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少年の過去~満開の桜~

 バンバン進みますよ~!

 あれは俺が6歳の頃。


 俺には窯空桜花かまぞら おうかという幼馴染みがいた。


 俺の家はまあ、少しお金持ちで大きな屋敷に住んでいたんだが、桜花は隣の屋敷に住んでいた。


 隣同士だったせいか、仲が良くて親同士もお茶や酒を呑み交わす仲だった。

 いや、だったと言うのはおかしいな。

 桜花がいなくなってから変わったのは俺だけだったから。


 まあ、話によると、どうやら許嫁だったらしい。

 俺も満更ではなかったし、桜花は「大きくなったらめらくんのお嫁さんになる!」なんて言っていたから、嫌われてはいなかったと思う。


 ん?

 ああ

 めらくんは俺のあだ名で、本名は近松皇ちかまつ すめらぎと言う。


 俺らは何時も近くの公園で遊んでいたんだが、ある日、誘拐されたんだ。


 まあ、普通なら身代金を用意して解放されるはずだったし、犯人もちゃんと解放する気だったらしい。


 ただ、その場を指揮していた警察署長が、親の覚えを良くしたかったのか、警察の無茶な突撃をさせた。


 犯人は三人いたのだが、二人で俺ら二人を抑えて、一人が交渉をしていた。


 そのうち、一人が桜花を刺した。


 状況がよくわからなかった俺は、しかし桜花が危ないということは若って、とにかく助けようと暴れたんだ。

 そして、偶然犯人のナイフに目があたって、そして俺は気絶した。


ーーーーーー


 目が覚めると、丁度1日が経っていた。


 俺はベッドの上で、桜花が死んでしまったと言うことを聞いた。


 葬式が終わり、しばらくすると、両親と窯空夫婦が、義眼をくれた。


 金色の瞳の中には魔方陣のような模様があり、その瞳には色々なものが見えた。


 半透明の人、人と人をつなぐ紐、顔に被さるように広がる黒い雲。

 嘘を吐いている人の眼は赤く光り、人に頼み事をすると相手は快くどんなことでも引き受ける。


 俺は普通は目を隠すことにした。


 更にその頃、人形にはまり始めた。


 最初は見るだけだったのが、指を作り、腕を作り、体を作り、足をつくる。


 顔を作り上げ、そして、一体の人形を完成させる。


 ミシンを使い、黒いゴシックドレスを縫う。


 そこにいたのは金髪灼眼の少女の人形。


 親に誉められ、この言葉を言われた。


「お前なら造り上げることが出来るかもしれないな。

 初代近松家当主からの理想の傀儡人形オートマタが」


 と。


 俺は聞いた。

 傀儡人形オートマタとは何かと。


 この答えが俺を完全に人形に引き込んだのだと思う。

 すなわち、『人形の体を持った人間』と。


 次の日、窯空夫婦が屋敷に訪れた。

 そして、冊子をひとつ渡して帰っていった。

 冊子と言っても広辞苑三冊分はあったけれど。


 かかれていたのは、たくさんの魔方陣と印。

 一つ一つが手書きで書かれ、下に解説が載っていた。


 きっと桜花に渡すために書き上げたのだろうそれを俺に託していった。


 その日から、俺は一つの人形を作り始めた。


 大きさは50㎝程の小さな人形。


 紙に設計図を書く。

 頭が描くままに描いたそれを様々な素材で作り、組み合わせ、出来た30㎝程の眼球。

 硝子の瞳の中には数百の黒い魔方陣が回り、絡まり、黒目を造り上げる。


 それを魔方陣を使い圧縮する。


 歯を、口を、指を、髪を……。


 それらの全ての部品を完成させ、1つに纏める。

 完成したのは、黒髪黒目の人形少女。


 まさに夢見た10年ぶりの桜花の姿だった。

 今回も1300越えました。

 次回も1000越えを目指しましょう!

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