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町ごと召喚で呪われ 呪われて美少女になった俺は高校生男子です  作者: 茶山 紅
第七の呪い 不思議の国でも鏡の国でもなく呪いの森の呪い屋娘アリス
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第三話 呪いの森と呪われウサギ


 一日経った。学校の方は休むと連絡しているし、そもそも学校なんてほとんど休校と言うか自主登校状態になって居た。

 呪いの中には、体調やら行きたくても行けなくなる。と、言う人もいるし呪われたから、一度も学校に行けない教師と言うのもいる。

 そのために、目的やら理由やらで学校に行けないと言うのも連絡済みだ。

 こちらも前もって連絡をしているので、納得されている。その代わりにと出されたプリントをアリスの家で地道にこつこつとしていると言うわけだ。

「まったく。ここは、どう言う食生活をしているのよ」

 と、薫が怒るように言う。

 何しろ、冷蔵庫、貯蔵庫と食料がある場所を全て探った。

 その結果、あったのはクッキーや飴玉、チョコレートと言うお菓子の類ばかりだったからだ。野菜にフルーツ、肉や魚などと言った食材がまったく無い。

 こんな食生活をすると、不健康極まり無いので薫はプリプリと怒っている。

 当たり前と言えば、当たり前だ。

 更に薫は武道家としての性質もある。

 武道家と言うと古風だが、言ってしまえばスポーツマンだ。

 スポーツと言うのは体が資本だ。

 寝る時間、起きる時間、食べる物には得に薫は気にしている。そんな薫としては、砂糖をふんだんに使っている糖分過剰摂取の食生活なんぞ我慢出来ないのだろう。

「魚も肉も野菜も……持って来たのですみそうじゃない」

 と、薫はぷりぷりと怒っている。

 旅なので何かあった時用にと食料を持って来ていたのだが、それもそこをつきそうだ。

「たしかになー」

 どちらかと言えば甘党な俺だが、それでも三食の食事を全てお菓子で良い。とは、思えない。両親の家訓で武道をどれか一つはしている。

 それも手伝って、母は食事には気を使う人でもあった。

「まずは、野菜ね。あと、魚。

 お肉は我慢出来るけれど、タンパク質と植物性の栄養素が足りてないわ」

 と、拳を握りしめる薫。

「じゃあ、呪いの森に入りますか?」

 と、言ったのはフルーだ。

 フルーは俺たちと対照的に食事にはあまり拘りがない。

 必要ならば、ドブ鼠を焼いて食べるような食生活をしていたためか……。食べて美味しいし、死なないならそれで良い。と、言う考え肩をしている様子だ。

 そんなフルーにしてみれば、三食が全てお菓子だとしても気にしない。

「本気か? まあ、たしかにこの食生活は問題があるが」

 と、言ったのはローイだ。

 ローイの方もこの三食全てがお菓子と言うのはぐったりしている様子だ。そもそも、ローイは実際の所、辛みを好む方で甘みが苦手な方だ。

 あの騒動で、あまり文句を言わないようになったが……。さすがに、三食全てがお菓子というのは文句をぐちぐちと言っていた。まあ、俺たちではなくアリスに対して文句を言っていたので、別に問題は無い。

