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32 山が動いた? その1

 「はーっはっはっはー!!よく来た、シードラゴンマスクよ!」

 ドクターフランケン、妖精型助手ロボット、レディマント、そして謎のローブをまとった女性?とシードラゴンマスクが対峙している。


 「今度はどういった趣向をこらしてくれているのかしら?」

 涼しい顔でドクターたちを見据えているシードラゴンマスクにドクターが叫んだ。

 「ふっふっふ、これを見て驚くな!?」


 ドクターが女性のローブをはぎ取ると、関節部分がジョイントになっている以外は服装も含めて  シードラゴンマスクそっくりの女性が立っていた。

 「これぞ、メカシードラゴンマスクだ!!」


 メカシードラゴンマスクはゆっくりと戦闘スタイルを取った。

 「お前さんと全く同じ身体能力、闘気展開能力を再現しておる!おまけにメカだから全くの疲れ知らずだ!シードラゴンマスク!お前さんに勝ち目はない!!」

 得意そうに胸をそらすドクターを見ながらシードラゴンマスクはしかし、表情を変えない。


 「そんなおもちゃで勝てると思っているのが滑稽だわ。さっさとかかってらっしゃい!」

 「よかろう!行け、メカシードラゴンマスクよ!!」

 「ラジャー!」

 メカシードラゴンマスクは恐るべきスピードで本物の眼前に迫った!そして…。


 「シードラゴン・昇竜波!!」

 メカシードラゴンマスクは空中を回転させられながら舞い上がると、地面に激突し、そのまま動かなくなった。


 「弱すぎて話にならないんだけど…。」

 にんまり笑って、シードラゴンマスクはゆっくりとドクターたちに歩み寄った。


 「待て、なんでこんなに差があるんだ!?」

 焦るドクターにシードラゴンマスクは指を振りながら言った。

 「スーパーヒーローの強さの秘密は『熱く燃え盛る正義の心』だわ。肉体的に同じ能力でも、魂の入っていない人形では本物のスーパーヒーローに勝てるわけがないわ!」


 圧倒的な戦闘オーラを出しながら、シードラゴンマスクはさらに近づいて行った。

 「さあ、ドクター、覚悟なさい。あ、麗ちゃんは怪我しないように退避しておいてね♪」


 「なんで、そんなに扱いに差があるの??」

 「さまざまな妖怪・怪人を改造した最高幹部と、変態と一緒にいるだけの女子高生だと扱いが違って当然です。さあ、ドクター、降参するのと『粉砕される』のと、どっちがいいですか?」

 ドクターフランケンの叫びにシードラゴンマスクはにっこり笑って返す。


 「ま、待て、ドクターには指一本触れさせん!」

 ちょっとだけ安心してしまっていた麗華ことレディマントは必死に勇気を振り絞って、ドクターの前に立った。


 「うわー、けなげだわね…。しかたないなあ。」

 シードラゴンマスクは眉をしかめると懐から二丁の拳銃を取り出した。


 「ドクター、ダイエットしなかったことを後悔なさい。あなたの太った身体は麗華ちゃんから完全にはみ出しているから、この拳銃で狙い放題だわ♪」

 二丁拳銃を構えるしぐさは明らかに扱いなれている証拠だ。


 「待て、なぜそんなものを扱えるのに今まで使わなかった!」

 「銃弾の威力より殴った方が相手のダメージが大きいこともあるし、戦闘スタイルや美学の問題もあるわね。そうそう、この拳銃には私の精神エネルギーのこもった『念弾』が使ってあるから、通常の銃弾とは威力・貫通力とも桁違いなんで、よろしく♪」


 「「よろしくじゃないから!!」」

 そのまま震えながら固まった、ドクターと妖精ロボ・ミーナ、レディマントの眼前に、白いローブをまとった巨体が大地を揺るがす轟音を立てながら盾になるように舞い降りてきた。


 「へえ、スーパーモンスターズにはまだ、黄金マントかそれ以上の大物がいたんだ。」

 目の前の大男を睨み据えながら、シードラゴンマスクは拳銃をしまった。


 「ドクター、レディマント、ミーナ、遊びはここまでだ!引き上げるぞ!」

 「しゅ、首領、助かりました!」


 首領はドクター、レディマントとミーナを素早く肩に担ぎ上げると、人間離れした跳躍力で、一気に数百メートル後方に飛び退った。

 「また、会おう!シードラゴンマスク!」

 首領はそのまま森の中を猛スピードで走り去っていった。


 そして、瀬利亜は追いかけようともせずにじっと首領たちの行った先を見つめていた。

 (あれが首領…。あのオーラは一体…)

