表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第2部 モンスターバスター VS 最凶竜
53/140

5 大切なモノ

 私が構えると同時にレジウスの気が爆発的に膨れ上がった。

 手が見る見る変形し、竜のような鋭い爪が生えている。

 背中の翼も凶悪な形に変形し、単なる飛行系ではなく、かするだけでもいろんなものを簡単に切り裂きそうな形状になっている。


 待てい!『か弱い乙女』になんつう凶悪なことをしてくれんねん!!乙女の肌に傷でも残ったらどう責任取ってくれる!あ、責任とってお嫁さんにするとかはなしで!!

 さらに右手に持っていた剣の形状が変わり、何条もの鞭がまがまがしい気配とともに四方八方に伸び出した。そして、私に向かって襲い掛かってくるが、軽いステップでかわす。

 躱すだけならそれほど難しくないのだが…げっ!鞭が当たった松の木々があっという間に枯れてしまったではないか!!


 「眠らせるだけではなかったのかしら?そんなもの喰らったらミイラになって、永眠してしまいそうだわ!」

 「大丈夫だよ。君が活動停止するくらいに生命エネルギーを吸収したら、その時点で自動的に吸収しなくなるように設定してあるのでね。」

 「ご丁寧なお心遣い、本当に痛み入りますわ。」

 言いながら、懐に入り込み、左の翼に蹴りを入れる。

 思い切り闘気を込めた右回し蹴りで、蝙蝠のような翼は壊れた傘のようにひん曲がったが、そこで膨大な魔力の圧力を受けて止まった。

 同時に鞭があちこちから襲ってくるので、あわてて飛びのいた。


 「この翼は作りものとはいえ、ダメージを受けるとすごく痛いんだがね。」

 そんなことを言いながら傷ついていた左翼はあっという間に修復されていく。

 「戦闘をやめて、見逃してくれたらすぐに痛くなる可能性はなくなると思うんだけど♪」

 にっこり笑って、嫌味を返すが、表情一つ変えやしない!

 肉体の頑強さも精神の頑強さも想像以上だわ。


 今までのやりとりから戦い方が非常に冷静で慎重なようだ。

 倒せる可能性は予想通りゼロパーセントだが、仮にアルさんと巧さんまで来てくれても倒すことは考えない方がよさそうだ。

 当初の予定通り、助けが来てくれた段階で『猫だまし』をかけて逃走。二人(あるいは三人)ががりなら、100%逃げ切れると思う。

 逃げた後どうするかは後で考えればよし!人生なんとかなるもんだ!

あとはどうやって、アルさんが来るまでの時間を稼ぎ切るかなのだが…。


 距離を置いて様子を伺っていると、レジウスは左手を上にかざして呪文を唱えだした。

 鞭をふるってもかすりもしないので、戦術を変えたようだ。


 まもなく、レジウスを中心にうす黒い結界のようなものがまわりの広く展開していった。私を通り過ぎる時、全身に鋭い悪寒が走った。

 これは『範囲内すべてに有効なダメージを与える結界』だ!よく見ると羽根の部分がしおれたり、再生したりを繰り返しているようなので、自分自身にもダメージを与えるようだ。私は全身を防御用の闘気で覆っているので、肉体的なダメージは受けないが、気の消費が桁違いに増えてきている!そう長い時間は持ちそうにないし、弱った時点で攻撃されたらその時点でアウトである。


 「『肉を切らせて骨を断つ』わけね。やってくれるじゃない!」

 肚を括って、自分の右手に爆発的に闘気を集める。

 刺し違えてでも倒す…のではなく、集められるだけの闘気をぶちかました『猫だまし』をお見舞いするのだ!!そして、もちろん、その後逃げる!!


 私が積極的に打って出るのを感じたレジウスは警戒して左手に手盾を装着する。

 こういう『用心深い相手』は叩き潰すのは骨だが、『猫だまし』に成功すれば、深追いに慎重になる傾向がある。

 頭にうまく食らわせられれば『回復されても』判断力が戻るまで時間がかかるはずなので、もし当てられれば非常に有効である。

 ということで、『とりあえずは頭』に狙いを付けて…。


 なんとか懐に飛び込むと、私は背後から頭に突きを打ち込もうとして…レジウスはさっと振り向きざまに剣を打ち込みに来る。

 私はひっくり返るように剣を躱しつつ、本命である魔法剣の柄についていた『魔力の元の宝石』に左足の蹴りを叩き込む。ちゃっかり右手に込めていた闘気は左足に瞬間移動だ。

 膨大な魔力のこもった宝石が砕ければ、魔力剣自体が破壊され、大きなダメージができることで隙が生まれるはずだった。

 だが、完全に砕ける予定だった宝石は『とっさに割って入った右翼』をぐしゃぐしゃに潰したことでひびが入るにとどまった。


 「まったく、油断も隙もないことだ。竜の肉体が『闇の皇帝竜の本能』でとっさに動くようになっていなかったらえらいことになっていた。」

 あかん!もう少し鉄下駄の特訓を増やして、叩き込む闘気の量を増やせていれば!!

