14 真相
巧さんから7年前の真相が明かされた。
当時、アメリカ軍魔法情報部は科学技術と魔法技術を併用して個人や自動車サイズの瞬間移動、空間移動の機械を開発していた。
それは「時空機」と名付けられ、転移先に物がある場合『自動的に避ける(あるいは物体をどける)』ことで非常に安全に転移させることができる技術が確立された。
時空機の大きさは中型トラックくらいで、座標の特定さえできれば、安全に地球上のどこでも転移できる兵器が開発でき、上層部は色めきたった。
だが、『想定外にいろいろできてしまう』ことが判明し、一気に扱いが難しくなった。
一つは『時間を越え』たり、『異世界』に行くことすらできるということ。
歴史を改変したり、異世界から貴重なものを米国だけが入手できる可能性が出てきたのだ。
そして、もう一つの問題は『故意に暴走』させることで、近辺の空間を崩壊させ、うまくいけば大陸一つを消し飛ばせるくらいの破壊を起こせることだった。
『転移してくるまでは探知不能』な『大陸破壊爆弾』からどうやって国を守るというのだ?!
さらに悪いことに一部軍産複合体と結び付いたグループがそれを使って、『世界征服』を企んだ。
そのグループ旗下の『抹殺部隊』は『魔術情報部をその家族ともども殲滅』し、兵器を奪おうとしたのだ。
抹殺部隊の奇襲に魔術情報部は壊滅したものの、巧とその上司のラスニール元准将他数名は逃げ延びた。
巧は妻と長男を失ったものの、唯一の完成品の時空機を奪って美佐とともに逃げ、世界中をさまようことになった。
その際、『世界中に宣戦布告』することで、『抹殺部隊』及び、そのバックのグループに手を出させにくくすると同時に、うまく引きずり出すことで結果的に他国軍やモンスターバスター達に彼らを殲滅させられればと目論んだ。
だから、スーパージャスティスが出てきたとき、強敵が来た恐怖と同時に『美佐を助けられる希望』が出来たと巧は期待もした。
スーパージャスティスとは戦闘になったものの、途中で抹殺部隊から美佐をスーパージャスティスのパートナー・ミステリアスレディが保護された。
そのことにより、スーパージャスティスとは和解、美佐はもちろん巧の命も助かった。
だが、酷使しすぎた『時空機』が暴走し、そのままでは日本近辺が消し飛ぶ危険が襲われた。
それを見たミステリアスレディは迷わず時空機に乗り込んだ。
もちろん、それを追ってスーパージャスティスも一緒に乗り込んだ。
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「待ってくれ!それを扱えるのは私だけだ!」
「大丈夫、私の『特殊能力』はあらゆる機械・武器類を直観的に正確に操ることだから!あなた以上に最善の結果をもたらしてみせるわ!!」
叫ぶ巧にミステリアスレディが優しく告げる。
「しかし、もともとその機械が暴走したのは私の責任だ!!」
「いや、まずは娘さんのために親としての責任を果たしてあげてくれ。」
「しかし、あなた方にも家族が!!」
「……そうだね、だから、『われわれが帰るまで』うちの娘ことも気にかけてくれないか?
そこの御嬢さんより少し年上なんだ。
しっかりしてるけど…まだ10歳だから…。
娘にはこれを見せれば必ず信頼してくれる!頼みます!!」
スーパ―ジャスティスが『メダル』を巧に投げると、時空機は姿を消した。
巧と美佐は…呆然と時空機の消えた後をしばらく見ていた…。
まもなく到着したアルテアの調べでは『遥かな異世界』へ飛んでいき、暴走の影響でアルテアでも追跡は不可能だった。文字通り『行方不明』だ。
巧は遠い親戚でアメリカでも交流のあった水守家の人達達に美佐を託した。
モンスターバスターチームが総出で、『実行犯グループ』を殲滅したとはいえ、狙われていた自分の近くに美佐を置きたくなかったから。
そして、本来なら時々様子を見るくらいの予定だったはずが、たった一人でいた瀬利亜をどうしても置いておけなかった。
自分の行動が原因で、この子は一人になってしまったのだから…。
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「……まさかそんな真相だとは…。でも安心したわ。
だって、父も母も最期までスーパーヒーロー、ヒロインとして全力で人助けに動いていたんだもん。
きっと、どこか遠い世界で今頃『夫婦漫才』していると思うわ。」
「お嬢様、私のせいでお二人がこんなことになって、本当に申し訳ありません。」
「いえ、全然巧さんのせいじゃないじゃない。巧さんと美佐ちゃんは巻き込まれた被害者じゃない!そして、父と母は巧さん、美佐ちゃんやいろいろな人を助けようと動いて、自分までは手が回りきらなかっただけ。
むしろ、二人が助かってくれたことで本望だったはずよ。
だから…二人とも気にしないで♪
いえ、二人とも父と母の最期を『見届けてくれて』ありがとう!」
私は巧さんと美佐ちゃんににっこりほほ笑んだ。
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「く、とんだ邪魔が入った!連中はスーパーモンスターズの忍者どもか!
