4 サンタクロース
私と光ちゃんはみんなの乗ったマイクロバスを見送ると、ホテルへの移動を開始した。
参加メンバーは全員マイクロバスに乗ったようなので、町までは大人しく帰ってくれるようだ。
ナースチャと巧人さんも二人だけで動いたらしい。
もうあちらは完全に二人に任せておいて、私たちは自分たちのことに集中しようと思う。
…とか言っているうちにあっさりイタリアンに着いてしまった。
まあ、食事中は『大阪での光ちゃんのご親族への顔見せ』の時のように『近くの席で懇親会』とかされなければこちらもあまりどうこう言うつもりはないのだが。
光ちゃんがいろいろ神業を駆使してくれたおかげで『個室』です♪
イタリアンで食事自体は『仕事柄』案外あるんですが、イタリアンを含む高級レストランでディナーはめったになく、ましてデート、それも個室なんて初めてです!!
光ちゃんはデートで何度も経験があるはずなので、涼しい顔で席についてますが、私は表面上はともかく、内心はドキドキでございます。
ましてや今晩は……。
いかん!!死ぬほど緊張してきたのですが!!
そうだ!今まではどんなピンチでも『知恵と勇気と根性』で乗り越えてきたではないか!今日の『ピンチ』も………いやいや、今まで本当に大変な時は『シードラゴンモード』、別名『無敵モード』を使ってきたではないか!!
シードラゴンモードの時はテンション、思考が完全に『無敵のスーパーヒロイン』になるため、まさしく知力・精神力をフル稼働させて、あらゆるピンチに対応できるのだが、デートをしているのか、『任務を遂行』しているのかわからなくなってしまうのだ。
その状態でデートとか『問題外』だよね?!
「…瀬利亜はん?気分でも悪いんでっか?」
私が不審そうな様子をしているので、光ちゃんが声を掛けてきた。
「…こめん、ちょっと♪」
さりげにトイレに行く振りをして席をはずす。
廊下に行って深呼吸すると少し落ち着いた。
よく考えたら、相手は『お互いずっと素で接してきた』光ちゃんではないか。
少々馬鹿をやったからと言って、それで大失敗とかにはならないよね。
よし、落ち着け、瀬利亜!通常モードで大丈夫だ…。
さて、戻ろうとすると、同じように廊下に深呼吸をしに来た女性発見!
あちらもクリスマスデートかな?……いやいや、ナースチャじゃん!!
ナースチャは私を見つけると思い詰めたような顔で速足で歩いてきた!
「せ、瀬利亜!!こういうデートの時、どう振る舞えばいいかわからないんだ!!」
落ち着け、ナースチャ!!本来なら私に聴くこと自体が間違いだ!!
私も同じ状況で『心臓が破裂しそう』です!!
…などということを話したら、ナースチャがパニックになりそうなので、『第三者視点』に無理やり切り替えて、『気合で助言』できるようにしてみる。
おお!気力で『最高の笑顔』が何とか作れたぞ!!
「ナースチャは異世界で巧人さんとずっと『素で思いやりのあるやりとり』をしてきたのでしょ。普通に巧人さんに喜んでもらおうと思って振る舞えば、大丈夫だよ。
ナースチャが自然にしたいと思うように振る舞えば全然問題ないと思うよ♪」
おお!!我ながら『完璧な答え』だ!!これ以上『それらしいことを言う』のは無理です!!お願いだから納得してください!!
「ありがとう、瀬利亜!!すごく楽になったよ!無理せずに、いつものように自然に食事をするようにするね♪」
「うん完璧にしようなんて思わずに、お互い楽しもう♪」
ナースチャが笑顔になって戻っていく。
よかった!なんとか『ボロを出さずに』済みました!!
いえ、私が単に恥をかくのはいいんですよ。ただ…あの『他人ごとではない』ナースチャの状態を何とかしてあげられないものかと…。
「瀬利亜はん!素敵やん!!さすがや!!」
はっ!?光ちゃんが心配になって見に来てくれていたようです。
「…どこから見てた?」
「???ナースチャと話し始めたあたりからやけど…。何か気になることが?」
部屋に戻って、『心情も含めて』説明したら、思い切り笑われました。
この!すねちゃうぞ!
「瀬利亜はん、ごめんごめん。笑うたんは馬鹿にして笑うたわけやないから。
瀬利亜はんがあんまり『愛すべき』行動を取らはるんで妙に嬉しゅうなってもうて♪
…そうやね、いつも『スーパーヒロインとして』カッコいい行動ばかりが目につくけんど、実際は『記憶喪失の時』に見せてもろうたように、『一人女の子』やもんね。
わてももう少し配慮せんといけんね。
というわけで、今夜のデートは…いや、わてと一緒の時はシードラゴンマスクではのうて、『素の瀬利亜はん』として楽しんでや♪」
光ちゃんがにっこりと私に笑いかける。
くっ!これか!!多くの女性の心を鷲掴みにし、常時スーパーリア充であり続けたのはこの『気配りのセリフ』ゆえか!?私のハートも完全に鷲掴みに…。
ここはお返しに心を込めて、お礼を言わねばなるまい!
