10 さらばザップマンセブン
今日は『妙に静かな授業時間』が終了した後は地球防衛軍基地で待機していた。
昼過ぎからブラジルで宇宙怪獣が10体以上飛来したので、自来也隊長と美夜さんが遠征に出かけているため、念のためというのもある。
私があまりエネルギーを使い過ぎると『ザップマンセブンさんとの融合』が進行する可能性が高いようなので、なるべく変身しないようにという話ではあるが。
アルさんと光ちゃんも魔法の道具などを持ち込んで、いろいろ研究してくれている。
私の魂が、『悪気ではなく、ザップマンセブンさんの魂をがっちり守ろう』としていることが今回の現象の原因なので、時間をかけて、ザップマンセブンさんの魂が元気になるよう時間さえかければ自然に分離はしてくれるようなのだ。
まあ、あまり長いことかかるのはしんどいが、『最大でも三か月』というのは長いのか短いのか判断に悩むところだ。
仕方ないので、のんびり料理の本を読んでいると、私のザップマンセンセーが反応する。「父さん、妖気だ!」という例のアレである。
出田さんに報告して、早速センサーの性能を大きく上げると…宇宙怪獣が50匹以上飛来してきているではないか?!
私が早速出撃しようとすると、出田さんがストップをかけた。
「緊急時にはお願いするから、まずはザップマンと、俺の新兵器に任せてもらいたい!」
と強く言うので、まずは様子を見ることにする。
たくさんの怪獣たちの前にザップマンさんと以前ドクターフランケンが制作したメカゴメラの改造型『メカメカゴメラ』が出撃している。……技術力はともかく、ネーミングセンスは何とかならないものだろうか?
ザップマンさんは『予想通り苦戦』しているが、速水隊員が操縦するメカメカゴメラはパワーもスピードも怪獣たちを圧倒している。
もともとのメカゴメラ自体がザップマンよりずっと強かったのだが、装甲をさらに強化し、スピードまでアップしている上に、操縦が天才パイロットの速水さんなので怪獣たちの攻撃がかすりもしない。
さすがに八岐のヒドラまでは倒せないかもしれないが、『グレートバトラー』クラスの怪獣なら十分に倒せそうだ。
メカメカゴメラは扱えるエネルギーが強力な分、戦闘モードに入ってから五分くらいしか戦えないが、ザップマンさんのように1時間くらい戦えても戦闘能力がいまいちなのよりはいいのではないだろうか。
快進撃を続けていたメカメカゴメラだが、とある怪獣が出てきたとき動きが止まった。
ボスっぽい雰囲気の宇宙人と怪獣の中間みたいな外見だが、どうやら強力なバリアーを張る能力があるようだ。
メカメカゴメラは相手の強力な光線はなんと躱しているものの、攻撃が当たらないので、苦戦し始めた。
そして、ヤバいことにザップマンさんがタコ殴りにされそうになっている!!
……そして気づいたら変身していた…。
気が付くとザップマンさんをフクロにしつつあった怪獣たちを十体ほど、瞬殺していた。そして、残った怪獣たちに向かって名乗りを上げる。
「邪悪な宇宙人、及び、それに操られた悪党怪獣ども!!
その方ら、地球防衛軍の主力がいない隙を狙って侵攻し、さらに、弱い相手をフクロ叩きにしようなどというセコイ戦いしかできないとは見苦しいの一言に尽きる!!
シードラゴンザップマングレート、ただいま推参!!
天に代わって悪を撃つ!!」
……どうも、男性型のままシードラゴンザップマンになったようだ。男性型になった分、やや、殴った時の物理的な威力はアップしているようだ。
「驚いたな!まさか、シードラゴンザップマンが出てくるとはな!だが、我々アノニマス星人を甘く見ない方がいい!貴様とザップマンセブンが弱ったことで融合が進み、大して戦えないという情報は『ハッキング済み』だ!
メカメカゴメラの攻撃も全く受け付けない『バリアサウルス三世』のバリアを貴様に打ち破ることができるかな?!」
黒ずくめに例の「アノニマス仮面」を被った謎の宇宙人が高笑いしている。
もちろん、そんなものは気にせずに、私は『バリアサウルス三世』に突っこんでいく。
「シードラゴン・流星拳!!!」
闘気とザップマンパワーの籠った拳がバリアサウルス三世の張ったバリアに突っこんでいく。
「はっはっはー!そんな攻撃でこのバリアをうちやぶれるものか!!」
確かにバリアーはすごいようだ、ならば、これならどうか!!
