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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第2部 モンスターバスター VS 最凶竜
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プロローグ

登場人物


石川(いしかわ) 瀬利亜(せりあ) 風流院(ふうりゅういん) 高校に通うハーフの「男前の美少女」高校生、石川瀬利亜は怪奇事件を解決するエキスパート、モンスターバスターであった。しかして、その実態は「大怪獣ゴメラ」を素手でノックアウトする無敵のスーパーヒロイン・シードラゴンマスクである。「熱く燃え盛る正義の心のある限り」今日もシードラゴンマス クは戦い続けるのであった!!


神那岐(かんなぎ) 千早(ちはや) 「対魔神刀・神那岐の太刀」を操る巫女剣士。一四歳だが飛び級で瀬利亜と同級生。素朴で天然。瀬利亜が大好き。


錦織(にしきおり) 光一(こういち) 風流院高校教師で瀬利亜たちのいる雪組の担任の物理教師。怪しい関西弁を操る軽いノリのイケメン。「サイバーヒーロー・電脳マジシャン」として瀬利亜たちをサポートしている。


◎リディア アルテア サティスフィールド 瀬利亜同様、モンスターバスターのトップメンバーの一人。14代目「大魔女リディア」。ふわふわした優しい美女だが、「人格変更プログラム」を活用することで、シビアな交渉や戦闘もできる。


安倍(あべ) 清正(きよまさ)  魔王の血を引く…ただの高校生。


綾小路(あやのこうじ) (はるか) 名家のお嬢様で、瀬利亜たちの同級生。魔術的なすごい才能がある。


◎バネッサ・日下部・オブライエン 魔王の血を引く清正を追って現れた勇者。今は腐れ縁で、瀬利亜たちと同居している。


久能(くのう) (たくみ)  石川家の執事。今は行方不明の瀬利亜の父がスカウトした凄腕の人らしい。家事全般、運転技術他達人クラス。元米軍将校らしい。


小早川(こばやかわ) (みつる) 「天然イケメンヒーロー」「風流院高校・理事長」


◎ドクターフランケン 秘密結社「スーパーモンスターズ」の元幹部。モンスターを改造したり、さまざまなメカを自在に扱う。見た目は小太りのただのおっさん。

 ざあああ。

 波の音が聞こえる中、二人はゆっくりと砂浜を歩いていた。

 月明かりを頼りに、時々空を見上げて鼻歌を歌いながら歩いていた。


 「お兄ちゃん、星がきれいだね。どのお星さまも同じようにきらきら輝いているのかな?」

 一〇歳くらいの女の子が月明かりに銀色の髪をきらきらさせながら、嬉しそうに兄を見上げた。

 長身の青年は懐から水晶球を取り出すと、立体映像を宙に映し出した。

赤い星・火星、環のある大きな土星など、始めて見る画像に少女は目をきらきらさせだした。

 「星にはね、自分で輝く星と、この映像に写っている星のように地球に近くて、太陽の光を受けて光って見える星があるんだよ。」

 青年は妹に優しく告げた。

 「そして、僕たちがいるこの地球も、空から見ればこの星と同じように輝いて見えるのさ。」

 「本当?!すごいすごい!お兄ちゃん、いつか、お空に出て、一緒に地球を見ようね♪」

 本当に嬉しそうに自分を見上げる妹に青年は嬉しそうに囁いた。

 「…そうだね、空へ出ていく魔道具を作り上げよう。そして、必ず一緒に地球や他の星をじっくり見ような。」

 青年と少女は互いに笑いあった。




 男はなかなか寝付けなかった。

 いろいろと大きなことを成し遂げてきたが、明日完成する『例のモノ』は自分の何十年来の『約束』をようやく叶えてくれるはずだ。残念ながら一緒に見てくれる相手はいなくなっていたが、らしくないと思いつつ、それでも約束が叶うことがとても嬉しかった。


 ふと、夜空を見に部屋を出ようとして、違和感を感じた。

 『竜の力』で恐ろしく鋭敏になっている感覚が「異常」を訴えている。

 急いで、外へ出ようとして、顔なじみに出逢って少し安心する。


 「どうした?こんな時間に何の用かね?」

 部下の老人に対して声をかけて、男は奇妙なことに気づく。

 老人があまりにも悲痛な顔をしているのだ。

 明日、移動要塞も兼ねた『星舟』が完成すれば、帝国はますます盤石になり、さらなる繁栄を約束されるだろう。

 魔法省大臣であるこの老人にとってはとても喜ばしいことであるはずなのに…なにかトラブルでもあったのだろうか?


