15 エピローグ
「はーい、今日は重大発表があります♪なんと私と巧さんが結婚することになりました。皆さん、特に瀬利亜ちゃんよろしくね♪」
………夕食が始まった時にアルさんの超級の爆弾発言がありました。
私を始め、全員が動きが止まりました。
最近驚くことが多かったですが、ここまで驚いたのは初めてです。
『 巧さんも『私のお父さん』ではなく、久能巧さんとして、過ごしてもらえるようになるといいな♪ 』と思った途端にこの現象です。
「ちなみに聞くけど…もしかしなくても『プロポーズは巧さんから』だよね?」
アルさんは昨日まではまったくそんなそぶりを見せていなかったからそれしか考えられないのです。
「そうなの。あまりに真摯に告白してくれたんで、感動しちゃいました。
で、一番問題になりそうなのは瀬利亜ちゃんの意志だけど、大丈夫?」
アルさんがやや不安そうに首をかしげている。
「……事情は分かったわ。『家族を取られるみたい』でちょっと悔しいのだけれども、当人同士の意志が固い以上『特別に許す』わ。結婚おめでとう!!」
「ごめんね、巧さんを瀬利亜ちゃんから取るみたいになってしまって。」
アルさんが済まなそうに顔を伏せる。
「大丈夫、『アルさんを取られるみたい』でくやしいけれど、『巧さんだから特別に許す』わけだから。アルさんは気にしなくていいよ♪」
「瀬利亜はん!そっちなん?!」
光ちゃんがツッコミを入れてくれる。
…あ、巧さんが明らかに『がっかりした顔』をされている。うん、もちろん巧さんのことは大好きだし、最大限信頼してます。
でも、冷静に振り返ると、アルさんは『親友 兼 お姉さん』だけでなく、半分くらい母親の代役みたいになってくれていた感じがする。
父親と母親では『母親の方が子供との心理的な結びつきが強い』という話はよく聞くが、この件もそうなのではないだろうか。
『特別に許す』だけでも巧さんに最大限譲歩してるんだよ…と勝手なことを思ったりする。
「よかったあ♪それと、美佐ちゃんは応援してくれるかな?」
アルさんは今度は美佐ちゃんの方を向いて微笑む。
「も、もちろんです!!じゃあ、アルテアさんが私の『もう一人のお母さん』になって下さるわけですね!」
「そうかあ、考えてみたらそうね。私にいきなりこんなにかわいい娘ができるわけなのね。嬉しいな♪」
アルさんが『壮大な胸』で美佐ちゃんを抱え込む。1メートルを超えるバストに埋もれて、美佐ちゃんがじたばたしている。
私も『何度も経験している』けれど、アルさんの胸にうずもれるのはすごく気持ちいいんだよね♪
優しさと愛情と、いいにおいと絶大な柔らかさに包まれて、まさに至福の時間なのだ。
今度からは美佐ちゃんだけでなく、巧さんもうずもれるようになるわけだ…。ちょっと悔しいが、旦那様になるのだから仕方ないね。
…ふと隣を見ると、光ちゃんがうらやましそうな顔をして美佐ちゃんを見ている。
「こら、光ちゃんは『こっち』にうずもれればいいでしょ!!」
私は光ちゃんを無理やり胸元に引き寄せる!
十秒くらい私の胸元でバタバタ劇が起こった後、光ちゃんは真っ赤になった顔を剥がして呟いた。
「向こうに埋もれたら、至福の時間で蕩けそうやけど、こっちに埋もれたら、『興奮』して、アクティブになってしまいそうやね♪」
「ええい!ここで下ネタはNGです!」
私は取りだした『ハリセン』で、光ちゃんを一閃する。
…みんなが微妙な視線でこちらを見るので、私と光ちゃんはあわててすまし顔になる。
そして、アルさんと巧さんの結婚は正月明けにすることが正式に決まった。
既に12月だからあとひと月もない。
私の結婚決定も早かったが、それ以上の早業だ。
さすが?大魔女、仕事が早い!
日本で結婚するということで『神那岐神社』で式を挙げ、披露宴はなんと石川邸ですることになった。
宮司さんはちーちゃんのお父さんか…。あの人霊力のある本物ではあるけど、頼りないんだよね…。奥様の水音さんに代理宮司をやってもらおうかしらん。
新婚生活はここ、石川邸ですることになった。
…うーむ、私にとって…いや、アルさんと巧さん以外の人たちにとって結婚前後であまり影響が出ないようだ。
私たちは来年の4月に結婚するわけだが、離れに夫婦の部屋を置くことにした。
一緒に住むみんなのことは大好きだけど、プライベートも同時に大切にしたいと思うから。
ちなみにレジウス対策も兼ねて、ロシアのパザロヴァ姉妹も下宿してくれるようになった。前回の戦いで学習したレジウスが強力な仲間や部下と一緒に来る可能性が高いと踏んだからだ。
家にはイギリスのアルさん宅に続いて、パザロヴァ邸にもつながる魔法のゲートをアルさんに設置してもらったのだ。
なんだか下宿『石川荘』でも始めて、管理人さんになった気分だ。
楽しいからいいけど♪
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年末でバタバタするのと(やはり年末は解決すべき事件が多く、モンスターバスター、スーパーヒロインとして活動が増えるのだ。週末は特に…。)下宿『石川荘』の運営、アルさんと巧さんの結婚の準備でクリスマスまでスケジュールがびっしり詰まってしまった。
光ちゃんとも二人で一緒に過ごす時間が取れません。
『Xデー』はクリスマスイブまで待つしかないのか?!
