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電話で通話

 ボクは、公園のベンチに座ると、上着の右ポケットに入っていた(入れた覚えは無いんだけどなぁ……?)スマホをいじった。スマホには、ゆー君と2ショットで写っている写真が張り付けてあって、見た時には数秒フリーズしてしまったけど……何これ。こんな写真、貼った以前に撮った覚えすらないんですけど?


 かなり登録されている電話帳(こんなに登録してたっけかな?)をスクロールし、ゆー君の名前をやっと見つけて通話ボタンに触れる。プルル……と呼び出し音が鳴る。……鳴り続ける。


 ゆー君が行方不明、と聞いた時から、こうなるんでは、と思っていたが……。


「やっぱり、でない………」


 何度やっても数十回以上のコールの後に、『おかけになった電話番号は……』とお決まりの音声が流れてしまう。


 ――……やっぱり、無理なのかな。


 そう思いショボンとポケットにスマホを放り込んで、

 ガツッ。


「……? 何の音?」


 固い音がした。何だろうと探ると出てきたのは――()()()


 ――あれ? さっき放り込んだのと何かがぶつかった様な音だったんだけど?


 取り出したスマホを左手で持ったまま、更にポケットを探る。四角い物を引っ張り出した――と思ったら、またもや()()()。しかもあの写真付きの。


「え? ……て、事はこっちのは……」


 右手がさっきまで使っていた物だ。それはゆー君と2ショットで写っている写真がはっ付けてある事からも分かる。

 問題・じゃあ、左手のは?


「…………え、これ、ボクの……だよね」


 回答・僕がいっつも使っているスマホ。


 いやちょっと待て。これは、あの円みたいなのに飛ばされる前に使っていた物――でも右手にもスマホあるよ? 確かに写真なんて貼った覚えないけど、()()()使()()()()みたいな、手に馴染む様な感覚あったんだけど……どゆ事?


 数秒固まった後に、左手のスマホの電源を入れる。電話帳リストに飛ぶと、一番上に瞬いていた『ゆー君』と言う電話番号をタップ。

 流れ的に言えば、ここでもう1回かけてみたら繋がるとかあり得るんじゃないかな?


「……よし、もう一回かけてみよ」


『プルルルルルル……』


「も、もしもし……?」


『ブツッ』


 ――あっ……繋がった!

 そう思った時には電話口で叫んでいた。


「ゆーくーん!!」

(さく)!?』

「あ~でたでた。もー急にどっか行っちゃダメでしょー!!」

『い、いやどっか行った訳じゃ……いやまぁ(さく)からすればどっか行った様に見えるのか』


 ゆー君が変な事を言ってる。ボクからすれば? どう言う事? ゆー君から見たらどう見えるのさ?


『――ってその反応って事は、(さく)、今何処にいるんだ?』


 って、へ? 今どこって……。


「ん? 家の近くの公園だよ~。いやぁゆー君もしゅー君も急にいなくなったから、坂城ちゃんは怒って帰ったのだ!!」


 疑問に思った頭とは裏腹に、ボクの口は別に怒ってないのに怒ってる「ふり」をしていた。


 ――あれ? ボクって帰ったんじゃなくて、あの円に何かされて、気づいたら家の前に居た、が正しい筈……でも何でボクの口は、思った事と別の事言ってるの……?


『……えと(さく)―……』


 ゆー君が何か言いかけたが、ボクの口はお構い無し。そのまま変な興奮を口調にのせたまま、ゆー君の言葉に被せる様に次の言葉をぶつけていた。


「そしたらあら不思議! 何とお母さんはシン〇ローになっていたのだよ!!」

『……え?』


 電話口でゆー君が驚く気配。うん、あれにはボクも本当にびっくりしたわ。


「そしてさっき榊原(さかきばら)さんに会ったのだけどネー、榊原(さかきばら)さんは榊原(さかきばら)さんで近寄りがたい性格 だったのにも関わらず何故か気さくになってたのだ! ……どういう事なのこれ」


 若干捲し立てる様な口調で言いきり、ゆー君の言葉を待つ。小難しい事は昔からゆー君にお任せ! のスタンスである。

 幸い我らの軍師様は、どう言う状況か理解なされてるご様子で、数秒の間の後呆れている様な口調で言った。


『あー……うん、僕みたいに変な所へ飛ばされてないのは良かったけど……(さく)、状況理解してる の?』

「してる訳ないじゃん。何か周囲の性格が変わってるっていうか入れ替わってるっぽいのは分かるけど」


 あー、やっぱり今考え直してみたら、変わってる、入れ替わってるって言うよりも――、


『……それ逆転してるのほうが正しいんじゃ?』

「そうそれ」


 ……ゆー君に先回りして言われてしまった。でも確かに、皆の性格が――と言うよりボクに対する態度自体が、いつもと正反対の態度ばかりだった。特に榊原(さかきばら)さん。


『……うーん(さく)の飛ばされた世界は【性格逆転】かぁ』


 世界()? 【性格逆転】? 何か知った様な口調だけど……。状況理解は出来るだろうけど、それ以上の事を知ってる様な……?


 ――それに、ゆー君本人はどこにいるの……? しゅー君も……一緒に、どっかに行っちゃってるの……?


 ふとよぎった考えに、まさかと首を振った所で、ゆー君の独り言らしい呟きが耳に入る。


『……困ったな、それどうやってフラグ立てるのか分からないぞ……』


 ――え? 待って、フラグって何? フラグって ……フラグ回収とかのフラグ? ちょっ……気になる、とても気になる。


 しかしそれを口に出すよりも、状況は早く進んでしまうのが常と言うか?


『……え?』


 電話口から溢れたゆー君の次の言葉に、危うくスマホを取り落とす所だった。


『う、うわああああぁぁぁぁ!?』


 ――!!!? え、ちょっなに!?


 電話の向こうで、ザクッ、ザクッと言う何かを踏みしめる様な音。それが――()()()

 誰かに追いかけられている?


「ゆー君!? 何がうわああああぁぁぁぁなの!?」

『ちょっ、(さく)また後でかけ直す!』


 ボクの問いは、ゆー君の叫ぶ様に言われた言葉と、ブツッと言う通話の途切れる音に遮られた。


「え、ちょっ! 待っ………切りやがった」


 ツー、ツー、ツー……と鳴る音に、


 ――なんだろうこの感じ……… なんか…………そう、


「すごく嫌な予感がする」


 と言う、予感めいた物を感じていた。


以上です。

題名ラップみたくなったよ何で?

……まぁ、いいか。

次話は、由楽から切れて、咲がブラブラしてたら――っと言った感じです。ゆっくり待っててください。

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