 「…陛下!」

 老人はしばし、逡巡していたようだが、意を決して口を開いた。

 「お別れを申し上げに参りました。」

 「お別れ?何を言っている?お前さんは今までも充分に貢献してきてくれたではないか?そして、今からも帝国はお前さんの知識と経験を必要としている。一体何があったというのだね。」

 老人は男をじっと見つめるとさらに悲しそうな顔になった。


 「残念です!とても残念です!あなたはとても優秀な皇帝でした。優秀過ぎるとさえ言えるでしょう。普通の人間なら全く問題はありませんでした。

 でも、今のあなたは『不老不死』の上、普通の人間には傷一つ付けることすらできません。そして、明日『あなたにしか動かせない』無敵の移動要塞『星舟』が完成すれば何人たりとも『未来永劫』あなたに手出しはできなくなるでしょう。

 あなたは先代皇帝よりずっと慈悲深く、公平です。でも、長い年月の間に『破壊の権化』闇の皇帝竜の力にあなたが取り込まれたら、世界は破滅します。あるいは、闇の存在に『未来永劫』この星は支配されます。

 それはとてもとても恐ろしいことです。」

 男が呆然と「忠臣」を見つめるなか、老人はさらに口を開いた。


 「現在、魔法省の有志の職員全員で『血の封印』を作っております。

 私の死でこの宮殿ごと封印は完成します。

 陛下、大変申し訳ないと思います。でも、この星の未来のため、私と一緒に『眠りについて』下さい。」

 老人は話し終えると、体が砂のように崩れ去っていった。

 愕然とその光景を見ていた男の意識もいつしかブラックアウトしていった。





 「ドクター、本当にここなんでしょうか?」

南海の孤島で、ドクターフランケンと助手ロボットミーナが計器を見ながらうろうろしていた。

 「さまざまな文献から間違いない!!はずだ…。」

 そう言うドクターもイマイチ自信がなさそうだ。


 「一万五千年前のアトランティス皇帝が操った伝説の『闇の皇帝竜』の力を使えば、シードラゴンマスクたちにも一泡吹かせてやれると思ったんだがな。」

 「では、ドクター。アトランティスの遺跡みたいなのを見つければ手掛かりになりそうですね。」

 「そうじゃな、よし、そっちの方向からもさがしてみよう。」

 懐からタブレットを取り出すと、ドクターは何やら入力を始めた。の



 「ここじゃ!間違いなくここに『闇の皇帝竜』が眠っておる!!」

 『探索機械フーチ君』を確認しながら、ドクターは歓喜の声を上げた。

 半分崩れかけた石づくりの遺跡のある地点でフーチ君の反応は極大点を示した。


 「では、準備を進めよう!」

 「了解しました。『拘束くん』の展開を始めます。」

 ミーナはドクターの言葉に従い、「結界を張る装置『拘束くん』を起動させ始めた。


 「でも、これで抑えきれなかったらどうします?そんな危険な怪物に暴れられたら私たちではひとたまりもありませんよ。」

 助手としては優秀な妖精型ロボ・ミーナが不安そうに変わる。

 「大丈夫だ。『拘束くん』は動いている相手には効果がないが、今回のように『封印を解くような場合』や眠っている相手などにはきわめて効果が高い。

 例えば、通常のA級モンスターバスターの放つ『生命エネルギー』は五千オングストロームくらいだが、あのシードラゴンマスクがメカマッスルとの戦いの際に一〇〇万オングルトローム放っていた。だが、これは封印中なら最大一億オングストロームのエネルギーを出す怪物でも抑えきれるようになっておる。『知性が仮に人間並み』でも、セットしてあるコントロールマシンで操縦は可能だ。全然知性がない場合は動物並みのコントロールしかできないが、それでも大きな戦力になるだろう。」


 そして、ドクターは嬉々として封印解除マシン『脱・封印くん』と『拘束くん』の両方をタブレットでコントロールし始めた。




 「天高く、馬肥ゆる秋!スポーツの秋!特訓の秋!」

 秋空が広がる中、放課後私・瀬利亜は神社の階段を鉄下駄ならぬ『タングステン下駄』を履いて、うさぎ跳びで上り下りしていた。

 「うーん、体を動かすと気分いいわねえ♪アルさん、今晩は鍋だって言ってからお腹を空かせておかないと♪」

 普通のスポーツならうさぎ跳びは「体に悪い」そうだが、スーパーヒロインは例外のようだ。アルさんによると「あなたは思い込みが強いから例外」なのだそうだが、なんにしても『私の場合は効果がある』そうなので、喜んでさせてもらっている。


