初めての奴隷
「いやー助かりました!!ユウトサン。アームストロング三体に囲まれてはもうダメだと思いましたよ!!」
「いえいえ、たまたま街道を歩いていたら声がしたので走って来ただけですので、間に合って良かったです。」
声をかけた後転がっていた冒険者三人を回収し回復ポーションを使った後自己紹介と軽い雑談をしている。今興奮気味に話してる人は商人のカールさんだ。緑色の大きめの服を着た三十後半のおじさんだ。髪は短く整えられており清潔感がある。色が瞳も緑色だ全身緑色で目が痛くなりそうなひとだ。
彼が言ったアームストロングとはゴリラさんの魔物名である。彼が興奮気味なのはアームストロングから出たレアドロップが関係している。
「それにしてもユウトサン!レアドロップが二つ!!それも一つは魔道具!!羨ましい限りです。」
「あはは、人助けしたらいい事があったという事てすね。それにしてもレインさん二つ共僕が頂いて本当にいいんですか?」
「ああ、むしろこのアームストロングの肉も君が持ってくべきだ。我々だけでは一体も倒せなかったであろうし命も無かったからな。」
今話してたのはレインさん藍色の髪に青い瞳のイケメンである。身長は百八十ぐらいで引き締まった身体をしている。さぞかしモテるであろう。しかもまだ十八歳でギルドランクBランクらしいカールさんが言うにはこの年でBランクはかなり将来有望だとか、そんな彼が言ったアームストロングの肉は美味いし一体から二十kg程ドロップするがBランクでも六人で一日に一体しか狩れない程強いらしく普通のドロップでも金貨五枚の価値があるとか、出ました金貨!全く価値がわからないけど。
「レアドロップ二つも貰いましたし、レインさん達は回復ポーション使ったのでちょっとでも足しにしてください。」
「そうか正直助かる。このままでは三人共直ぐに冒険者業を再開出来ないから街に戻った後治療師にみせたかったんだ。これがあれば治療師に見せられそうだ。ありがとう。」
「そうですか。それは良かったです。」
僕がレインさんからのお礼に照れながら答えていると
「それでてすねユウトサン!!」
と会話の終わりを待ってました!とばかりに興奮冷めやらぬカールさんが声をかけてきた。
「ここにある魔道具なのですが私に譲っていただきたいのです。勿論命の恩人なので色をつけさせていただきます。白金貨二枚でいかがでしょう!!」
うん全くわかりません。レインさんが驚いてるので凄いと言うことはわかるがそれ以上は全くわかりません。
そんな事を考えているとカールさんは更に言ってくる。
「ユウトサンは先程から彼女が気になっている様子。彼女は先日買った処女の奴隷です。今なら彼女もおつけしましょう!」
カールさんは小さい声で強調しながら言ってくる。これでどうだとドヤ顔しながら。でもそんな事より
きました奴隷です!!!そうなんです!幌馬車の中に女の子座りですわっている首輪を付けた犬耳の女性がいたのでさっきから盗み見ていたのをカールさんにばれていたらしいです。もう僕的には彼女だけで交換してもいいぐらいですがここで聞いとかなくてはならない事があります。
「あのー実はですね。僕は先日までおじいちゃんと二人で山で暮らしていたので先程から会話に出ている金貨とか白金貨とかがよくわからないんですよ。物と交換できる物だとはわかるのですが。」
僕がそう言うとカールさんはびっくりしたみたいだが丁寧に通貨のことを説明してくれた。以下の通りである。
銅貨十枚=銀貨一枚
銀貨十枚=金貨一枚
金貨十枚=金板一枚
金板十枚=金塊一個
金塊十個=白金貨一枚
白金貨十枚=白金板一枚
詳しくはわからないが銅貨一枚=百円ぽい
つまり二千万ですね。本当にありがとうございます。
僕がそんな事を頭で考えていたらカールさんはすでに彼女をこちらに呼んでいた。そして近づいて来た彼女を見て僕の息は詰まってしまう。
近づいて来るとよく分かった。彼女はとても美しい。ハニーブロンドの腰まである髪、頭の上に髪の色と同じ色のピンと立つ三角耳、細く美しい眉の下にある鋭くも美しい金色の瞳、鼻はすっとしていて、丁度良い厚さの艶のある唇、身体も引き締まっているとわかる、だが胸と尻はしっかりとしたボリュームがある。彼女が身に付けている薄い貫頭衣と合わさって女神や天使と言われても信じてしまうだろう。
僕の喉がゴクリと鳴る。それを見てカールさんはニヤリとしながら彼女に言った。
「メイヤこちらはユウトサンだ。彼はお前が気に入ったらしいどうだい。」
僕はなに言ってんだおっさん!とカールさんを睨むがその横からとても美しい声で話しかけられる。
「初めましてユウト様。私は金狼族のメイヤと申します。私を気に入ったとのことですが私も馬車の中から先程の戦闘を見てユウト様が気になっていました。ユウト様が私のご主人様になってくれると私も嬉しく思います。」
き・ま・し・た!!ご主人様です!!!しかもこんな美女が顔を赤らめながら視線を下に向けて恥ずかしそうに言葉紡いでる姿に僕の胸はバクバク高鳴り死にそうです。
更にカールさんが僕の耳元に手を当て追撃をかけます。
「ユウトサン彼女は金狼族!獣人は戦闘に向いてる種族ですがその中でも更に戦闘向けです。それに人間より遥かに寿命が長いのでユウトサンが死ぬまで今の外見とほぼ変化がないでしょう。しかもです!彼女は村の事情で奴隷になる事が決まっていた為街で役立つ知識を色々持っています。山で暮らしていて通貨の事も知らなかったユウトサンにはこれ以上ないくらいピッタリな奴隷です。如何ですか?」
いやらしい!なんていやらしいんだカールさんこんなの断れるはずがない。ええ断る気もないですよ。
「是非お願いします。カールさん!!」
僕はカールさんの手を両手で手加減をしながらもしっかりと熱く握った。
カールさんはニッコリと笑い。
「はい、ユウトサン私にとってもとてもいい商談になりました。街に着いたら私の商会で直ぐにでも契約しましょう。」
「はいよろしくお願いします!!」
僕がメイヤの方に視線を向けると彼女は僕を見て頬を赤らめながらも優しく微笑んだ。
ああ幸せすぎて死にそうです。