まさか、手なずけているとは思わなかった!」
中型の時空機で『裏の世界』に逃げ延びたラスニール達は外に出ると息を吐いた。
「まさか『大魔女』や『コーザル』がいなくてあそこまで苦戦するとは…」
白衣のアンドリューも渋い顔をしている。
「今の戦力と技術では我々だけでは大したことはできんということか。」
ラスニールはしばらく思案していたが、まもなく『ある気配』に気付いて、表情が鋭くなる。
「気を付けろ!とんでもない奴が近づいてきている!!」
ラスニールの言葉にアンドリューと五人の兵士は臨戦態勢に入る。
「…!!この圧倒的な気配は?!最大限警戒しろ!だが、戦闘が確定するまで手は出すな!!」
センサーを見ていたラスニールの表情が愕然となる。
背中から漆黒の翼を生やし、音もなく滑空しながら近づいてくるあの男は!?
「機械だけで時空間移動ができるとは…ずいぶん面白い機械なのだね。」
半竜・半人の形態をとったレジウスはラスニール達と少し距離を取って、地面に舞い降りた。
「貴様が『あのレジウス』か!星舟ごと行方不明と聞いていたが、無事だったのだな。」
いつでも全力で戦えるよう身構えながらラスニールはレジウスを睨んだ。
「待ってくれないか?私はただ、珍しいものを見つけたから、『見物に来ただけ』なのだよ。『利害関係のない』君たちと戦おうとはこれっぽっちも思っていないさ。」
レジウスは涼しい顔で肩をすくめた。
「それにしても、君たちはいろいろなことに詳しいのだね。気が向いたら、いろいろなことを話してくれるとすごくうれしい。」
世間話をするように澄ました顔のレジウスにアンドリューは激高しそうになった。
この男は『自分たちに絶対に負けない』と万全の自信をもっているとわかったから。
「話をしてもいいのだがね、その前にいくつかこちらの疑問に答えてからにしていただけるかな?『利害関係』がないと確認できればそういう話もできそうだ。」
ラスニールは『レジウスが話が通じる』こと、『戦闘の意志がない』ことを見て、情報収集に切り替えた。
情報部元准将だけに人を見る目には自信があった。
『利害関係が合わず敵と認識』されなければ、この男は自分たちにとっては有害ではない…。いや、うまくすれば…。
ラスニールは内心ほくそ笑んだ。
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「なあ、瀬利亜。五月雨たちとどうやって知り合ったんだ?」
倉庫から引き上げ、石川邸で落ち着いた時、アメちゃんが話しかけてきた。
「『とある事件』に私たちと五月雨さんたちが巻き込まれてね、それを解決する過程で仲良くなったのよ。」
うん、『モンスターバスターチームトップのコーザルたちの暴走がそもそもの原因』とか言う話は秘密にしておこう。
「そうそう、あの時は瀬利亜殿とも思い切りやり合ったな。
お互いあの時よりかなり強くなったと思う♪」
雷電忍者が嬉しそうに腕をさする。いやいや、それを言い出したら、『全部話さないと』わけわかんなくなるんですが?!
それにしても『山籠もりで修業』の結果、『実力が底上げされていたあの時以上』の実力を身に付けているとはこの人もとんでもないよね?!
「…やり合ったって…どういうことなんです??」
美佐ちゃんがびっくりして私を見る。
うん、当然こうなるよね。
というわけで『かくかくしかじか』と説明をした。
本来ならモンスターバスターチームの一部が『悪意ではなかったとはいえ、秘密結社を作り、忍者さん達を洗脳して駒として使っていた』ような情報を流したくはないが、このメンバーなら大丈夫だろう。
ちなみに五月雨さんは『マジカル忍者』、月野さんは『くノ一忍者』、雷電忍者(元横綱忍者)は本名は大川敏夫が本名だそうだ。
「…そうか、五月雨さん達、暗黒魔王に操られていた『魔法博士たち』と同じような立場だったのね。」
美佐ちゃんがしみじみと言う。
うん、この子は賢いなあ。
「でも、おかげで僕らも夢だったお店が出せたし、この出会いは本当にありがたいよ。
それから、本当に生きていると何があるかわからないんだね…。」
五月雨さんが美佐ちゃんに笑いかける。
「だから、思い切って大切なことを伝えます。
映美ちゃん!僕と結婚してください!」
五月雨さんがマジックで豪華な花束を出すと、そばにいた月野さんに差し出した。
しばし、呆然としていた月野さんはやがてにっこり笑って言った。
「京也君、ありがとう!びっくりしたけどすごくうれしい!喜んでお受けします♪♪」
もどかしかった二人が一気にくっついてしまった。
この件も含めて今回は災い転じて福となすだろう。
巧さんも『私のお父さん』ではなく、久能巧さんとして、過ごしてもらえるようになるといいな♪




