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ゴメラ VS モンスターバスター  作者: はなぶさ 源ちゃん
第6部 モンスターバスターとスーパーヒーローオリンピック
118/140

3 アメリカ、そして…。

 「米軍がアトランティス皇帝を名乗るものによって壊滅した?!」

 その知らせを受けた時はあの人が怪獣ゴメラを倒した時以上にショックを受けた。


 怪獣退治は地球防衛軍各国支部の仕事…というイメージがあるが、米軍、ロシア軍などは軍隊だけでもかなり怪獣に対応でき、実際に米軍やロシア軍だけで撃退した怪獣はかなりの数に上る。


 だから、その米軍のハワイ基地がたった一人の人間によって『死者を出さずに無力化』されるなど、その男がいかに規格外かがわかるというものだ。


 だから『アトランティス皇帝』にあの人が勝てなかったという緊急情報が入ってきたときもやはりと納得せざるを得なかった。

 そして、もらった情報からどれだけシミュレートしてみても自分だけならもちろん、三銃士の全員でも全然勝てるイメージが湧かなかった。


 だから、その後、あの人と二人の仲間が星舟を撃退したと聞いた時、安心すると同時にものすごい焦燥感にかられた。

 今のままでは自分はとてもあの人に並ぶところに届かないのではないか?

 何を努力すれば少しでもあの人に近づけるのだろう?



~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~



 「ただ今戻りました!!」

 おしゃれなメタリック系のコンバットスーツに身を包んだ可愛らしい女の子が私に敬礼する。

 「お帰り、望海ちゃん。そんなにかしこまらなくて大丈夫だから♪」

 「いえ!私なんぞをスーパーヒーローオリンピック代表に抜擢していただくなんて、ものすごく光栄です!!不肖『ミラクル・コンバットガール』!全力でチャレンジさせていただきます!!」


 推薦入試で我が風流学院高校への入学を決めた後、北川望海ちゃんはモンスターバスター訓練泊まり込み合宿に参加し、今日無事に戻ってきたのだ。

 もともと『サバゲーで鍛えていた』だけでなく、美佐ちゃんと一緒に魔法少女として数か月実戦経験のある望海ちゃんは少し講習を受けただけで、即A級モンスターバスターとして採用された。

 さらに、魔法少女装備を『大魔女』アルさんに強化してもらった結果、もともとA級中クラスくらいだった実力が訓練終了後の現在はA級でも最上位クラスだと合宿の教官の一人の一二星の一人の『宇宙からの超人』マルクから聞いている。

 もともと本人の意向もあり、スーパーヒロインオリンピックのみならず、将来スーパーヒーロー協会への参加も快諾してくれた。


 学校では元生徒会長でお嬢様の超優等生の猫を被っているが、元気いっぱいで好奇心にあふれるおちゃめさんだ。それでいて、実戦では沈着冷静で、銃器他の武器を活用した集団戦のスペシャリストだが、格闘戦も大丈夫、指揮能力も高いという戦闘のプロだ。


 「望海ちゃんが今回はもちろん、スーパーヒロインとしてこれからも活躍し続けてくれること自体は大歓迎なんだけど…ご両親は大丈夫なの?」

 「急に全部打ち明けるのは無理だけど、『実績を残し』て、瀬利亜さんやアルテアさんの口添えをいただければ、絶対に説得できると思う。」


 「ところで望海はん。最初にお会いした時とかなり雰囲気が変わられた…すごくかっこようなりはった感じがするんやけど。」

 ん?光ちゃんの口調がやや微妙なのですが…。

 「光一さん、そうおっしゃっていただいてうれしいです!!瀬利亜さんのような立派な戦士として独り立ちさせていただくだけでなく、スーパーヒロインとしても末永く瀬利亜さんを光一さんと共に支えることができれば光栄です!!」

 目がギラギラと輝き、やる気がスパークしてくれています。

 そのこと自体は悪いことではないのだが…魔法少女として最初に会った頃よりかなり『変なスイッチ』が入ってしまっているような気がする。

 光ちゃんが懸念するような口調なのもそれが原因だろう。だが、頭もすごくよく、感性も高い望海ちゃんのことだ。いろいろあっても最終的には望海ちゃんの人生そのものも、スーパー―ヒロインとしても問題なく送れることは間違いないと私の『正義の直観』も囁いてくれている。

 とりあえず、三人でケーキバイキングを楽しみつつ気勢を上げたのだった。




 「ようこそ、わくわくランドアメリカへ!」

 私と光ちゃん、望海ちゃんが『コタツゲートを使って』フロリダのわくわくランドを視察していると、長身の男前の女性から声を掛けられた。

 マリーザことライトニングレディだ。今日はやけにリラックスされているのだね。


 「今大会の参加は君たち三人と後お二人さんなのだね。しかし…その御嬢さんは只者ではなさそうだ。瀬利亜さんは秘蔵っこでも出してこられたのかい?」

 マリーザが嬉しそうに望海ちゃんを見つめている。

 「そうおっしゃっていただいて光栄です!あのライトニングレディさんとお手合わせできるのを楽しみにしております!!」

 マリーザを前にして、『その実力を察知しつつも』全く気圧されることなく元気に返事する望海ちゃんは本当に大物だ。この調子でいけば遠からず一二星並の実力者になってくれそうだ。


