6 魔法少女戦隊誕生?
「……とまあ、こんな感じで『非干渉協定』が結ばれたの。
お互い安全のためにということでこの協定にしたのだけれど、シルビアちゃんが眠りにつかされているというのは厄介だわね…。」
協定締結時の映像を出しながらアルさんが腕組みして悩んでいる。
蛇足だが、ヨーロッパ風の衣装を着た私や光ちゃんによく似た人たちが同席しているようなのは…残念ながら気のせいではなさそうだ。
「厄介というのはどういうことなんです?」
望海ちゃんが適切なコメントを入れてくれる。
ありがたいことだ。
「うん、『事件が魔法界の内部の問題』である限り、シルビア女王からの正式な要請がない限り、協定があるゆえに政府やモンスターバスター協会が公に女王を救出に動けないのよ。だから、表立って協力できるのは『魔法少女』としてという形になるのよね。」
アルさんが難しそうな顔をする。
「だったら、『強力なメンバー』に魔法少女になってもらえば問題ないわけね♪」
私がにやりと笑うと、アルさんもそれに気づいて、顔をほころばせた。
「そうね♪だったら、『私』と『美夜』さんが魔法少女になればいいのね♪そうだ!ロシアのパザロヴァ姉妹にもお願いしようかしら♪」
『モンスターバスター一〇星』の『大魔女リディア』である、アルさんと『魔神使い』こと最強の陰陽師の美夜さん、『不死の騎士』こと、パザロヴァ姉妹(※ 二人で組めば私以上の攻撃力・防御力を持つ無敵の『魔装騎士』になる)で最強の魔法少女部隊を組もうという私の目論みはアメちゃんと、剣将軍にさせられていた『シルビア女王の側近』オルテス将軍の強硬な反対によって、あっさり挫折した。
全員『少女じゃない』という『不合理な理由』によってだ。
私がセーフなんだからいいじゃん!と言ってもダメだった。ちっ!
仕方ないので、ちーちゃんとバネちゃんが帰還次第なってもらうことで快諾を得た。
『護国刀・神那岐』と『異世界の勇者』はきっと貴重な戦力になってくれるだろう。
ちなみにバネちゃんは実はパザロヴァ姉妹同様一九歳なのだが、私が『同級生だから♪』と言っておいたので、年齢までは詮索されなかった。
ふっふっふ、私を甘く見たな♪
翌日『第2回魔法界奪還 魔法少女会議』が同じく私の家で開催された。
昨日のメンバーに加えて、ちーちゃん、バネちゃんが加わって、和気あいあいと…。
「うわー、『紅茶クリーム大福入りシュー』おいしいな!例の洋菓子屋マジックの新作?」
「うん、こっちは抹茶クリーム入りだから♪私が五月雨さんにお願いして作ってもらいました♪」
バネちゃんに私が自慢そうに言う。
「瀬利亜さん、今度私もお店に一緒に連れて行ってください♪」
目をキラキラさせながらちーちゃんが私にねだる。相変わらずちーちゃんの可愛さは底なしだわ♪
「君ら!昨日と同じやん!何をのどかに話してんの!!」
アメちゃんがまたキレちゃいました…。
「大丈夫!このメンバーなら明日の『竜将軍の要塞』なんぞ、楽勝で陥落させられるわ!
