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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第2部 モンスターバスター VS 最凶竜
52/140

4 圧倒

 『あの男』に対峙しようとして、私が背後の気配が動くのにぎょっとした。

 なんと、逆上したらしい、ルーリーくんがヤツに向かって、まっすぐ突っこんでいく!

 やめろー!!あの男とまともにやりあったら、あなたは瞬殺されるだけだ!


 私があの男の注意を何とか反らそうと銃を抜くとほぼ同時に、男は右掌から『明らかに手加減した衝撃波』をルーリーくんに向けた放った。

 ルーリーくんは躱すこともできず、吹っ飛ばされ、私の少し後方に落ちていった。

 私はルーリーくんを助けるため、男を気にしつつもルーリーくんの着地地点に走ったが、さすがに冷静さを欠いていたようだ。

 それを見たちーちゃんが抜刀すると私と男の間に立ちふさがったのだ!


 対魔神刀・神那岐の太刀は今朝の状態よりもさらに強烈な光を放っていた。

 想定よりもさらに相手が強いということだ。

 そして…ちーちゃんの顔は死人のように真っ青になっていた。

 ちーちゃんの戦闘勘は抜群に鋭い。才能で言えば私を上回るかもしれない。

 だからこそ、気付いているのだ。今のちーちゃんではあの男には『絶対に勝てない』ことに。そして、それでも勇気を振り絞って、立っていることがあの子の精神的な強さ、責任感を表している。しかし…。


 「ちーちゃん、下がりなさい!!そいつはあなたの手には負えないわ!!」

 「わかっています!でも!!」

 海岸に舞い降りた男に向かって、ちーちゃんがそのまま突っこんでいく。

 男は腰に差していた剣を抜くと、難なく、神那岐の太刀を受け止めた。


 「驚いたな!この剣とまともに撃ちあって折れない剣は初めてだ。さすがは『神那岐の太刀』と言ったところか?!」

 この男、神那岐の太刀を知っている?!

 男は一歩引くと剣に素早く呪文のようなものをかけた。

 「虚無の剣(ヴォイドブレード)!」

 剣は周りに圧力を放ちながら、あたかもブラックライトのように真っ黒な輝きを放った。そして、男が軽く剣を振ると、神那岐の太刀は簡単にへし折られてしまった。


 「…ああ…」

 様子を察して駆けつけてくれた光ちゃんにルーリーくんをさっと渡すと、声にならない声を出してうずくまってしまうちーちゃんの前に素早く立ちふさがった。


 男は私をまっすぐ見つめながら、なぜか剣を鞘に納めた。


 「あなた、いったい何者なの?そしてなぜ神那岐の太刀のことを知っているの?」

 抜身の刃を突きつけられたような感覚がする中、私は男を睨みながら言った。


 「すごいなあ。『闇の皇帝竜の圧力』をまともに受けて、真っ向から睨み返されたのは初めてだ。さすがに『あのドクター・フランケン』が宿敵だと言うはずだ。」

 男は薄く笑って返す。

 「なんですって!ドクターフランケンを知ってるの?!」

 とりあえず、戦う気はなさそうなので、ビックリついでに『情報収集』を図る。話は通じそうな相手なので、うまく話に乗ってくれればみんなが逃げて、さらにアルさんたちに連絡してくれる時間が稼げる。


 「ああ、ドクターが『我々の封印』を解いてくれたのだ。そして、現在の情報もいろいろと教えてくれた。」

 なんて余計なものを復活させてくれたんだ!ドクターは!!

 さりげに後ろの気配を伺うと、光ちゃんがルーリーくんに続き、ちーちゃんの回収も済ませてリムジンに乗り込んでいる。光ちゃん、グッジョブ!!真っ青な顔で心配そうにこちらを見る視線が来るが、すぐに車を走らせ出した。いるとかえって足手まといになることがわかっている現状では最善の選択だ。


 「さてと、『君の心配の種』も行ってくれたようだし、そろそろ本題に入ろうか?」

 げ、こいつわかっていて逃げるのを待ってくれたんだ。どうやら私はただでは帰してもらえそうもない雰囲気だ。


 「我が名はレジウス・フォン・ガイラーク。君たちの時代から一万五千年前にアトランティス帝国の『皇帝』をしていた。だが、不覚にも部下たちのクーデターにあって、宮殿ごと封印されてしまってね。数日前にドクターに封印を解いてもらうまでは眠っていたのさ。