 「おやおや、瀬利亜さんに続いて、日本にはさらに若手のホープがいるのだね。」

 向こう側からさらに二人の人影が姿を見せる。

 長身の精悍なドイツ系の三〇前の男性と、二〇代後半のメキシコ系の妖艶な雰囲気の女性だ。

 男性はサムライファイターこと、ジェラルド・ベルツだ。青い目の忍者や侍はアメリカでは日常茶飯事…らしい。求道者のような性格をしていて、強化スーツとエネルギーソードを駆使して怪人、怪獣などをぶった切っていくのだ。

 家に帰ると愛妻家で三人の子供をかわいがる子煩悩なパパなのだ。


 女性はシルバームーンこと、アマランタ・ベルグラーノだ。コンピューターや情報のプロで、アメリカスーパーヒーロー協会の頭脳とも呼ばれている。

 個人戦闘の力もかなりのものだが、作戦立案やサポートに回った時その実力を最大限発揮するタイプだ。

 「瀬利亜さんともいろいろお話したいけど、光一さんとの情報交換が楽しみだわ。もちろん、勝負はこちらが頂くけどね。」

 アマランタさんがにっこり笑って右手を差し出す。

 光ちゃんとは技術者としていいライバルということらしい。ちなみに協会のスタッフの彼氏がいて、なかなかプロポーズしてくれないと愚痴をこぼされていたのは余談だ。



 「へえ?アメリカチームも日本チームも相当強そうだねえ♪これは楽しみだ!」

 嬉しそうな女性の声が後ろからかかり、振り返ると…なんとナースチャではないか?!

 双子の妹のエレーナと二メートルを軽く超す、岩のような大男と一緒にいる。

 美女二人と大男が並んでいるさまはまさに『美女と野獣』だ。


 『どうして、ここに?』と口に出そうとして、一緒にいる大男のことを思いだした。

 『ロシアの重戦士』の異名を取るスーパーヒーロー『ビッグマン』ことアレクサンドル・コヴァレフスキーだ。

 超能力で全身を思い切り強化して、『宇宙からの超人マルク』同様、肉体で勝負を賭ける凄まじいファイターだ。ただし、マルクよりは『格闘家』しての色彩が濃く、また、銃器も必要に応じて併用する。本来は軍人なのだそうだ。そして、マルクとほぼ同等の強さだと当たりを付けている。

 彼も仕事を離れるとよきパパらしい。

 海外のスーパーヒーローは家庭ではアットホームなのだよね…。

 うちもぜひぜひそういう家庭を作ろうではないか!!

 ……待てよ?!ナースチャ達がアレクサンドルと一緒ということは…。


 「ナースチャ!エレーナ!もしかしてあなたたちもスーパーヒーローオリンピックに参加するわけ?!」

 「正解♪マーチン大統領からぜひ参加してくれと頼まれてね。アメリカチームや日本チームとの対戦が楽しみなので、喜んで参加させていただいたよ。」

 ナースチャが嬉しそうに言う。

 なんてこったい!!ロシアチームが下手するとアメリカ並みかそれ以上の強敵になっているではないか!!

 万が一パーティ同士の戦いがある場合はパザロヴァ姉妹の『不死の騎士』が絶大な威力を発揮する。

 これは、残りの二人も相当なメンバーを入れないと、アメリカチームはもちろん、ロシアチームにも完全に後れを取ってしまうだろう。


 「そうだ、瀬利亜、こんなのはどうかしら?」

 エレーナがにっこりと私に笑いかける。

 「私たちが勝ったら巧人さんにはナースチャをあきらめてもらうということで…。」


 「「いやいや、それおかしいから!!」」

 私とナースチャが同時に突っこむ。

 チームメイト同士、しかも姉妹で利害が一致しない条件を入れてどうする!!


 「…あーー、エレーナ。お前さんすごい美人なんだから、彼氏早く見つけろよ…。」

 アレクサンドルが困ったように口をはさむ。

 「姉妹のことに首を突っ込まないでちょうだい!!」

 エレーナが逆切れして、アレクサンドルを睨みつける。

 これではどっちが野獣かわかったものではないのですが…。



 「ふふ、ロシアチームが予想より強そうで、楽しみが増えたわ。では、残りの二人はそれぞれのチームも当日判明するということなのね。」

 我々のやり取りを見ていたアマランタさんが笑う。

 基本、スーパーヒーローたちはピンチになるほどやる気を見せるタイプが多いのだが、この人もその例に漏れないのだ。


 私もどんな手を使ってでも勝ちたい…とかは全然思わないのだけれども、まともなメンバーが揃わずに勝負にならないという状況は避けたいものだ。

 そんなわけでロシアチームにも対抗しなければならないため、さらにメンバー招聘のハードルが上がってしまったわけだ。


 だが、この時私はわかっていなかった。

 予期しない強敵たちがまだまだおり、想像以上の苦戦を強いられることになることを。



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