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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第四部 モンスターバスターと過去の清算
79/140

4 7年前

「ママ!お兄ちゃん!」

「ミサ!行くぞ!!」

炎で崩れ落ちていく家からミサは父親に抱えられて、何とか抜け出すことができた。

「ミサ、すまない!せめてお前だけは…。」



……ガバっと、美佐は跳ね起きた。全身から汗がびっしょり出ていた。

(…しばらく、この夢は見なかったのに…)

机の上では、アメちゃんは専用のベッドで熟睡中だった。


夢だとわかっていても心臓がドキドキしている。

あの時の光景を思い出すだけで、頭がくらくらし、胸が張り裂けそうな思いでいっぱいになってくる。

(落ち着こう。水を飲んでこよう。)


粗い息を吐きながら台所へ向かっていると、兄の部屋のドアが少し空いており、試験勉強中の兄がようやく一息ついたようであくびをしているところだった。

そして、ちょうど振り返った兄と美佐の視線が合った。


「美佐、どうした?眠れないのかい?」

席を立って兄が歩いてくる。


七年前ここに来たばかりの時は「あの夢」ばかり見て夜中に眠れずに兄にはずいぶん心配をかけたものだった。

当時ほとんど英語しかしゃべれなかった美佐のために小学校4年生だった義兄は必死で英語を覚えて美佐を慰めようとしてくれた。

また、当時共働きだった両親に代わって、兄が一生懸命料理やその他の家事をしてくれたものだ。

母の働きに出る時間が減った今でも兄はよく家事を手伝い、時には兄妹揃って料理をしたりすることもある。




「美佐、また『あの夢』を見たのかい?」

兄が心配そうに近づいてくるので、美佐は無理して微笑んだ。

いや、兄のやさしい思いが伝わって、心がずいぶん軽くなったのも事実だ。


「ううん、大丈夫だから。それより、兄さんも試験頑張らないと♪」

「…うっ!痛いところを突いてくれるな。」

兄が苦笑いをする。


今高校2年生の兄『水守巧人』は風流学園高校の星組在籍だ。

日本の歴史が大好きな歴史オタクで、日本史の教師を目指しているのだが…数学が苦手で、模試の結果もイマイチ芳しくないのだ。


兄の困った顔を見ていると美佐は逆に元気が出てきた。

真面目で優しくて子供好き、そして歴史が大好きな兄はきっと素敵な教師になるに違いない。

今の美佐には優しくて素敵な両親と兄がいてくれるのだ。そのことを思うだけで、さっきまでの死にそうな気分は吹っ飛んでくれた。


「ちょっと喉が渇いただけだから、心配しないで。お休みなさい。」

兄ににっこり笑うと美佐は階段を降りていった。



~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~



「ばかな!剣将軍があっさりやられるとはどういうことだ!!」

魔族の本拠、暗黒城では暗黒魔王が部下たちに怒鳴り散らしていた。


「わかりませぬ。一人強力な助っ人が来たという話なのです。

今回はあまりにも急に魔法少女どもが進軍してきたらしく、あっという間に全滅してしまったようです。

一体どんな強敵が敵に加わったのか…。」


残った三将軍の一人、ローブをまとった老人の格好の魔道将軍が沈痛な表情で言葉を発し、そばにいる竜将軍も表情を無くしている。



「一体何事ですかな?」

二人の男が玉座にゆったり近寄りながら話しかけてきた。

一人は軍服を着た、40代半ばの軍人風の精悍な風貌の男で、黒いサングラスをかけている。もう一人は科学者のような白衣を着た、やせぎすの表情に乏しい男だ。


「…ラスニール殿か…、剣将軍に任せておいた要塞が三人の魔法少女たちに落とされ、部隊も全滅した…。」

ラスニールと呼ばれた男と科学者風の男は思わず顔を見合わせた。


「魔法少女は確か二人だったはずですが、三人になったのですか?」

「そうだ、その新しい魔法少女が素手で『リザードマン部隊を瞬殺』するくらいとんでもない奴らしい。」

「そんな、いくらなんでもそんな存在がいるはずが…。」

科学者らしい男の疑問の声にラスニールが口をはさむ。


「モンスターバスターだろう。それもA級でも上位に来るような実力者のはずだ。

さもなくば、一人加わっただけで剣将軍の部隊を全滅させるようなことはできまい。」


「ラスニール殿はお詳しいようだが、モンスターバスターとは一体どういう存在なのだ?そいつらはそんなに手ごわいのか?」

「ああ、侮れん相手だ。あなた方のような魔族を『魔法を使わずに』倒すことができる特殊能力を持った集団だ。

だが、われわれとあなた方が全力を出せば何とかなろう。とりあえず、相手の情報を探ることが先決ですな。相手の実力がわかるまで、守ることをお考えください。

竜将軍、魔道将軍の下にも念のために我らの一員から護衛を置いておきましょう。

カイン、アベル!竜将軍と魔道将軍の護衛に就くように!」


ラスニールが指令を出すと、竜将軍たちの横に音もなく、二人の軍服の男たちが現れた。

(今ままで気配すらなかったのに?!)

