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町ごと召喚で呪われ 呪われて美少女になった俺は高校生男子です  作者: 茶山 紅
第十の呪い 呪われた街と傾国の美女と悲恋の乙女
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 十八話 呪いと祝福は紙一重らしい


「フールの大丈夫です。は、言霊の呪いをかけてあるのよ」

「言霊?」

 聞いたことがないらしいローイが怪訝な顔をするなかで、

「この世界にも言霊という概念があるんだな」

 オレはそうつぶやいた。

「そっちにもあるの?」

「まったく同じかはわからないが……。

 口に出していった言葉は実現されたりする。

 そういう意味だな。

 嫌いだ。と、言い続けていると本当に嫌いになる。

 そういった感じかな?」

 端的に言えばそういう状況だ。

 なので自分は死ぬのだ。死ぬのだ。そう主張をしていると本当は治る病気でも死んでしまったりするというやつだ。

 一種の自己催眠に近いのかもしれない。

 使い方次第では良い結果であり、

「本当かどうかは知らないけれどさ。

 毎朝、鏡に向かって自分は社長になる。

 そう言い続けて努力をしていたら本当に社長になった。

 そんな話があるとかないとか……」

 もちろん言い続けるだけでなんとかなるわけではない。

 自分は天才だ。

 そう言い続けて何も努力をしなかった場合、自分が天才だと思い込んでいるただのイタい無能ができあがる。

「まあ。それに魔力を持たして因果を多少はいじるのよ。

 もちろん努力というかそういうふうになるようにしないと行けないけれど……。

 努力して五割の可能性を六割に底上げする程度の呪い。

 呪いと言われているのは不吉なことを言えばそっちが簡単に傾くからね。

 ただ祝福にも近い呪いだわ」

「祝福」

 その言葉にオレは怪訝な顔をする。

 ある程度、同級生達と話題が取り残されない程度にゲームをするオレ。

 そのために呪いというのはデバブ……悪い印象がある。

 たいして祝福というのは攻撃力を上げたり状態異常を無効化したり……。

 端的に言えば良い印象がある。

 それが祝福に近い呪いとは?