 そして、ここからが本題なのだが、私は『私の帝国を取り戻そう』と思っている。素直に協力してもらえるとありがたい。」


 レジウスはにっこり笑って私を見る。私の全身から冷や汗が噴き出る。

 この男は心の底から本気で言っている。そして、おそらくそれを充分に成し遂げられう『力』も持っている。

 協力するとかもちろんあり得ないが、拒否した途端にどうなるか分かったものではない。

 とりあえずもう少し情報を引き出したいところだ。


 「あなたが『闇の皇帝竜の化身』ではないことはわかるけど、いったいどういう状態なのか教えてもらえるかしら?いきなり『破壊の化身』なんかになられたらたまったものではないわ。」

 レジウスは嬉しそうに笑うと口を開いた。

 「なかなか、いい目の付け所をしているね。闇の皇帝竜は魔法的処置で『異次元に封印』して、その膨大な魔力だけを利用できるようにしている。身体強化や竜の翼を生やしたりしたのも直接竜の体を使ったのではなく、『魔力の流用』だよ。だから、かの竜の狂気は私を蝕むことはない。その点は安心してもらって構わない。」

 ある意味では安心だが、もっと『安心できない』ことをさらっと言ってくれる。

 この男、レジウスの正体は魔法使いだ。それも想像を絶するような強大な魔力をたぐいまれな魔法技術で制御するような奴だ。しかも、さっきのちーちゃんとのつば競り合いから、戦士としての技量も我々と大差ない。これ、詰んでないか?!


 とりあえず『逃げるの一択』なのだが、一人では絶対に逃げられない。

 アルさんとおそらく巧さんが助けに来てくれるはずなので、それまで時間を稼ぎたいところだ。二人が来てくれれば『奇襲攻撃&合流して逃げる』ことが出来るはずだ。


 「家族や友達と相談の上で、お返事を差し上げる…というのではどうかしら?」

 無理だとわかっていても一応言ってみる。反応次第では話を長引かせて、助けが来るのを待ちたいところだが…。


 「君が普通の御嬢さん、あるいは神那岐の御嬢さんくらいの相手なら、黙って帰したと思う。残念ながら、君は放置するには危険すぎる相手だと、私の本能が訴えていてね。『助けが来ないうち』に早急に返事をもらえるとありがたいのだが…。」

 明らかに笑っていない目でこちらを見ている。ドクターからいろいろ余分な情報が行っている分、非常にやりにくい。どうする?


 「どこにでもいる、普通の女の子を危険だなんて、買いかぶりすぎですよ♪」

 だんだん危険指数が上がってきているがわかる。引き伸ばしが限界になったら、『どんな猫だまし』が使えるかとっさに判断する必要がある。 


 「光の皇帝竜の化身のエネルギーソードや神那岐の太刀は確かに私に傷を負わせうる。だが、私が油断していても殺すことは絶対に不可能だ。だが、君は違う。油断したら私の喉を喰い破るような相手だ。『闇の皇帝竜と一体化』したおかげで、そういう危険反応には敏感になってね。

 さらにまずいことに君は勇気・判断力・行動力ともに桁違いだ。私と会った情報を基に適切な戦略を仲間たちをまとめ上げたり、旗印になって動くような相手だ。

 だから、君が協力しないなら、帰すのは残念ながらあり得ない選択だ。

協力するか、『私が全てを手に入れるまで眠っていてもらう』かを選んでいただくことになる。」

 「あら、私を殺しはしないのね。」

 「もちろんだとも。私は『この星を丸ごと取り戻したい』のだよ。なんでわざわざ宝物を壊してから手に入れようなどと思うのだね?

さて、そろそろタイムアップとしよう。いいお返事はもらえそうかね


 「『平和的な方法、武力による脅しを一切使わないで世界を手に入れる方法』なら、レクチャーしてもいいんだけど?」

 もちろん、実践する気はなかったが、アルさんと『平和的な世界征服』という話を議論したことがある。合法的・かつ平和的に「世界連邦大統領になる」とかいう「未来予測」だ。多分、遠からず、誰かがこんな方法で世界をまとめるだろうという話でもある。


 「それは『交渉は決裂』と理解していいのだね。」

 「あなたがそう取られるならそうしかなさそうね…。」

 まともにぶつかりあっては万が一にも勝ち目はない!正義の直観に従いながら、無理やりにでも隙を作って、パックれる!!作戦は以上だ!


 私が戦闘態勢に入ると、レジウスは非常に嬉しそうに笑った。


 「竜の力を手に入れてからは戦闘というものが酷く退屈になってね。今日まで『私に届き得る相手』には一人も会ったことがなかったのだよ。

そのくせ、竜の力の影響か、戦うことには一種の高揚感があるのだが、それが逆に妙に空しかったりした。まさか、『命の危険を感じながら戦う』ことが、こんなにスリリングで興奮するとは思わなかったな。『私の最初の強敵』になってくれた君には本当に感謝したい。」



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