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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第2部 モンスターバスター VS 最凶竜
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6 あなたを守りたい その1

 「巧さん、お疲れ様!」

 転送ゲートを潜り抜けた石川家の執事・久能巧にアルテア労わりの言葉を述べた。

 「助かりました、アルテアさん。あなたの助けがなければ、お嬢様はどうなっておられたことやら。」

 瀬利亜の体温を確認しながら巧はようやく安どの声を上げた。


 「瀬利亜さん、無事なんですか?!」

 「瀬利亜はん大丈夫なんでっか?!」

 石川邸の庭に設置された転送ゲートの前に千早と光一が駆けつけた。

 「大丈夫。かなり衰弱しているけど、命に別状はないわ。ただ、回復に少し時間がかかるとは思うわ。光一さん、適切な手を打ってくれてありがとう。おかげで被害が最小限で済んだわ。

 それから、ちーちゃんは消耗が激しいのだから、ゆっくり休みなさい。」

 「でも!私のせいで瀬利亜さんは!!」

 瀬利亜が無事で安堵したことと、責任感で、千早は完全に泣きそうになっていた。


 「ちーちゃん、あなたのせいどころかすごくよくやってくれたわ。あなたが踏ん張ってくれたからルーリーくんも無事だったし、貴重な戦闘データも取れたのだから。

 仮に神那岐の太刀が使えなくてもあなたは貴重な戦力になってくれるのだから、ゆっくり休んで次に備えてちょうだい。」

 アルテアがやさしく語りかけると千早もようやく落ち着いた。

 「瀬利亜さんが起きたら、真っ先に呼んでくださいね!」

 「わても、すぐに呼んでください!」

 「わかりました。二人ともすぐに呼びますからね♪」

 ようやく明るい顔を取り戻した光一と千早は石川邸にあてがわれたそれぞれの寝室に戻っていった。



 心配で寝付けない一晩を過ごした後、重い身体を引きずりながらリビングに集まると、

 アルテアさんが難しい顔をしてはった。

 悲観的…というほどやあらへんけど、かなり難しい状況みたいや。

 「アルテアはん、どないしてん?」

 「……そうね、みんなに見てもらった方がわかりやすいわね。みんな、瀬利亜ちゃんの部屋にあつまってくれる?」


 部屋に行くとベッドに半身を起こした瀬利亜はんがこちらを向いていたんやけど…ホンマに瀬利亜はんか?言うくらい目に力があらへん…。

 瀬利亜はんを瀬利亜はんたらしめている『圧倒的な眼力!』『私は私の道を行く!』という圧倒的な意志の力に溢れた目が…力なくこちらを不安げに見とる…。

 これはいったいどういうこっちゃ??

 「瀬利亜はん、大丈夫か??しっかりしいや!!」

 わてが慌てて(そば)まで駆け寄ると、瀬利亜はんは困ったように笑うた。

 「…ごめんなさい、今までのことが全然思い出せないんです…。」

 なんやてーーーー!!!瀬利亜はんが記憶喪失やてーーー!!


 わての頭は真っ白になった。

 あのレジオスいう怖い相手と戦うどうこう以前に『無敵のシードラゴン』『大怪獣ゴメラを素手で瞬殺する女』の異名をとる、天下無敵のスーパーヒロインの瀬利亜はんが記憶喪失になって、こんな無力な状態になりはるなんて…悲しゅうてしゃあないわ!!


 「光一さん?」

 目の前の『美少女』が柔らかい声を出してわての方を見た。

 「そう、光一さんですね。…あなたのことは…以前よくお会いしたようななつかしい感覚があります。はっきりとは思い出せないのですが、いろいろお世話になったのでしょうね。ご心配かけて申し訳ありません。」

 『はかなげな銀髪の少女』は丁寧にお辞儀をして、わてにやさしゅう微笑んでくれた…。

 えーーと…この子は瀬利亜はんですよね……。


 「瀬利亜さん!!大丈夫ですか??私のこと覚えてますか??」

 わてと瀬利亜はんが話すのを聞いていた千早はんが瀬利亜はんに飛びついてきた。


 「…千早さんですね。ぼんやりとですが、思い出してきました。いつもお世話になっているようですね。」

 瀬利亜はんの言葉に千早はんが、瀬利亜はんに一生懸命抱き付いて、泣き出した。

 「瀬利亜さん、大丈夫です!!なにかあっても『私が絶対守って』あげますから!」


 はっ!千早はんがけなげにも決意を固めてはる!

 ここは『サイバーヒーロー・電脳マジシャン』の名に懸けても、わても頑張らなあかんとこや!!