「光ちゃん、ありがとう♪そう言ってくれるのは光ちゃんくらいだよ♪」
おっ!光ちゃんがにっこりと笑いながら照れてくれている。
うん、よかったよかった!
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今日のデートは本当にえろう楽しめました♪
お昼の待ち合わせの時、ほんまはちょっとだけがっかりしてまいましたが、なんとか『仲良しカップルをせいいっぱいフォロー』しよういう瀬利亜はんの思いやりがあまりにも『可愛らしかった』んで、むしろ積極的に協力しよう思いました。
わくわくランドでの『遠足』もほんまにおもろかったです。
学校行事も基本大好きなんですが、こういうイレギュラーイベントも大好物やね♪
わくわくランド内のアトラクションも楽しめましたが、『シードラゴンマスクのフィギュア』を見つけた時は、『気が付いたら』買うてもうてました…。
わてが瀬利亜はん自身が大好きなのはもちろんのこと、『シードラゴンマスク自体の大ファン』でもあるとあらためて認識してまいました。
マニア魂をくすぐる出来に思わず感動してもうたんやけど、知らぬ間にモデルにされた瀬利亜はんからしたら、『お尻のほくろまで再現』されて、衣装が着脱自在とか『くそ迷惑でしかない』よね…。
えっ?『X-Dayがまだなのに、何でほくろのことまで把握しとるか?』でっか?
もちろん、覗きなんてやってまへんよ?
『相手の嫌がることをしない』のは真のリア充の必須条件や!!
一緒に温泉任務に行ったときに『ラッキーイベント』が何度かあったわけや。
というわけで、わても『目撃』しましたが、瀬利亜はんも『目撃』されてます。
というか、今日が『X-Day』やん!
あかん!意識しすぎると会話がぎこちのうなる…。
なんとか『賢者モード』になって…。
…とか、やってる間に瀬利亜はんがホテルの廊下に出られたんやが…なんか様子がおかしい気がするんよね。
ナースチャはんとのやり取りの解説を聞いて、あんまり瀬利亜はんが可愛らしいんで、思い切り笑いました。
『もうなに!このかわいい生き物は!!』くらい感動してまいました!!
そして、フォローするようなわての発言に……何、この反則の笑顔!!
『女性はいるだけで男性よりずっと華がある』なんて話があるんやけんど……恋愛モードに入られてからの瀬利亜はんは『反則級の笑顔』を『わてだけに』向けてくれはるんで、一緒にいるだけで、『萌え死にしそう』です。
そして、食事の味もようわからん『萌えモード』にいるとき、窓の外に……あれ、なんやねん?
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ここは30階のホテルの最上階なのだが、食事中に窓の外に不審な人物発見…て、はっ?
黒い衣装を着た若い女性のサンタクロース…ぽい人物がトナカイの引いていない『宙に浮いたそり』から降りてくると、黒い袋を背負ったまま窓をすり抜けると、食事中の私たちの個室に入ってきちゃったんですが…。
「悪い子はいねえが!リア充はいねえが!!」
ええと、ナマハゲの真似っこですか??
黒髪の美人のサンタさん?は目の焦点が合わないままこちらに近づいてくる。
あまりの事態に固まっていた光ちゃんがサンタさんを止めようと動き出した時、私も我に返って、懐からハリセンを取り出す。
「シードラゴン『脱洗脳』アタック!!!」
ハリセンでサンタさんをはたくと、あっさり気絶した。
「はっ??私は一体何を?!」
私が回復魔法(というか気の手当て)を掛けると、着ていた衣装が赤く戻り、正常な瞳に戻ったサンタさんが目を覚ました。
状況を説明すると、サンタさんは真っ青になって平謝りされていた。
以前の私同様、『彼氏いない歴』=『年齢』のサンタさん(ちなみに年齢は秘密だ)は子供たちにプレゼントを贈るのは大好きなのだが、『カップルのための夜』とか言うクリスマスの『変な方向性への盛り上がり』に大きくストレスを感じていたのだという。
うんうん、以前の私もそうだった!!
そして、今年は念願の彼氏ができる寸前だったのだが、『クリスマスに仕事のある』彼女はあっさり振られてしまったのだという。
そこで、サンタである自分に嫌気がさして、『暴走』してしまったのだということだ。
「正気に戻して頂いたお礼にプレゼントを差し上げたいと思います。
サンタクロースの魔法であなたの心から望むプレゼントを差し上げることができます。
何がよろしいですか?」
私は最高のクリスマスを迎えるために必死に考えた。
「『勝負下着』をお願いします!!」
「「……。」」
……部屋の空気が凍りつき、私はトンデモナイことをやらかしたことに気付きました。
……結果として『プレゼント』はその夜『大活躍』してくれました。
詳細は『察して』ください。
では、メリークリスマス♪♪
クリスマス大作戦成功!!