 しばし、考え込んでいた瀬利亜はややあって、タブレットでいろいろ調べ始めた。



 基地に戻ると麗華たちを黄金マントが出迎えた。

 「お前たち、大丈夫か?危険なようだから、もうシードラゴンマスクとの戦いには出なくていいぞ。」

 「待ってください!マント四天王の一人として、やるべき義務があります!」

 「わしの技術ならではこそのことができると思います!」


 心配する黄金マントに麗華、ドクターが何とか抗弁をする。


 「なんどもやりあって、はっきりしたが、シードラゴンマスクと大魔女はお前たちが相手にするに危険すぎる。まもなく『T計画』が始動するが、それは奴らでも止めることはできん。無理してお前たちが危険な目に逢う必要はない。」


 「でも、私は学校で大人しくしておけということですか?!」

 「レディマント、お前さんが学校の情報をいろいろ流してくれることで、T計画の目途が立ったのだ。これからもよろしく頼む」

 「わ、わかりました。」

 黄金マントに説得されて、麗華はやむなくうなずいた。そして、学校への登校の準備に入っていった。



 「それから、ドクター、資材はすべて揃った。準備を進めてくれ」

 「え、もうですか?それはありがたい!!このドクターの傑作をごらんあれ!

 わしを追放した学会に目に物を見せる日がついに来たのだ!!」

 ドクターは高らかに笑った。



 「おはよう、麗華ちゃん。ちょっと疲れているみたいだけど、なにかあったの?」

 教室に入るとニコニコしながら瀬利亜に出迎えられて、麗華は肩を落とした。


 「…あなたがやったんでしょうが…」

 他に聞こえないように麗華は瀬利亜の耳元でささやく。


 「…私、『教室の外のこと』は中に持ち込まない主義なので♪」

 涼しい顔をして、囁き返されて、麗華はさらにうなだれた。

 「…それとも、ねちねち言われ続けた方がいい?」

 天使のような笑顔でささやかれて、麗華はあっさり白旗を上げた。

 「…持ち込まないでください…」



 「今日も会議を始めまーす♪」

 放課後、光一とアルテアを司会に教室で再び作戦会議が始まった。


 「本日は手作りシフォンケーキとダージリンまたはオレンジペコのセットです♪」

 瀬利亜がケーキとカップを配り始めた。

 「こっちのポットがダージリンで、こちらがオレンジペコです。好みの紅茶を各自お入れください。」


 「昨日も一昨日も単なるお茶会やっただけでしょ!!」

 清正が耐え切れなくなってツッコミを入れる。

 「仲良くなることはチームワークを良くすることでもあるの。十分に大切だわ♪」

 心の底から思っていそうな瀬利亜のセリフに清正は肩を落とした。


 「このシフォンケーキとってもおいしいわ♪今日は誰が作ったの?」

 「遥さん、私です♪」

 千早が少しはにかみながら嬉しそうに笑う。


 「敵を欺くにはまず味方からと言ってね♪」

 「それにどんな意味があるわけ??」

 「ここで、扉のとこに移動して…」

 清正のツッコミに瀬利亜が扉の前に音もなく瞬速で動くと、扉を開けながら叫んだ。

 「曲者!!」


 そこにはビックリして動きの止まった麗華が立っていた。


 「なーんだ、麗華ちゃんか。敵かと思ってびっくりしちゃった♪」

 「いや、一応『敵』だよね?!」

 「ただの『お茶会』なんだから、敵味方関係ないよね♪」

 「すでに『作戦会議』という名目もどっか行ってるし!!」


 「麗華さんもよかったらお茶とお菓子、いかがですか?」

 瀬利亜と清正の掛け合い漫才をしり目に遥が麗華ににっこりと笑いかけた。


 「…い、いや、私は…」

 「今朝、『教室の外のことは中に持ち込まない』ことにしたよね♪」

 「…わかりました…参加します。」


 参加メンバーが一人増えた『作戦会議』は18時の下校時間までつつがなく行われたのであった。


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