魔道将軍たちは戦慄した。


「ふっふっふ!これなら大丈夫そうだな。ラスニールよ、よろしく頼んだぞ。」

暗黒魔王にやりと笑った。




「ラスニール准将!モンスターバスターどもを本気で敵に回されるのですか?!」

 「アンドリュー、落ち着け。それからもう私は准将ではない。

 もちろん、全面戦争をするには早すぎる。魔法少女の仲間になったというモンスターバスターを一人倒してしまえば、奴らは暗黒魔王を全力で潰しにかかるだろう。

そうなってはこちらに勝ち目はない。

だから、『魔操戦士』の実戦訓練を兼ねてモンスターバスターと戦わせるのだ。

それに負けるだろうが、『データを取ったら』われわれは手を引く。

万が一我らの存在に気付かれたら、そのモンスターバスターは全力で消せばいい。

その場合は少々厄介なことになるが、見つかる前に『時空機』を完成させればなんどかなるだろう。

そして……できれば『時空機』が早めに完成してくれれば、モンスターバスターを相手に性能を試すことができるのだがな…。」


「なるほど…。しかし、時空機が完成した場合はモンスターバスターが思ったよりしょぼかったら、がっかりしそうですね。」

「それは大丈夫だろう。魔法少女の最初の二人はモンスターバスターで言えばA級中級クラスだ。二人がかりで剣将軍一人を何とか倒せるかどうかくらいだ。

それが、一人増えた段階で、剣将軍の要塞を簡単に陥落させるということは新しく入った一人はA級モンスターバスターでも最上位クラス、もしかしたら『一〇星』の一人かもしれん。その場合は、時空機の試験よりも『倒すことに全力』を注がねばいけないだろうがね。もちろん、止めは『私が』確実に刺させてもらう。」


「あれ、いつの間には『倒す話』になってしまっているではないですか?」

アンドリューが苦笑する。

「時空機が完成した場合の話だ。一〇星の一人や二人は物の数ではないが、まとめて来られた場合は時空機がないと逃げられないからな。七年前は『時空機が未完成』だったがゆえに、非常に残念な結果になったわけだからな。

……今度はそうはいかん!『我らを裏切った国々』を、この世界を、必ずひっくり返す!」

ラスニールが凄惨な表情で嗤った。



~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~



「さあ、今日は要塞を陥落させたご褒美にお好きなだけデザートをたんと召し上がれ!!私のおごりだよ♪」

事件の翌日の土曜日に、商店街のオープンカフェの喫茶で二人と一匹はくつろいでいた。

望海の声に美佐がニコニコしながらパフェを頬張り、アメちゃんは……。

((女二人でデートとは、さえないねえ…。美佐、五月雨をデートに誘えよ!))

((な、なに言ってんの!!…の、望海さんと二人のデートで大満足ですから!!))

((そう言ってもらえてうれしいんだけど…確かにはた目で見ると『女二人』でデートの上、『テレパシーで会話』では、少しさびしいものがあるわね。

ただ、五月雨さんは確か、二一でしょ。いかに美佐ちゃんが激カワイイと言っても、私らくらいの年齢じゃ難しいかもね…。))

((じゃ、じゃあ、やっぱり瀬利亜さんが…。))

((うーん、五月雨さんと瀬利亜さんはそんな雰囲気じゃ……て、瀬利亜さん??!!))


テレパシーで悲鳴を上げた望海の視線の後を追うと、おしゃれをした瀬利亜がイケメンと腕を組んで歩いているのが見えた。


「えーーー!!瀬利亜さん!!」


「え??美佐ちゃんに望海ちゃん?!!」

瀬利亜がびっくりして、振り返り、少し恥ずかしそうにもじもじしている。


「へえ、可愛らしいお友達達やね♪『三人』で仲良く、お茶タイムでんね♪」

「うわーー、彼氏は関西弁なんですね。……ん?三人??!!」

『彼氏』の問題発言に望海の表情が固まる。


「……まわりの人は気付いていないようで、助かりました。

光ちゃん、気を付けてくださいませ。」

「すんまへん!以後気を付けます!」


土曜日の『遭遇』はいきなり波乱含みで始まった。


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