ここで、どうせ4月からは石川邸に同居するのだから、『光ちゃんにも早めに引っ越してきてもらう』という裏技を駆使しようと提案したが、『結婚前』に『現役教師』が受け持ちの生徒とそれをやったらさすがにまずいらしい。ちっ!
というわけで、クリスマスイブは終業式の後、街中をデート。その晩はホテルでイタリアンを頂いた後、そのまま『宿泊』することまでが決まっている。
思えば『長い道のり』でした。
当然、少し前の大阪行きの時のような『見学者はお断り』です。
ついでにディナータイム以降は二人とも『下ネタは禁止』です。
光ちゃんも気安い男性の友人相手ならともかく、他の人相手にはほぼ下ネタは使わないのだが、私相手だと『遠慮なく』使ってくるのだ。
たまにならいいけど、もう少し『ロマンチックな雰囲気』も重視してほしいのだ。
元がスーパーリア充なので、『相当溜まっている』だろうし、ストレス発散も兼ねているだろうから、大目に見ているけれど、あまり頻繁なようなら『イエローカード』を使わざるを得まい。
そして、いよいよ待望のクリスマスイブです♪
終業式が終わり、光ちゃんと街で待ち合わせをしていると、仲睦まじいカップルが手を組んで歩いているのが見えた。
ふと見るとパザロヴァ姉妹の姉、アナスタシア(ナースチャ)と美佐ちゃんのお兄さんの巧人さんではないか?!
妹で重度のシスコンのエレーナの妨害が入るのでなかなか二人きりの時間が取れないそうだが、今日はうまくスケジュールを合わせたのだな。
なんでもカイザスさんと合わせて三人で『異世界に勇者として一緒に召喚』されている間に仲が進展したらしい。
あの時はこちらは『人員不足』でえらい苦労したが、『彼氏が未来永劫できないくらい位の勢い』だったナースチャに優しいパートナーが出来てくれたのだから、そこは良しとしよう。
しかし、本当にお互いに仲良さそうでほほえましくなってくる…おっとっと、思わず自分のデートを放っておいて『追跡しそう』になっていた。
…おや、美佐ちゃんと望海ちゃんが仲良く歩いている。彼女たちもお出かけ…明らかにナースチャ達を追跡してるじゃん?!!
おいおい、それは魔法少女としてどうなの?アメちゃん、ちゃんと指導してくれないと……アメちゃんが一番ノリノリじゃん!!!
サポート妖精がそれどうよ?!望海ちゃんも付いていく気満々で、むしろ美佐ちゃんが一番気兼ねしているようだ。
ここは『お姉さんが教育的指導』をするしかあるまい!
そして、美佐ちゃんたちに近づいて行っていると、エレーナ発見!!
黒髪のおっとりしたロシアの美少女がナースチャ達から少し距離をとって、じりじりと彼女たちに近づいている。
まさか、エレーナも『見物』?…いやいや、こちらはオーラからして『妨害する気満々』なんですが?!
「エレーナ、どこへ行くのかな♪」
私が後ろからエレーナの左肩に手を置くと、エレーナはびくっと震えてこちらを振り返る。
「!せ、瀬利亜!邪魔しないで!」
「邪魔?何をするつもりだったのかな?」
「…そ、それは…。」
悔しそうな顔をしてエレーナは黙る。
「…小さいころからのことはナースチャから聞いているから、気持ちはわからないでもないけど…。そろそろ、ナースチャを自由にしてあげようよ。」
「…で、でも…。」
真剣な顔でエレーナを見つめると、やはりよくないとはわかっているのだろう。
すねたような顔でエレーナは黙ってしまう。
「エレーナもアルさんから聞いてるでしょ。ナースチャは今回を逃したら『10年はチャンスがない』って。
それには続きがあって、10年後の候補の人は『巧人さんよりかなり劣る』上に、可能性としては『五分五分』くらいみたいよ。そして、それを逃したら……『考えたくもない状況』になる可能性が高いらしいわよ。
私自身も『正義の直観』で確認したからかなり精度の高い情報だと思うよ。」
「そ、そんな!?」
エレーナがさすがにうろたえる。
「待ってくれ!瀬利亜、それ本当なのか??!!!」
遠くからナースチャが必死で駆けてくる。
……聞こえていたのだね…。というか、追跡者全員に気付いていたでしょ?!
「そんな、お兄ちゃんとナースチャさんを応援しなきゃ!!」
「巧人さん、頑張って!!」
「女性のモンスターバスターはこういうご縁は貴重だから大切にしてあげないとね♪」
「私たちも応援しましょう!!」
……美佐ちゃん、望海ちゃん、アルさん、ちーちゃん…みなさん、なにをやっておられるんでしょうか…。
私たちのことが落ち着いたら、今度はナースチャ達のことを応援ならぬ、デバガメですか?!
「瀬利亜はん、お待たーー♪……なんかえらい大人数でんね?」
「……ええ、この人達を放置するといろいろやらかしてくれそうなので、夕飯時までは引き留める必要が出来てしまったの。」
「……しゃあないなあ。みんなで『わくわくランド』に行ってのんびりすごしまひょうか♪」
にっこり笑って光ちゃんが提案してくれる。
ちょっと残念だが、夕方までは二人きりのクリスマスはお預けだ。
しかし、この状況を嫌な顔一つせず受け入れてくれる光ちゃんはやはりとても優しく懐が大きいと感じる。
とはいえ、ディナータイム以降は『二人のロマンチックタイム』を妥協することはありえない!
いかにして『みんなを撒く』かのクリスマス大作戦をきっちり考えねばなるまい!
第四部完