「たしかに、美しい女性がこのままだと太ってしまう。それは、問題ですが呪いの森は摩訶不思議な世界。常識が通じませんよ」

 と、シャルフが言う。

 美貌云々はさておき、たしかに食生活は問題だが、この森も大概におかしい。常識が通じそうにないが……。このままの食生活も非常識というのが結論だった。


「まあ、俺たちの世界には虎穴に入らずんば虎児を得ず。と、言うからな」

「吐血苛ルンバ腰終えず?」

 俺の言葉にフルーが首をかしげる。とりあえず、いろいろと間違っている。

「まあ、虎の巣穴に入らなければ虎の子供は手に入らない。と、言っているんだ。

 俺たちの元居た世界の異国では、虎の子供が高価だったんだ。けれど、手に入れるのには危険な虎の巣穴に入らなければいけない。

 その事から、目的を達成するには危険も覚悟しなければならない。と、言う意味だ」

 まあ、いろいろと逸話が間違っていたかも知れないが……。大筋は間違っていないだろう。この場合、新鮮な食料を手に入れる為には呪いの森に入る必要がある。と、言う事だ。

 呪いの森は、実際の所はそれほど危険と言う訳では無い様子だし……。

 そうやって入って来た森であるが、

「しかし、よく解らん森だよな」

 と、俺は森を見渡しながら言う。

 マッピングの葉っぱをした緑色の幹の木。色彩感覚がよく分からなくなるような木。

そこに、たぶん果実がなっていた。

「……あれ、食べられると思うか?」

「あいにくと、この世界の果物に関しては詳しくないのよ」

 俺の言葉に薫が言う。

 なにしろ、果実の形からして奇妙なのだ。一言で言うなら、魚の形をしていた。子供が絵を描いた魚の形をしている。だが、色は中々にショッキングなラメ入りの銀色。

「とりあえず、果実と言うよりも鉱物みたいよ」

「なあ。フルーにフィリ。それと、ローイ。あと、ついでにシャルフ」

「ついでとは……恥ずかしがり屋さんですね」

 俺の言葉にシャルフはものすごく前向きな事を言う。

 前向きすぎて、何も言えない。

「どうでも良いとして……。

 で、あれはこの世界にちゃんと存在している果実か?」

「目の前にあるんですから、存在していますよ」

 そうじゃない。……と、フルーの言葉に俺は呆れてしまう。

「植物図鑑とか八百屋に売っている品か?」

「あー。さすがに載ってないけれど……。

 食べ物の飲食鑑定の魔法が使えるよ」

 と、ローイが言う。

「飲食鑑定?」

「成分分析計の魔法だよ。

 どっちかと言うと、未開の地とかそう言う発掘、発見を主流としている魔法使いなどが覚えている魔法だよ」

 と、ローイが言う。この世界でも未開の地やあるいは古代遺跡などを発掘、発見などをしている魔法使いだそうだ。主に、遠くの未開の地の探索。

 あるいは、遺跡などの事を分析している事らしい。

 その中には、確認されていない動植物などもある。その果実などを見て分析をして、成分……毒があるか、食べられるか? そんな事が分析が可能だそうだ。

 他にも年代やあるいは、魔力の生む等の事が解るのが鑑定らしい。

 飲食鑑定とは、言ってしまえば食べる事が出来るかどうか? 食べても安全か、危険か? と、言う魔法だそうだ。

「呪いの解呪などで、必要な素材を集める必要もあります。場合によっては、土地その場所が呪われることもありますので」

 と、ローイが言う。覚えて当然と言う顔をしているが、今までまったく使う機会は無かった様子だ。とは言え、今はそれに助けられそうなので黙っておくことにしたのだった。


 なりゆきという形ながら、俺たちはかくして食料調達となった。

 とは言え、

「うーん。食べれると太鼓判を押されても……。

 食べるのは躊躇するな」

 と、虹色に輝く川から釣り上げた魚を見る。

 ……と、言うかこれを魚と評して良いのだろうか?

 と、俺は思いながらそれを見る。外見は……顔が描かれたハートだ。赤、青、黄色、オレンジに、紫色に藍色。藍色と紫色なんかすごく色鮮やかであり、毒々しいが……。

 やっぱり毒はないそうだ。

 試しに持って来ておいたナイフで切ってみると、なるほどたしかに魚っぽかった。たき火で焼いて食べてみたら、美味しかったそうである。

 ちなみに、最初に食べさせたのはローイである。

 ローイが魔法で大丈夫。と、宣言したのだ。

 なら、本当に大丈夫なのかを確認するのはローイの役目だ。

 そのために、一通り釣っていく。

 どうやら、ここで釣りをする人間は居ないらしく面白いように魚がよく釣れる。

 まあ、釣りをしないよな。こんな不気味と言うよりも、頭がおかしい所でこんな魚の概念をこれでもか! と、破壊するような魚を釣って食べようとする人間もいないよな。

 と、思いながら俺は魚が焼けるのを待つ。

「本気で食べるの?」

「魚だ。タンパク質だ。

 とりあえず、俺たちに必要なのはそれだ。

 塩はあるんだから、味付けにも問題は無い」

 と、俺は言う。

 ただ、塩を振りかけてたき火で焼いて食べる。

 シンプルな料理と言えば、聞こえが良く味気ない料理と言えばそれまでだ。

 とは言え、久方ぶりのお菓子ではない食べ物だ。

 たとえ、外見は魚にみえなくても魚ならそれで問題は無いはずだ。

 と、俺は思いつつ俺は焼けた魚を食べる。

「……確かに魚だ」

 あえて言うなら、川魚に近い食感と味だ。

 刺身では食べる事は出来なさそうだが、ちゃんと火を通せばそれなりに美味しいだろう。 まあ、シンプルな味だし普段の食生活では満足できないだろうが……。ここのところ、毎日のように甘いお菓子ばかりを食べさせられていたのだ。