なんだったら、地下の闘技場で私、ちーちゃん、バネちゃんの三人で模擬戦をするから、それを見てもらえばいいわ。」
「「マジカルチェーンジ!!」」
私と美佐ちゃん望海ちゃんが変身して見せた後、ちーちゃんとバネちゃんも呪文を唱えた。
ちーちゃんこと神那岐千早が懐から白いスマホを取り出すと、画面から真っ白な光があたりを照らし出す。
光の中で、日本人形のような可愛らしい御嬢さんが、大人びた美少女になり、長い髪髪がさらにまっすぐに伸びる。身長も私に近いくらいになり、白を基調にし、ところどころ赤い巫女風にして、どこか洋風でもある衣装は非常に清潔感を感じさせる。
そして、右わきには神々しい光を放つ『対魔神刀』神那岐の太刀を構えている。
「愛ある限り戦います!『魔法の剣士・プリーステス☆千早』ただ今参上!!」
バネちゃんことバネッサ・日下部・オブライエンが懐からメタリップブルーのスマホを取り出すと、画面から青白い光があたりを照らし出す。
光の中で、髪や身長はそのままで、顔が見えるタイプのメタリックブルーの鎧が顔や全身を覆っていく。
そして、右わきには『勇者の剣』が装備され、鞘の宝石にいつも以上の輝きを見せている。
「魔法界の正義は我らにあり!『魔法の勇者・ブライブ☆バネッサ』ただ今参上!!」
長身でスレンダーなきりっとした美女になったちーちゃんは以前アルさんに見せてもらった『大人のちーちゃん』そっくりだ!本人だから当たり前だが…。
そして、バネちゃんは顔が見えている以外は『いつもの勇者のバネちゃん』そのまんまだ…。残念だ!すっごく残念だ!!
そして、いつものように模擬戦を見せると、望海ちゃんは大喜びだ!
「明日はこれで大丈夫!!」と自信満々だ。
ただ、美佐ちゃんは少し微妙な表情をしており、アメちゃんは……なんだか呆然としている。
「美佐ちゃん、アメちゃん、どうしたの?」
「…あのう、千早さんとバネッサさんの武器って、もともとすごく強い魔法の武器ですよね…。変身後、あまり強くなったようには見えないのですが…。」
さすが、美佐ちゃんそんなことまでわかっているとは大したのもだわ!
「そんなことないですよー♪この変身スゴイですよ♪」
ニコニコしながらちーちゃんが美佐ちゃんに話しかける。
「だって、神那岐の太刀の威力が『変身するだけで1割増しくらい』強くなってますもん!それから全体的に防御力が大きくアップしているようで、助かります♪」
「そうかあ、私の場合、勇者の剣が『3割くらい強くなって』いるような気がするから、元の武器の強さが関係してるんだろうね。そうすると、神那岐の太刀は本当にすごいんだね。それから、『勇者の鎧の防御力は5割増しくらいの感じ』だから、本当にすごいな!
嬉しそうなちーちゃんとバネちゃんのセリフに、美佐ちゃんはやや『乾いた笑い』をするくらいだったが、アメちゃんがなぜかキレた。
「君らなに!?なんなの???!!!なんで、変身してそんなしょぼいパワーアップなわけ!?変身する意味があるの????!!!!」
それに対してちーちゃんとバネちゃんが少し不満そうだ。
「でもでも、瀬利亜さんよりはずっとパワーアップしている感じですよ?」
「そうだね、瀬利亜さん、変身後もほとんど変化が感じられないんだけど…。」
二人のセリフにアメちゃんがぎぎーっと音を立てるように私の方に顔だけ振り向いてきた。
「そうね、正直な感想を言うわ。
私の正義の直観・『瀬利亜アイ』を駆使したところ、ちーちゃんの場合は通常の約1.2倍、バネちゃんが、1.4倍、そして私が1.05倍パワーアップしているわ!
すべて『統計上有意な結果』を出していると言えるんじゃないかしら。
私の場合ですら、少なくとも『防御力はアップ』しているし、格好もそれなりにカッコいいから!少なくとも『気分転換』にはなっているわ!」
私は自信を持って言い切った。少なくともちーちゃん、バネちゃんは変身した方が明らかにいい結果が出ている!!
「そうですよね♪RPGゲームの終盤で『勇者の剣』とかを装備した場合でも、『戦力が2割増し』とかものすごいことですもの!!みんなでがんばりましょう!!」
100%の確信を持って、望海ちゃんが叫んだ。
「そっかあ、そうですよね♪私も安心しました。」
美佐ちゃんは顔をほころばせて笑った。
そしてアメちゃんは……卒倒した。
翌日の夜、われわれ『魔法少女戦隊』はいよいよ『竜将軍の要塞』を目指して出陣した。
魔法少女というより、なんだか別物と化しているような気がしないでもないが、『勝てば官軍!』だ。
みんなの「熱く燃え盛る正義の心」を駆使して闘えば、明日の勝利も間違いなしだ!




