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37 等身大とその一〇〇倍 その2

 「こうなったら、『最後の手段』を使うしかないか…」

 斬り落とされた、都庁ロボの右手を見ながら黄金マントはポツリを言った。


 「…でも、それをやったら、『エネルギーが尽きるまで走り続けるしかなくなる』わよ!」

 「…やむを得ないだろう。自来也隊長が予想以上に強敵だったからな。その前に美夜嬢を戦闘不能に持って行けただけでも上等だろう。

  いずれにしても都庁ロボを動かした時点で後に引く選択肢はなかったわけだしな。」

 「…わかりました。最後まで付き合います。」

 黄金マントが気合いを込めると、全身が金色に輝き始めた。

 そして、『全身に被っていた皮』がはがれおち、繊細そうな素顔が現れた。

 全身が銀色の肌をしており、髪もまた銀色だ。

 「その姿を見るのは久しぶりだわね、コーザル。」

 みっちゃんこと、神那岐水音は目を細めた。


 「ご家族に別れは告げなくていいのか?」

 「ここまでやったら、名乗り出たらまずいでしょう。都庁ロボが壊れるまで、どこまで行けるかしらね。」

 「大都市は全て更地にできるくらいに強化する必要がありそうだな。」

 コーザルが目に力を込めると、都庁ロボが銀色に光り輝きだした。

 そして、周りから大量の土砂や植物を吸い寄せだした。


 「なんだこれは!?」

 斬りつけようとしていた巨大トード忍者が警戒する。

 都庁ロボは全身を土砂と植物に覆われた『緑の巨人』に変貌し、斬られた右手も土砂で再生しながら一回り大きくなった。

 『都庁ロボ』は先ほどとは比べ物にならないくらい、スムーズに動き出すと、トード忍者に一気に突っこんでいった。




 「これはどういうことだ?!」

 秘密基地でモニターを見ていたドクターフランケンは都庁ロボの変貌にパニックになった。

 「わしは都庁ロボにあんな機能はつけてないぞ!?」


 「すまんな、ドクター。」

 基地に『黄金マント』からの連絡が入った。

 「都庁ロボは数日世界中を暴れまわった後、力尽きるだろう。スーパーモンスターズはこれで解散だ。秘密基地はドクターが好きなように活用してもらって構わない。さらばだ。」

 消えたモニターをドクターはしばらく呆然と見つめ続けた。



 都庁ロボの全身からツタのような巨大な触手が四方八方からトード忍者を襲った。

 トード忍者は素早くかわしたが、その瞬間を狙って、都庁ロボから全方位に渡って、雷撃が放たれた。

 さすがのトード忍者も雷撃を躱しきれず、そのまま地面に倒れ込んだ。

 「…む、無念!…」

 トード忍者が姿を消すと、等身大の自来也だけが、地面に倒れていた。

 それをどこかに隠れていたミニガマ(それでも人間大)が口にくわえると、そのまま飛び跳ねて逃げて行った。




 「シードラゴン流星拳!!」

 「マッスルラリアート!!」

 二人の激闘はしばらく続いていた。

 シードラゴンマスクの攻撃はそれなりに命中し、表面の機械部分や装甲をそれなりに削っていたが、肝心の肉体には傷一つなかった。

 一方メカマッスルの攻撃をシードラゴンマスクは紙一重でかわしていたが、時々かすることで、あちこちに傷を負っていた。だが、ミラクルファイターよりは『気の防御』が得意なシードラゴンマスクには対して応えていないようだった。


 そんな折、右手を斬り落とされた都庁ロボが「変身」を始めた。

 二人はしばし、戦いをやめて成り行きを見ていたが、間もなくお互いに視線を戻した。


 「…なるほどね。『地球システム』はあんなふうにも使えるわけね…。」

 やれやれと言った感じでシードラゴンマスクは頭を掻いた。


 「…いつから気づいていた?」

 メカマッスルが苦笑いをする。


 「モンスターバスター関係者の死者がいないこと、スーパーモンスターズに対する『水音さんの予知、透視結果』があまりにも芳しくないことからアルさんといろいろ調べてね。

 忍者の人達とやりあったくらいから疑っていたの。

 そのあと、『状況証拠』はたくさん出てきたけど、確証がなかったから結局知っているのは私とアルさんだけね。ただ、『あれ』をやらかしたら、残りの超A級メンバーはもうわかったでしょうね。」

 「で、どうするつもりだね?」

 「降参しなさい。『持久戦』になったら勝ち目がないのはわかるでしょう。今なら『代わりがいない』こともあるから、司法取引で大したことにはならないはずだわ。

 それより…何をするつもりだったの?」

 「もちろん、『怪物も人間もない』理想郷作りをスタートさせたのさ。」

 メカマッスルは肩をすくめて見せた。

 「で、そのための捨て石に三人はなろうとしているわけね…。ばかげているわ。『二人を説得』するからそこをどいてもらえるかしら、メカマッスル。いえ、『宇宙からの超人』マルクと言った方がいいかしら。」