 それを、考えると久方ぶりのまともな食事。塩っ気が美味しい。

「あー。美味い」

「たしかに……外見はさておき、美味しいのね」

 と、薫も微妙な顔をしながらも食べる。

 まあ、魚と言うよりもハートの玩具。ただし、食感や味わいは川魚だ。まあ、それでは鮭なのか、鮎なのかとか魚の種類まで尋ねられたら本気で困る。

 あいにくと、それほど鋭い味覚の持ち主ではない。

 舐めて塩と砂糖が解るぐらいだ。

 とにかく、素直に食べながら俺たちは魚を釣っていく。

「食べきれない魚はどうするつもりだ?」

「干物にする。干物の作り方はしっているんだ」

 と、ローイの言葉に俺はそう答える。母が一時、干物作りにハマっていた事がある。とは言え、家庭で出来る簡単な干物作りにハマっていた。その手伝いなどをしており、俺も作り方ぐらいは出来ていた。

 その事を俺は静かに言ったのだった。


「ああ。なんて家庭的な。

 僕のお嫁さんになるために努力しているんですね」

「寝言は寝て言え。それとも、永眠させれば二度と寝言も言えなくなるかもな」

 シャルフの言葉に俺はそう冷たく宣言する。

 そもそも、干物は花嫁修業には無いだろう。いや、漁師の家に嫁入りするならば話は別かも知れないが、そもそも干物はどっちかと言うと料理の保存方法だ。

 俺はそう思いながら、魚を捌く。

 捌くと言っても、三枚降ろしにするわけではない。腹の部分を切って、内臓を水で綺麗に注いで洗う。もちろんそれは、理由がある。

  魚が今まで何を食べていたのか解らないのだ。ゴミなどがある理由などから、魚を焼く場合は内臓などを取るのが普通なのである。

 ついでに、腐りやすいのも内臓なのだ。

 干物にする上でも内臓を取り外すのである。

 実際に、スーパーでも魚は基本的に内臓をとった状態で販売されている。

 まあ、内臓まで食べれるのはごく一部……たとえば、サンマぐらいだ。サンマは内臓まで食べる事が出来る数少ない魚だったりする。

 俺はそれを思いながら、魚の内臓を取る。

 ……しかし、ハート型でもちゃんと内臓などの中身は魚なんだな。と、変な感動を覚えつつ、魚の内臓を取っていると、

「キャハハハハハ」

 と、笑い声が聞こえた。

 かん高い……アニメのキャラクターの合成音のような機械音。

 そんな音が響いて、俺はそちらを見ると、そこから現れたのは、一匹の兎だった。

 いや、ただし普通の兎ではない。

 タキシードの上着のようなものを身に着けており、時計などを持っている。

「アリスと不思議な森で、時計兎……」

 いつから、ここは不思議の国のアリスになったんだよ? と、思いたくなるような組み合わせだ。と、思う中で時計兎が走り出す。

 そして、

「あ!」

「魚!」

 俺たちが釣り上げた魚の山を持って走り出す時計兎。

「ちょっ! 待て」

 と、フィリがそう言って追いかける。

「あ、まて! フィリ」

 と、俺たちも慌てて追いかける。

「時計兎を追いかけるのは、アリスでしょうに」

「アリスさんがどうして、時計兎を追いかけるんですか」

 薫の言葉にフルーが疑問を口にする。

「と、言うかあれは?」

「はい。時計兎です。この森に生息する呪いの影響で突然変異した兎の種族です。

 周囲の空間と時間を自在に操る事が出来るようになった。と、言われて居ますが詳しい事は謎です。なにしろ、神出鬼没でして……捕まえる事も出来ない。

 捕まえる事が出来たとしても、簡単に逃げ出してしまうんです」

 と、言うフルー。

 どうやら、かなり常識の通じない兎らしい。

 しかし、それよりも俺が気になる事は別にある。

 うさぎ肉も癖があるが、食べることが出来ると言う。

 あのうさぎも食べる事が出来るのだろうか?

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