「シードラゴン・ソニックウェイブ流星拳!!!!」
闘気を思い切り込めた一撃はバリアーごと、怪獣を富士山の中腹まで吹っ飛ばした。
間もなく、生命反応も消え、バリアーも消えた。中身もきちんと鍛えないとダメということだ。
「く、ならば、再生怪獣軍団出でよ!!」
アノニマス星人が叫ぶと、宇宙船から『再生バトラー』、『再生グレートバトラー』、『再生八岐のヒドラ(…いやいや、生きてるよね?!)』、『メカメカメカゴメラ(笑)』が次々に降りてきた。
「いかに貴様でも、この怪獣軍団の敵ではあるまい!!」
…三分後、再生怪獣軍団をあっさり壊滅させました。『再生タイプ』はハード的にはともかく、戦術などのソフト面が全然ダメです。偽ヒーローやメカヒーローが弱いのもきっと同じ理由なのだろう。
「くそう!こうなれば、やけだ!残り全部出ろ!!」
アノニマス星人が叫ぶと、宇宙船から『メカバトラー』、『メカグレートバトラー』、『メカ八岐のヒドラ』、『メカメカメカメカゴメラ』が次々に降りてきた。
……この辺になると、メカにして強くなってんだか、かえって弱くなってんだか、よくわかりません。
どちらにしても、大した敵ではないと思って身構えると、突然、めまいに襲われた。
ヤバい!エネルギーの消耗が大きく、シードラゴンザップマン形態を保てなくなっているのでは!?
そして、意識が飛んだかと思うと、『瀬利亜としての意識』が戻ってきました。
…はい、あっさり、私とザップマンセブンさん自体が完全に分離したのです。
あとでアルさんの説明を聞いたところによると、私(瀬利亜)がエネルギーを大量に消耗したので、ザップマンセブンさんを保護するのが難しくなったと『無意識に判断』し、魂はもちろん、存在ごと私自身から強制分離したのだそうだ。
…結論から言えば、大騒ぎする必要は全くなかったわけだ。なんてこったい!!
「はっはっはっは!!!ついにただの人と、ザップマンセブンに分離してしまったわけか!!今のうちに、怪獣どもやってしまえ!!!」
「シードラゴン、ソニックウェイブハリケーンクラッシュ!!!」
……メカ怪獣軍団を一掃しました(笑)。
「待て!!分離した方が強くなるなんて反則やん!!」
「ふっ!相手を甘く見たようね!熱く燃え盛る正義の心のある限り!シードラゴンマスクは決して負けたりはしないわ!!!
シードラゴン、ソニックウェイブトルネード!!!」
アノニマス星人の母船を吹き飛ばすと、残った怪獣たちは次々と宇宙へ逃げ去っていった。
怪獣たちが去って行ったのを見送ると、私は膝をついてそのまま倒れ込んだ。
傍では、ザップマンセブンさんもエネルギー切れで倒れたままだ。
(※ 人間に戻った誠也さんは速水隊員に回収されました。)
「瀬利亜はん!大丈夫?!」
近くに来ていた光ちゃんが慌てて駆け寄ってくれる。
「もう、ダメみたい…。週末にデートしてくれないと回復しそうにない…。」
「いやいや、それ、全然大丈夫やね?!」
「あるいは、『キス』してくれたら立ち上がれるようになるかもしれない…。」
「いやいやいやいや!!わての方が『立ち上がって』しまいそうや!!」
「光ちゃん!!せっかくムードを出そうとしているのに、『下ネタ』使っちゃあだめじゃない!!…週末のデートは確定事項でお願いします♪」
「…もう、しゃあないなあ♪」
光ちゃんが非常に嬉しそうにデートに応じてくれました。やはり、要所要所で『おねだりは大切』だという『師匠の教え』は有効です。
「く!このリア充どもが!!!」
あ、助けに来てくれた出田さんが『血の涙』を流している。
「はっはっは、日ごろの行いの差が出てもうたようやね♪」
…この二人はいつものようにじゃれ合いを始めている。
本当に仲いいなあ♪
ちなみにこの1時間後、ザップマンさんやザップマンセブンさんの上司、『ザップマン部長』さんがザップマンセブンさんを迎えに来てくれた。
ここでもいろいろ面白いエピソードがあるのだが、今回は割愛させていただく。
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翌日は女性の瀬利亜ちゃんに戻って、通常通りの登校です。
きちんと、ザップマンセブンさんが『地球の皆さんにあいさつ』して、帰っていかれて、しかもその模様はその晩に全国放送されました。
よって、シードラゴンザップマンブームは終わり、平穏な日常が帰ってくるはずです。
みんなで仲良く、下駄箱の前に着くと……『昨日よりたくさんのチョコレート』が下駄箱の中や前に設置してある『専用段ボール箱』に大量に入っているのですが…。
いやいや、ハロウィンは半月前だよ!?
今日は11月15日だよ!?
バレンタインデーは『日本では女性が男性にチョコを贈る日』で、なおかつ今日はバレンタインですらないよね?!!
この大量のチョコは光ちゃんと一緒に……いやいや、他の女性からのチョコを光ちゃんに食べさせるくらいなら、『私の愛情チョコ(デザート)』を食べてもらおう!!
よし、今日は帰ったら、アルさん、遥ちゃんと一緒にデザート作りの特訓だ!!
第3部完




