人になりたい?」
頭を撫でながら、リランはこちらを見つめていた。
(んー、将来・・・夢かぁ~前世でも特に決まったものは無かった気がするな・・・。わたし何がしたかったんだっけ?この世界、魔法があるらしいんだよね、考えるだけでワクワクしちゃう!)
「魔法を使ってみたい!あとね!!」
「それは楽しそうね?他にもあるの?」
「もちろん!それはね?・・・(あぁ、そうだ私は)」
『女性になりたい!!!!』
「ふふっ、変な子ねシャロンは」
「だってかーさますごくかわいいんだもの!」
「あらっ、シャロンも上手いわね、ありがとう」
「えへへ~ほんとだよ?」
「ふふっ、シャロンもかわいいわよ?それじゃあ、おやすみなさい」
「うん、おやすみなさい。」
リランがシャロンの頭をもう一度撫でた後、
部屋の明かりを消し、静かに部屋を出ていった。
(もう作る必要はないんだ、前出来なかったことをここではできる。やるんだ、やらなきゃ、もう後悔はしたくないよ)
これからのことを考えているうちにいつのまにかシャロンは眠りについていた・・・。
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「シャロン様如何なさいました?」
この気配を感じさせず背後でニコニコしている片眼鏡を掛けた黒髪を後ろ一本で結わえたイケメン男性は我がバラルド家が、というか私が誇る紳士で執事のハミルドさんだ。
「今日も私めにその偉大なる冒険団をお聞かせ願いますか?」
はい!真摯に紳士です!
そんな言い方されたいくら精神年齢が高くても悪い気はしない!
(こんな配慮ができるあたりさすが私の認めたミスター紳士!)
「えへへ、いいよ!する!」
ズボンのポケットをごそごそと漁り
今日の収穫のお披露目だ!
「ははは、この度は大収穫ですね!...でもこれは戻さねばいけませんね...」
今回私が見つけた収穫はなんと
若き日のお父様のラブレター!!
(こっちの世界にやってきて言葉はわかり始めたけど...文字がわからない!これはやばい!何かするにも最低限コレは覚えないとだよね!と、動き始め。あらゆる書物を探す航海へ出たのはつい最近で、そう、だから、文字が読みたいだけであって、お父様のハズカシイ思い出を暴露していっているわけでは無いのです。
ただ、基本的に書物が父の部屋にあるのだから
こういうこともありますよね...?)
あ、ちゃんと文字の勉強もしてますよ!?
ハミルドに教えてもらいながらちゃんと覚えてます
ハミルドは紳士なので教え方も優しく
問題が解けると
「シャロン様は優秀であられますね!これでバラルド家も安泰でしょう!」
なんて言ってもらえるのでつい収穫のいろいろな本を見つけては
それが何なのかハミルドに読んで聞かせてもらっているのですよ!
「では、こちらは私から旦那様にこっそりお返ししておきますね」(ニッコリ)
ハミルドさんはやっぱり紳士でした、いつもほんとすみません
「これも写しをとっておけば旦那様を脅せry...いうことをきいていただけそうですね」(ボソッ)
(な、なにか聞こえた気がしますがほら!あれです!!私も得してハミルド〈さん〉も得してWin-Winってやつです.....((;゜Д゜))