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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第五部 モンスターバスター 地上最大の対決
98/140

3 大都会

『魔装騎士』一〇体と『魔竜戦士』コノハが一人で対峙している。

それをレジウス、アステルが二人並んで椅子に座って見物している。


ラスニールとアンドリュー以下元情報部の面々は機器を調整しながら見守っている。


「レジウス殿。この魔装騎士たちはあなたの提供してくれた魔剣や魔装技術で攻撃力、防御力ともに大きく向上している。また、ドクターフランケン提供の魔力回路の情報で本体の動き自体もかなり良くなっている。

コノハ殿がいくら優れた戦士であっても一〇体まとめてというのはさすがに無理ではないだろうか?」

自身が魔装騎士の設計に携わったアンドリューは渋い顔をしている。


「アンドリュー殿、大丈夫だ。この模擬戦は『魔竜戦士』ひいては私とアステルがどれくらいの戦力になるかの目安にもなってくれる。

ちなみに私とアステルの魔道技術は私がやや上くらいだ。連携して闘う上での参考にしてもらえるとありがたい。」

レジウスは余裕の表情で笑っている。



合図とともに魔装騎士、コノハともに動き出し…コノハがかき消すように姿を消した。次の瞬間、コノハの残像が何十体も現れ、次々と魔装騎士が後ろに吹き飛ばされていった。


「なっ!!!」

あっという間に倒れた一〇体の魔装騎士を見て、ラスニール達は愕然となった。

どの騎士の胴体にも『溶かされた大穴』が空き、灼熱の魔法か何かで破壊されたのが明白だったのである。

だが、魔法を使った形跡もなく、魔力のバリアーと強靭な魔法金属をぶち破る灼熱の魔法弾をどうやって撃ちだして、高速移動が可能な魔装騎士に命中させたというのだろうか?


「魔法ではなく、『魔力弾』それも、竜の炎を使ったのですね…。」

ラスニールがほぼ無表情でつぶやいている。

レジウス一人でも自分たちの手に余りそうなのに、さらに『魔竜戦士』という怪物が二人もいるということだ。

(レジウス達と組めばモンスターバスター達は出し抜くことはそう難しくないかもしれないが、その後が…。

うかつな動きはできんな。この連中とは可能な限り敵対しないよう動くしかないかもしれん。)

 ラスニールは内心舌を噛んだ。



~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~



 「…レ、レジウスさま。少し待ってください…。」

街を歩きながら、自身の生まれ育った村とのあまりのギャップの大きさにコノハはいっぱいいっぱいになりながら必死でレジウスの後なんとかついて歩いている。


 「この辺の建物は全部、人造のものなんですよね…。」

 高層ビルを信じられないように見つめながらコノハはため息をついた。



 この世界に重なるように魔法が溢れ、この世ではありえないような不思議な生物たちが住む世界があり、お互いに行き来できるような扉『ゲート』でひっそりと交流している世界。コノハはそんな世界の戦国時代の日本のような島国の小さな村に住んでいた。

 忍びのものたちが住むその村でコノハは小さなころから忍びとして厳しい訓練を受け、桁違いの才能を早いうちから示していた。


 若くして非常に優秀な忍者として活躍したコノハは様々な重要な任務を誠実にこなしていき、その甲斐あってついにいくつかの隣国を含めて大きな講和がなされた。

 コノハはそのためにも後ろ暗い仕事も含めてやってきたことを誇りに思った。


 だが、各勢力の重要機密にあまりにも深入りしてしまっていたコノハは平和になると今度は上層部のメンバーの粛清対象になった。


 まともに戦っては殺すのも難しいと判断され、致死性・遅効性の毒をいくつか盛られ、それでも、必死で逃げ出すことに成功した。

 しかし、解毒するあてもなくなり、瀕死の状態のところにたまたま『星舟』から何とか脱出したレジウスに発見されたのだった。


 普通の回復魔法では間に合わないと判断したレジウスは『最後の賭け』として、膨大な闇の皇帝竜の魔力を注ぎ込んだ自らの血を飲ませた。

 ほとんどの人間はその魔力の強さに耐え切れず、体が崩壊してしまうのだが、心身ともに鍛え上げていたコノハはなんとか受け入れることができ、『闇の龍の驚異的な回復力』のおかげで一命を取り留めることができた。


 その後もレジウスは魔法でコノハの状態をいろいろ調整してくれ、魔力の暴走の危険がない状態にまで持っていってくれたのだ。


 今まで仕えた主君たちは自分がどれだけ活躍しても『道具』としてしか見てこなかったが、レジウスは彼らと違い、コノハの意見や感情を尊重して、一人の人間としてきちんと扱ってくれた。