 「そうや、瀬利亜はん!わてらが命にかけても守るさかい、安心しいや!!」

 わてらの『守る宣言』を聞いて目を丸くしてはった瀬利亜はんはややあって口を開かはった。

 「ふふ、お二人ともありがとうございます。そうおっしゃっていただいて本当にうれしいです。」

 にっこりと天使のような瀬利亜はんの微笑みにわてはしばらく釘付けになっとった…。




 「巧さん、どちらに行かれるんですか?」

 リムジンに乗ろうとしていた巧はアルテアに声を掛けられて、動きを止めた。

 「少し周辺の偵察をしてこようかと…」

 「ダメですよ。あなた一人では絶対にレジウスに勝てませんから。あなたほどの人でも一対一ではあの男には勝てません。捨て身の攻撃で万が一のような場面になったら、レジウスは躊躇なく撤退しますから。

 瀬利亜ちゃんやあなたとの戦いを見ているとわかります。『圧倒的な力』を持ちながらも、手堅く、クレバーで、非常に慎重な戦い方をします。そして、『目的のために戦う』という意識もしっかりしてますから、可能な限り不要な戦いをしないタイプです。

 私と同じくらいの魔法技術を持ちながら『扱う力の大きさが百倍以上』とか本当にシャレにならない相手ですから…。 


 あなたが帰ってこなかったら、瀬利亜ちゃんは『もう一度お父さんを失う』羽目になるのですよ。しっかり自覚してください。」

 「…申し訳ありません。お気遣い痛み入ります。」

 「よろしい、では、瀬利亜ちゃんが回復するまでにできるだけのことをやっておきましょうね。」

 にっこり笑うとアルテアはガレージを後にした。




 瀬利亜はんがレジウスのことを気にせんと回復に専念できるようにと言うことと、戦略拠点でもある石川邸からは離れた方がええということで、瀬利亜はんとわて、千早はんは海辺の別荘で瀬利亜はんと一緒にすごすことになった。

 わてら三人だけが使える『石川邸に通じる転移ゲート』も設置してあるんで、いざという時も大丈夫や。


 「瀬利亜さん、はーい、あーんして♪」

 「ふふふ、千早さん、ありがとう♪」

 寝室で千早はんがわての作った中華粥を食べてもろうとる。

 美少女二人が「あーん」とかして食べさせてあげとる食事風景は実に素敵や♪


 「光一さん、この中華粥とってもおいしいですよ♪本当にお料理がお上手ですね。」

 「ほんまでっか?そんな風に言われると照れまんがな♪」

 「ふふふ、夫婦そろって料理が上手だったら素敵でしょうね。台所に二人並んで仲良く料理できたりしたら楽しいと思いませんか?」

 にっこり笑う瀬利亜はんの声を聞きながら、わては頭の中で仲良し夫婦が一緒に料理する様を想像してみる。

 わてが中華鍋を振りながら、瀬利亜はんが要所要所で食材を切りそろえてくれたり、お皿やお茶のセットなどを進めてくれたりしたら本当に楽しそう…待てい!!

 なんで、夫婦で楽しくの情景にわてと瀬利亜はんが仲良くクッキングしとんねん?!

 落ち着け!落ち着くんや光一!!


 「光一さん、どうかされました?」

 わてが妄想をぐるぐるさせとるんを瀬利亜はんが不思議そうに見てはる。


 「お昼は光一さんの料理だったから夕食は私が和食を作るね。光一さん、特別にセリアさんにあーんしてあげていいよ♪」

 千早はんの言葉にわての心臓が早鐘を打つ。

 瀬利亜はんにあーんしてわてが食べさすんか、瀬利亜はんに!


 「ふふふ、千早さんの料理も楽しみだな♪それから、光一さん、申し訳ないのですが、食事の補助をよろしくお願いしますね。」

 「よ、よろしゅうお願いします…。」

 あかん、心臓がばくばくいいよる!女性に対しては百戦錬磨やなかったんか?!光一!おまえはん、どうしてしもうたんや!!



 タブレットで情報収集してる間にいつの間にか夕飯の時間になっとった。

レジウスの動きに関しては一切情報が入ってきてないようや。 

 そして明日、瀬利亜はん以外の超A級モンスターバスター一〇星が勢ぞろいして、緊急会議を開くそうな。

 さらに特別アドバイザーとしてミラクルファイター(齊藤警部)と久能巧はん、さらにあの問題多き「先代勇者・オルテウス」が参加するそうな。

 あのメンバーが勢ぞろいするとか壮観でんな!!


 ちなみに瀬利亜はんは回復途上ということで、食事時間以外はほぼ寝てはった。よほど消耗されてはったんやね。


 食事を持って、部屋に入ると、朝や昼よりもう少し元気そうになった瀬利亜はんが嬉しそうに迎えてくれはった。

 そして、いざ食べてもらおうとした時に瀬利亜はんが少しもじもじしながら言わはった。

 「思い出したのですが、以前は光一さんと千早さんのことを光ちゃん、ちーちゃんと呼んでいたのですね。今からも光ちゃん、ちーちゃんと呼ばせてもらっていいですか?」

 恥ずかしそうに顔を赤らめて言わはる瀬利亜はんにわてと千早はんは即答した。

「「喜んで!!!」」


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