 この日もう少しして『世界中を揺るがす大事件の元になる出来事』が起こるとは私を含めてモンスターバスターの誰も想像もしていなかった。




 「ドクター、放射エネルギーが上昇してきます!いよいよ、封印が解け始めました!」

 「よっしゃ!『拘束くん』エネルギー最大限だ!どんな奴が出てくるか、楽しみだな。」

 「ドクター、放射エネルギーが五千突破しました!エネルギー上昇率が大幅にあがりだしています!」

 「よしよし、行け、どんどん行け!放射エネルギーが軽く五〇〇万くらい行ってくれんと安心できないからな。」

 ドクターとミーナは満足げに『エネルギー測定くん』の数値を眺めつづけている。

 「一〇〇万突破しました!ついにシードラゴンマスクを超えました!!」

 「やったぞ!!その調子だ、まだまだ行け!!」

 「二〇〇万…三〇〇万突破です!!」

 「いいぞ、さらに行け行け!!」

 「…五〇〇万…六〇〇万…七〇〇万…」

 「おお、これはすごいぞ!」

 「上昇率がさらに上がります!一千万を突破します!!」

 「よーーし!これだけあれば、十分にシードラゴンマスクにも勝てそうだ!」

 ドクターは笑った。これはスゴイ掘り出しモノだと内心ガッツポーズを取った。

 「上昇率がさらに上がります!二千万を突破します!」

 (すごい!すご過ぎる!想像よりもずっと強いようだ!)

 「三千万を突破!まだ上昇率が上がっています!」

 ミーナの声が変化した。喜ぶというより、『放射エネルギーの上昇率が上がり続ける』現状に不安が出てきたのだ。

 「…五千万突破!さらに上昇を続けています!」


 (…え、ちょっと待て?!これはさすがにヤバくない?)

ドクターが気づいた時には事態は収拾不可能な状態になりつつあるようだった。

「八千万突破です!!ドクター、再度封印する方法はないんでしたよね!!」

 ミーナは半泣きになっている。まもなく、拘束くんではどうしようもない事態になることは間違いない。

 ドクターは祈った。「話が通じる優しい相手であってくれ!」と。

 「破壊の化身・闇の皇帝竜」にそんなことを祈りのはバカなことだとわかっていながらも祈るしかないようだった。

 「…一億突破、さらに上昇率が上がり続けています…」

 あきらめきったような声でミーナが報告し続ける。

 「…一億五千万突破!さらに上昇率が上がります。」

 「…二億突破!!測定不能です!!上昇率が上がり続けたまま測定不能になりました…」

 ミーナが悲鳴に近い声を出した時に『それ』は起こった。

 拘束くんを展開した近辺の石畳が轟音と共に下から突き破られたのだ。

 そして、漆黒の巨体が空に向かって飛び出していった。

 「キシャーーー――!!」

 そいつの吠え声を聞いた途端、ドクターもミーナも文字通り『心の底、魂から』恐怖が全身を震わせた。

 震えながら何とか見上げると全長二〇メートルを超す漆黒の巨竜が宙に静止していた。


 「あわわわ、た、助けてください!!」

 ついついドクターが上げた声に巨竜は反応した。そして、ドクターたちを見つけると、その巨体に似合わぬ優雅な動作で音もなく前に舞い降りた。

 (…魔力だ!この竜は膨大な魔力で飛んでおる!だから、こんな芸当ができるんだ!)

 圧倒的な力と知性を感じる視線を感じ、ドクターはさらに震え上がった。

 (わ、わしは起こしてはいけない化け物の封印を解いてしまった…)

 巨竜の姿が不意にぼやけると、その影が急速に小さくなっていき、間もなく人型になった。そこには見慣れぬ服装の一人の男が立っていた。

 「起こしてすみません!!何でもしますから助けてください!」

 ドクターの声に男はしばし、首を捻っていたが、何やらぶつぶつつぶやいた後、口を開いた。

 「そこの男、私の言うことがわかるか?」

 「は、はい!わかりますです!!」

 男はドクターの声を聞くと、笑って答えた。

 「それはよかった。ところで聞きたいのだが、ここはどこで、今はどういう状況なのだね?」

 すぐに取って食われそうな雰囲気ではないので、ドクターは安どした。そして、続きの言葉を考えた。

 …これが、ドクターフランケンと『第一一四代アトランティス皇帝』レジウス フォン ガイラークの出逢いであった。

 この日から一週間が後に「世界を最も震撼させた一週間」と言われることになる。




 ブチ!カラン、カラン!

 右の下駄の鼻緒を切らせて、(セリア)は少し困惑した。鼻緒がチタン製繊維ではまだ弱かったみたいだ。アルさんに頼んで、『鼻緒はミスリル製』にしてもらわなくっちゃ!

 この時、私は気付いていなかった。『下駄の鼻緒が切れる』ことが何を意味しているのかを!そして、同じ時間に、「お茶をしていたアルさん」の入れたお茶が、『立っていた茶柱がころっと、横倒しになり、動かなくなった。』という『恐ろしいサイン』を受け取っていたことを!




 (…起きた!奴が起きた!僕も起きなくては!)

 とある場所で、大きな卵の殻を破り、一人の少年が立ち上がった。

 (…どれくらい眠っていた?まあいい、奴を倒せるのは僕だけだ!)

 少年は光を求めて、外に向かって歩いていった。


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