 命の恩人の上に、温情溢れる君主にコノハはあっという間に心酔した。



 そして『国を奪われた皇帝レジウス』のためにコノハは命をかけて協力しようと思い、出逢って1か月、今日までレジウスのためにできる限りのことをやってきた。


 そして、今日『レジウスが取り戻しに来た世界』を始めて本格的に探索を始め…早くも挫折寸前になっていた。


 なんとか自身の二〇歳の女性という年齢にふさわしい服装を身に付けることはできたのだが、動きにくいことこの上ないのだ。

 下はスース―するし、靴はやたら歩きにくい上、すごくきついのだ。

 そして、馬車どころか『自走する機械』が町中に溢れていて、『理論はわかる』ものの、感情が付いて行かないのだ。


 ただの見物ならもう少し気楽にいろいろ見ることもできようが、なにしろ無二の主君のために最大限情報収集する必要があるのだ。

 『絶対に失敗は許されない』のだ。


 そして、その主君だが…以前の部下からもらったという『たぶれっと』という道具を何とか操りながら、街の様子を興味深そうに見ている。

 何でも『動力源』は違えど、街の機能や規模などは『彼の帝国』とそう大きな差はないということらしい。

 (自分はとんだ田舎者だったのだ。情報を得るプロだと自負していた自分が恥ずかしい。)

 レジウスの役に立ちたい、役に立たねばと気ばかり焦って、体も思うように動かず、コノハは頭が空回りしていた。


 だから、普段なら絶対にありえない失敗をした。

 横断歩道を渡った際、道路から歩道に上がる際にパンプスをひっかけて、転びそうになったのだ。

 (やらかした!)

 レジウスに恥をかかせた!そう思った時、前にいた人に抱き留められたのに気付いた。


 「お姉さん、大丈夫?靴が合っていないみたいだよ?」


 助け上げてくれた女性は自分より少し背の高い銀髪の若い女性だった。

 「も、申し訳ない!!助けていただいて、恩に着る!」

 コノハが必死で謝ると、かわいく着飾った女性はにっこりと笑った。


 「どういたしまして。おしゃれされるのは素敵なことだけど、もう少し体に合ったものを選ばれないと…。靴が少し小さい上にヒールが高過ぎないですか?

 歩き方を見ていて、パンプスに慣れておられない感じがしたから、気になって見ていてよかったわ。」

 この女性は自分が不慣れな歩き方をしているのに気が付いて、こっちを見ていたらしい。

 何という失敗をしてしまったのだろう。

 コノハはさらに恥ずかしくなった。


 「どうした、コノハ?」

 自分が付いて来ないのに気付いたのだろう。レジウスが振り返ってきた。


 「もう、『彼氏』さん。ちゃんと女性に気を遣って…。」

 女性はレジウスと目を合わせると、きょとんとして言葉を止めた。

 そして、目の前のコノハとレジウスを両方見やった後…満面の笑みを浮かべた。

 レジウスは…何とも言えない表情をしている。


 「もう、彼氏さん♪『デート中のカノジョ』にきちんと気を配ってあげないとダメじゃない♪」

 言われたレジウスは女性が何を言っているのかピンと来ないような表情をしており、コノハは……『デート』『彼女』という単語の意味が頭の中ではっきりしてきて、全身から火が出そうになった。


 「まままま、待ってください!!!!私はレジウス様のカノジョなどという大それた存在ではありません!!!」

 何か言おうとしたレジウスが口を開く前に結果的に被せるようにコノハはいろいろ叫んでいた。

 それを聞いた女性は……さらに嬉しそうににっこりと笑った。

「わ、私はただの部下です!今レジウス様に街を案内していただいているのです!!」

 自分を主君の『彼女』などと誤解させたままでいるわけにはいかない。


 「…あのう、『レジウスさんが』案内されているのですよね…。」

 銀髪の女性はなんだか微妙な表情をしている。

 なにかまずいことでもあったのだろうか?


 「瀬利亜はん、どないしてん?」

 銀髪の女性、瀬利亜の連れと思われる男性が声を掛けてきた。

 そして、コノハ、レジウスとやり取りをしているのをみて、さらに男性は言った。

 「お二人さんは友達でっか?」


 「うーむ……男性の方は『もう少ししたら友達になるかもしれない』知り合い……そんな感じだわね。女性は男性の部下なのだそうよ。」

 瀬利亜という女性の表現はなんだか難しいが、とりあえず、レジウスのことを知っていて、敵意はないらしい。

 それに、自分を助けてくれたあとのやり取りから非常に親切な女性であるようだ。

 特に自分を見る視線がすごく優しいのが感じられる。


 「その女性、おしゃれしてはるけど、デートやあらへんのね。」

 「うん、服のセンスはいいのだけれど、着なれない服や靴を履かれているから、すごく窮屈そうなの。すごく可愛らしい女性なのだから、磨けばさらに映えるんだけどね。」

 瀬利亜という女性はコノハをしげしげと眺めている。


 『可愛らしい』と真剣な表情で言われて、コノハは真っ赤になった。

 瀬利亜という女性は同性から見てもすごくきれいなうえに、着ている服も非常にオシャレのようだ。自分も同じくらい上手に着飾れば……。

 思考がトンデモナイ方向に行きかけて、コノハは慌てて首を振った。


 「とりあえず、二人ともこの町に不案内のようだから、ちょっと手伝ってあげた方がよさそうなんだけど。」

 「そういうことでんね。ええよ、わてに任せてもらいまひょか♪」

 瀬利亜の連れの男性はにっこり笑ってコノハとレジウスを見た。


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