 マルクを挑発的に睨みながらシードラゴンマスクは笑った。

 「悪いな、それはできない相談だな!」

 マルクも同じく挑戦的な目でシードラゴンマスクを睨んでいる。


 「シードラゴンマスク!確かにお前さんは強い!だが、私をすぐに打ち破れるほどではない。お前さんがもたもたしているうちに『地球ロボ』はすぐに次の目的地へ行ってしまうぞ?」

 「あら、それはどうかしら?あなたが『宇宙の戦士』マルクだとわかった以上、私に負けはないわ。」

 「ほお、それでは、私も全力で行かせてもらおう!」

 「望むところだわ!!」

 二人は再び戦闘スタイルを取ると、一気に踏み込んだ。




 「うわーーー!!」

 麗華が突然悲鳴を上げて机に突っ伏した。

 回りの生徒達は慌てふためき、光一も慌てて駆け寄った。

 「麗華はん、どないしてん?大丈夫か?」


 麗華はしばらく喘ぎ声をあげていたが、深呼吸をして何とか顔を上げた。

 「…思い出したの。全部思い出したの。私の本当の名は…」

 「大河内麗華はんやろ。そのことについていい情報が入ってきてんで♪」

 にっこり笑う光一を前にして、麗華は目を白黒させていた。



 「愛するお姉さま!!戻ってきてください!そして、ぜひ結婚してください!!」

 そこで動画は終わっていた。

 麗華は固まっていた。いろんな意味でとんでもなくショックだった。父や大切な友人が自分を全く恐れていなかったこともショックだったが、二人がトンデモな人達であったことも同じくらいショックだった。


 「よかったやん。これで家に戻っても、ここにいてもどちらにしても『麗華はんの居場所』は確保されているいうこっちゃ♪」

 光一がにっこり笑ったその時、光一のスマホの着信音がなった。なぜか初代仮面ライダーのテーマソングだった。

 「もしもし、錦織ですけんど♪なんやて?!了解、すぐ行きまっせ♪」

 光一はスマホをしまうと、麗華に笑いかけた。


 「いろいろとんでもないことが起こっとるようや。よかったら麗華はんも『決着』を一緒に見届けへんか?麗華はんにはその権利がありそうやで♪」

 光一の提案に麗華は力強くうなずいた。




 「行くぞ、シードラゴンマスク!マッスルハリケーン!!!」

 先ほどミラクルファイターを葬った、メカマッスルの必殺技だ。

 それに対し、シードラゴンマスクは闘気を纏った右拳でメカマッスルに狙いを付けた。

 「シードラゴン『クリプトナイト』クラッシュ!!!」


 紙一重でメカマッスルの攻撃をかわしたシードラゴンマスクの右拳は、鳩尾を覆っていた装甲を吹き飛ばすと、そのまま体に深く撃ち込まれた。


 メカマッスルこと『宇宙からの超人マルク』はそのままもんどりうって倒れた。

 その後、何とか立ち上がろうとしたが、ダメージが深いようで、手足の指を動かすのが精いっぱいのようだ。


 「安心しなさい、峰打ちよ。」

 「『峰打ち』の意味わかって言ってる?」

 「まあ、『止めは刺さない気分』という気分的な問題なの。」

 「…そうか…。ところで私は『クリプトン星人』ではないんだが…」

 「うん、それも知ってる。ほら、ここ日本だから、『外人さん』とくくるみたいに『宇宙人』ということでひとくくりにしても許されるかなと♪」

 「…そうか、『なんとなく効くような気分』がしたから、使ってみたら、『結果的に効きました』というやつなんだね。」

 「すごいわ、マルク!よくわかったわね?!」

 「…瀬利亜、きみは『いろんな意味で』本当にスゴイね…。」

 「ありがとう!!では、二人を止めてくるわ!」


 シードラゴンマスクは倒れているマルクを後にすると、ゆっくりと『地球ロボ』に向かって歩き出した。


瀬利亜「今日も用語解説のコーナーです♪」

光一「…ホンマに続いとるし…」

瀬利亜「今日の用語も『プラシーボ効果』です。」

※『プラセボ効果(プラシーボ効果)とは…』

光一「やらへんでいいから!!おんなじ用語を繰り返して説明してどないすん?!」

瀬利亜「繰り返しギャクがどれくらいおもしろいかの実験だそうよ♪」

光一「…『だそうよ♪』てドヤ顔で言われても困るんやけんど…。」

瀬利亜「そして、今日の用語その2は『言ったもん勝ち』ね♪」

光一「それ、用語でもなんでもあらへんよね?!」


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