 とっさに飛びのいたものの、大半の闘気を使い果たしていた私は続けざまに来る魔力剣の鞭を躱しきれず、とうとう膝をつくことになった。


 か、仮につかまっても『絶対に脱出』しちゃる!!

 だんだん意識が薄れゆく中、海辺の別荘のような場所に『幽閉されて?』寂しそうに海を見つめる私自身のビジョンが見えてきた。これは私が時々白昼に見る『予知夢』の一種なのだが、一応死なずに『薄幸のヒロインを演じる?未来』があるようだ。

 そうか、未来があるならなんとでもなる!

 『人生行き当たり、バッチリ、お先マックスや!』

 どこかの本で読んだ格言を思い出しながら私の意識は途切れていった。




 瀬利亜が意識を失って倒れた後も、レジウスは少し様子を見た。

 死んだふりをして、大ダメージをくらわされた後、遁走とかされてはシャレにならない。

 この『ビックリ箱』のようなスーパーヒロインはどんな意表を突いた行動をとるかまるで予想がつかないからだ。

 水晶球で霊視をすることで、意識はないものの生命活動に異常がないことを確認して少し安心した。

 安心?自分が瀬利亜が無事だったことに安心していることに気づいてレジウスは苦笑した。たぐいまれな能力を持つ相手とはいえ、なぜ、少女の無事に安心するのだ?

 確かに銀色の髪と活発で何をするか予想もつかないところは自分が一万五千年前に失った妹によく似ているのだが。 


 そんな考えを振り払って、瀬利亜に近づこうとして、レジウスは背後に異様な気配を感じた。

 (ドクターの話にあった最強のモンスターバスターの一人『大魔女リディア』か?いや、違う!この禍々しい気配はむしろ、暗殺者アサシンに近い!)

 振り返ると、全身黒ずくめで覆面を被り、右手に妖気の漂う長いサーベルを構え、左手には分銅がいくつも付いた網状の武器を持った長身の男が立っていた。

 男の持っているサーベルからは呪われた凄まじい魔力が漂っており、全身からは泡立つような殺気が満ち満ちていた

 (天界の戦士との対面の後は地獄の死者との対決かね。

 技量は…おそらく瀬利亜嬢とほぼ互角か?だが、持っている得物が非常に凶悪だな。瀬利亜嬢が神那岐の太刀を持っているようなものだな。こいつは厄介だ。)


 倒れている瀬利亜を巻き込まないように意識して少し距離を取りつつ、レジウスは黒ずくめと対峙した。

 ダメージを受けた右手の大剣を足元に投げ捨てると同時に直刀を抜いて構えた。

 黒ずくめも軽くステップを踏みながら殺気のこもった剣戟を続けざまに撃ち込んでくる。

 (この戦い方は軍人か!そして、左手に持っている網状の武器も得体がしれんな。)

 レジウスが左手の手盾に魔力を込めると、手盾は二回り大きくなり、爪のような刃がいくつも生えてきた。

 (さあ、これにどう対応する?!)

 刃はさらに数を増やすと、数十本の刃の雨と化して、黒ずくめに襲い掛かった。

 黒ずくめは素早く左手の網を広げると刃の雨を全て絡め取り、地面にたたき落とした。


 (やるなあ、こちらも殺す気で行かないと、撃退は難しいかもしれんな。)

 レジウスがさらに左の手盾に魔力を込めようとした時、背後から獣のような殺気が急に溢れだした。

 黒ずくめを片目に入れながら振り返ると、全身金色に輝いた金属製のライオン、羊、ドラゴンの頭を持つゴーレムと思しき人造怪物が襲い掛かってくるところだった。

 込められた魔力から推測してまともに攻撃を受ければダメージは小さくない。

 レジウスが左手の手盾から何十条の剣を降らせて牽制すると、ゴーレム・キメラは素早くステップを踏んで躱した。

 「ダーク・ブラスト・サンダー」

 しかし、その隙を縫って、レジウスは闇の魔力を込めた魔法を完成させていた。

 何十条もの雷がレジウスの右手から飛来し、ゴーレム・キメラは物の数秒で粉砕されていた。

 そして、レジウスが黒ずくめに注意を戻すと、黒ずくめはちょうど瀬利亜を右わきに抱え上げたところであった。

 (しまった!最初からそれが目的か!)

 レジウスはとっさに拘束魔法を放ったが、黒ずくめの顔を軽くかすめただけで、躱された。そして、黒ずくめの前の空間に開いた扉が現れた。

 (これは転移ゲートの魔法か!?)

 レジウスはとっさに魔法を使おうとし、少しだけのぞいた黒ずくめの男の瀬利亜を心配そうに見る目に動きが一瞬凍りついた。

 黒ずくめの男が瀬利亜を抱えて扉をくぐると同時に扉は姿を消した。

 (やられたな…。一旦基地に戻って出直しだ。だが、まさか『あの日』のことを思いだすとは…。)

 瀬利亜を抱えた男と『あの日動かなくなった妹を抱えた自分』をダブらせたことにレジウスは失笑した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