 そう思っていると、フィリアさんは肩をすくめた。

「ネガティブな言葉。

 例えば、きっと失敗する。死ぬ。怖い。負ける。駄目だ。

 そういった言葉が現実になりやすい。

 むしろ失敗するとかそういう悪いことの方が実現する可能性へと移動しやすい。

 だからこの呪いをかけられている人はそういったマイナスな言葉を言ってはいけない。常に前向きな発言を言わないといけない。

 たとえ無意識でも言ってはいけないのよ。

 言動の自由が制御されているとでも居るわ」

「なるほど」

 フィリアさんの言葉に納得をしたのだった。


 使い方次第で成功への道へと迎える。

 そう思っていたが気をつけないと転落してしまう。

 強固な道のように思えて実は綱渡りだったのだ。

 それをフールはどうにか成功していた。

 大丈夫です。と、言う発言。

 実際の所は大丈夫では無いという状況であるが大丈夫と言い続けることができる形で本当に大丈夫にという形となったというわけだ。

「なるほど……。

 あの口癖にはそういう理由があったんだね」

 そうローイが納得したように言う。

「頭がおかしいと思っていた」

「おい」

 言いたい気持ちはわかるが……。

 当人を前にしていうのはどうかと思う。

「まあ。実際に確実に安全を確実に与える事が出来ると言うわけでは無いわ。

 魔法にも万能というのは存在しないのだからね」

 そう肩をすくめて言う。

「正直、運命や因果律がどうか捜査する魔法。

 それはかなり難しい高難易度。

 成功率は正直に言えば低いし移動できる制限は厳しい」

 フィリアさんがそう言う。

「とにかくフールは転生体になる。

 けれど、魔女王の予想外だったのが生まれてきたのが双子で男女と別れたこと。

 正直、男の子一人だったらどうするつもりだったのかは疑問だけれど」

 そう薫が状況をまとめるように言う。

 確かに……。

 魔女王が自分が産んだ子供に生まれ変わろうとすると言う発想は理解できない。けれどもまあ。二択の中で女を選んだのはわかる。

 魔女王は性転換はしたくなかったのだろう。

 性転換するときの戸惑いは否応なくわかる。

 実際に体がいろいろと変化するのだ。

 まあ。偶然なのかそれとも運命なのかはしらないがそうなったらしい。

 そして双子のうち、転生で重要な人物であるフールは保護された。

 けれども兄は捕まったということであろう。

「まあ。そういうわけだから少なくとも完全に大丈夫とは言わないが……。そう簡単に捕まることは無いはずよ。

 とはいえ、油断は出来ないけれど……。

 私がいるから大丈夫よ。

 そう簡単に並大抵の相手に負けることはないわ」

 そう笑みを浮かべる。

 確かに見目は若くても魔法協会の会長だ。

 実力は本物だろう。

 それに、

「それだけではないんでしょう」

 そう僕は言う。

「ひょっとして魔女王のことに大きく関わっていたんでは?」

「……まあね」

 僕の言葉にあっさりと肯定するフィリアさん。

「魔女王との戦いでも前線にたったわ。

 もちろん簡単な戦いでは無かったわ。

 けれどもその戦いに大きく関わった。

 そう簡単に有象無象に負けるつもりは無いわ」

「当たり前と言えば当たり前だな」

 僕の言葉にそう答えたのはフィリアさんとローイだ。

「フィリア様は世界でも五指に入ると言う実力のある魔法使いだ。

 お前らが思っているよりもおいそれと会うことが出来ない方だ。

 この方がフールの保護もしているからこそ手が出せない。

 そういう一派もたくさんいるのだ」

 そう言ったのだった。


「他の誰でも無い。手を出した当人が言っても……」

 そう呆れたように薫が言えば、

「……ええい。細かいことを言うな。

 と、言うかあの時は正気では無かったから良いんだ」

 そう主張するローイ。

 なんとも自分勝手な理屈である。

「正直、後悔をしている。

 魔女王がこうして道を間違えて……。

 もはや人とも呼べない。

 そんな存在に成り下がる前に……。

 道を帰ることが出来たのでは無いのか?

 そう思う」

「まあ。言っている理屈がわからない。とは、言わない」

 フィリアさんの言う言葉に僕はそう答える。

 少なくともそんな悲劇。

 いくつかの運命、いくつかの人の生き様。

 それらが重なり合えば違う道があったからだ。

 けれども、

「いつだってもしもで考えるのは今よりも良い未来だ。

 今より良い未来。幸せな未来を夢見る。

 今よりも悪い結果なんて考えたくないからな」

 僕はそう言う。

「それに……結果論かもしれないが……。

 そういった騒動があったからこそフールは生まれたんだろ」

 話を聞く限り王子とフールの母である魔女王が結ばれる未来はどれだけのもしも(if) を重ねても結ばれることはまずなさそうだ。

 つまり、フールは生まれない。

「フールが生まれない可能性の未来を考えるなとは言わない。

 けれど……それをフールの前で言うなよ」

「大丈夫ですよ。気にしていませんし」

 にこやかに笑うフール。

「まあ。とにかくだ。

 問題というのはわかったが……。

 根本的にどうするかも同じだろ。

 呪いの魔女王を改心させるなんてのも難しそうだし」

 世の中には改心させるのなんて難しい。

 そういう存在が否応なく存在している。

 全てがわかり合えるということを夢見るほど俺は子供では無いのだ。


「ああしていれば……そんな過去を考えても意味が無い。

 それよりもこれから何が出来るか。だ」

 そう静かに言う。

 このまま呪いを解除していけばどうやっても呪いの魔女王を信奉する連中とぶつかるだろう。別にそこで剣や魔法を使って戦うつもりはない。

 武器と言えるのはハリセンぐらいなのだ。

 なんでハリセンを持って戦わないといけないのだ。

「呪いの魔女王を救うつもりもない。

 改心を願うつもりもない。

 こっちとしてはせいぜいが友人の母親だ。

 それも母親らしいことをしていない。生物学的な存在でしか無いからな」

 この世界に生物学的という言葉があるかは知らないが……。

 そう思いながらも言う。

 子供を産んだだけで母親になれるわけがないのだ。

 子供を産んだ後、ミルクを与えておもつを変える。

 三時間おきにミルクを飲ませ夜泣きに対応する。

 そうして育てて行く中で子供の成長と共に親も親へと成長していくのだ。

 ただ子供を育て……愛情というのも理解できなかった母親。

 そんなのは母親というのはあくまでも母体という意味でしかないだろう。

 だからこそ、そんなやつのためにフールが危険な目にあうのは納得出来ない。

 そして危険な目にあうのも御免被りたい。

 それが本音だ。

 薄情と言わないで欲しい。

 俺は聖人君主でもないし何でも出来るわけでは無いのだ。

 出来る事は限界があるし優先順位がある。

 少なくとも俺は自分自身よりも優先しようとする存在なんてほとんどない。

 正直、両親のことも優先順位が低いとは言わない。

 けれども極めて高いとは言えない。

 死にそうになったら……助けようとする。けれども自分の命を捨てでも助けようとするということを断言できる自信は無いのが本音だ。

 そういったことを考えると薄情かもしれないが……。

 命を捨ててでも助けに行く。

 そう断言できるほどのすごい人間では無いのだ。

 その言葉に、

「まあ。確かにね。

 正直、この世界の人間では無いんですよ。

 こちらは……。

 それを考えるとこちらの世界をよりよくしよう。

 そうする考えはあまりないですね。

 こっちは元の世界に戻りたいが本音と言えます。

 こちらの世界で生きていくにしても呪いをどうにかしたい。

 そういう考えです」

 その通りだ。

 永遠の孤独というわけではない。

 隣近所の人なども一緒に転移したし高校の学校事どころか町ごとなのだ。

 そういったことを理解しているものだ。

 だから生きていくことも出来たかもしれない。

 けれども呪われているのだ。

 真っ当な生き方が出来ない。

 そんな事をどうにかしたいと思うのは当然とも言えると思ったのだった。


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