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前半

長いっ!長過ぎるぞっ!なので連載にしなくちゃならなくなっただろうがっ!

しかも皆さんの投稿頻度が予想よりも早くて急遽緊急投稿だぁっ!


それにしても皆さんお行儀がよろしいです。うん、111作品目を譲って頂きました。

いや~、言ってみるもんだなぁ。

ある日曜日の朝。俺はいつもと違い実に爽やかに目を醒ました。いや、この場合は『覚ました』が正しい漢字表現らしい。

グーグル先生曰く、『醒ました』という漢字は酒の酔いから冷めるという場合に用いるらしいからな。

因みに良いから醒めると言うべきところを『冷める』と言ったのは単なるボケだ。更に『酔い』を『良い』と言ったのも『かぶせ』である。


このように今日は朝から絶好調だった。ああっ、仕事に行かなくていいって最高だっ!ビバっ、日曜日っ!もう毎日が日曜日だったらいいのにっ!

いや、それだとお給料が出ないから駄目か。むーっ、『働かざる者、喰うべからず』とは、なんと現実は厳しいのだろう。


でもまぁ、俺はブラックな職場ではあるがちゃんと働いているから日曜日くらいはゆっくりしてもバチは当たらないだろう。

そもそも先週俺はがんばったからな。なんせ部長のアホが無謀な納期の仕事を取ってきたおかげで毎日泊り込みで製品を作っていたのだ。


いや、それは別にいいのだ。働いた分の残業代はちゃんと支払われるはずだから。ただ、残業してまで作った製品ってのが世の中になんの貢献もしないであろう『フィギュア人形』だったのが残念なのだ。

いや、ある種の人たちにとってはフィギュア人形って宝物らしいのだが、今回俺が作ったのは某中華系企業が外国で売捌く為のパッチモン。つまり版権とかを無視したニセモノだったのだ。


むーっ、こんな仕事を請けなければならないとは、もしかしてウチの会社危ないのか?倒産したら俺って無職になっちゃうの?

あーっ、一応ネットで求人情報とか見ておいた方がいいかなぁ。


だが、取り敢えず仕事はこなした。その売り上げがあれば今月や来月に潰れる事はないだろう。なので俺は仕事の事は一旦忘れて、まずはトイレですっきりしてから朝飯を食う事にした。

そして事件はトイレで用をたそうとした時に起こった。


あれれ?いつもならば俺の息子は男性の生理現象にて朝はギンギンに主張しているはずなのに今日は随分大人しいな。

あれ?と言うか息子がいなくない?えっ、なんで?どこいっちゃったの俺のご子息様は?


俺は慌てて自分の股間を覗き込む。だが視覚的にもそこに長年連れ添った息子はいなかった。と言うか、なんか胸が邪魔して見づらいんだけど?

えっ、なんで?なんだ、この胸の膨らみは?猫でも潜りこんでいるのか?


いや、ウチのアパートはペット禁止なので猫はいない。勿論フェレットもいない。当然一緒に住んでいる女性もいない・・。

だが、何故か俺の眼下には女性の胸っぽい膨らみが見えている。むーっ、もしかしてダニか何かに刺されて腫れたんだろうか?でも別に痛くも痒くもないんだけど?


なので俺は取り敢えず洋風便器に腰掛けてちぢこまっリ過ぎて見えなくなっただけと思われる息子をせっついて用をたした後、洗面所の鏡で虫に刺された跡がないか胸部を確認しようとした。

で、鏡の前に立って胸よりも驚いたのが顔だ。うん、なんか知らない女性が鏡に映っているよっ!俺は思わず後ろを振り返ったよっ!でも誰もいなかったよっ!


だが、鏡を見るとやっぱりそこには女性がいた。しかもなんか顔面蒼白状態である。そこで俺はおもむろに顔に手をやった。

すると鏡の中の女性も俺の動きにぴったりとシンクロさせて同じ動作をしてきたよ。


あーっ、これってパントマイムとかでよく見るやつじゃね?ならばこの動きはどうだっ!

俺は女性が羞恥心から真似するのを躊躇うであろう動作をしてみた。だが、その女性はなんの躊躇いも見せずに追随してくる。


いやいや、それは駄目だろう。女の子がそんな事をしてはいけませんっ!ご両親が見たら泣くぞっ!

うん、判ってる。ちょっとふざけただけだ。でもそんな事でも言わないとパニくりそうなのよ。だって朝起きたら女性になっていたんだぞっ!別に俺は食パンくわえながら街角で出会いがしらに女性とごっつんこした訳でもねぇっ!


と言うか、この人誰だよっ!全然俺に似てないし、すげぇ美人だぞっ!

で、ここで俺は更なる異変に気づいた。うん、俺の変化もびっくりもんだが、周りを見渡すとここって俺の部屋じゃないよっ!


今見ている鏡もなんかすげぇ高級そうなシステム洗面台だったよっ!その横にある棚にふんだんに仕舞われているバスタオル類も多分今治製だよっ!

無造作に置かれているヘアドライヤーも確かこの前テレビで絶賛されていた4万円くらいするやつだよっ!


そんな状況にかなり打ちのめされながらもなんとか部屋に戻ると、そこはやっぱり俺の部屋ではなかった・・。

うん、多分どこかの高級マンションだな。もしかしたら最近流行のタワマンってやつかも知れない。しかもその最上階っぽいよ。だって遠くに東京タワーの第2展望台が同じ高さに見えるんだもの・・。


そして俺のアパートの部屋の4倍はありそうな広さの居間には多分トルコ製と思われるでかい絨毯が4枚も敷かれていた。

そして壁には、さすがにこれは模写品だろうけど、ピエール・オーギュスト・ルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』が飾られている。

でも何故かその横に手足の生えたタイヤキの絵が掲げられているのが逆にシュールだった。


そんな状況に俺がフリーズしていると、なにやら玄関と思われる方から扉を開ける音がして誰かが入ってくる気配がした。

まずい、もしかしてこの部屋の住人か?いや、俺は何も悪い事などしていないが、朝起きたらここにいたと言っても信じて貰える自信がない。


とは言え、隠れようにも逃げ場がない。窓から外に出ようにも飛び降りたりしたら確実にぺしゃんこだ。

で、俺があたふたしている内に件の人物も迷う事無く俺が今いる居間へ入ってきた。そして開口一番こう言った。


「やっほー、留守番警備員猫ちゃん担当只今参上っ!いや~、いつ来てもここのセキュリティって融通が利かないわよね。私の顔くらいもう覚えているだろうに、やれパスワードがなんちゃら、訪問目的はどうたら、誰かに後を追跡された気配はないかとか聞いてくるんだもの。」

その人物は女性だった。いや、どちらかと言うと女の子と言うべきか?


そんな彼女に対して何故か俺はすらすらと次のような言葉を返した。


「遅いわ、恋菜。私は直ぐ出かけなくちゃならないから説明は簡単に済ますわよ。で、まず置いてあるものは動かさないでね。ゲーム機は好きに使っていいわ。猫とも好きに遊んで。でも部屋を汚したらちゃんと掃除してよ。ベッドの交換用シーツはクロゼットに入っているから私が帰ってくる前には交換しておいてね。」

「おっけぇ、おっけぇ。」


「冷蔵庫の中に入ってる食料品は全て食べていいわ。特に賞味期限の近いものから片付けて貰えると助かるわ。」

「了解でござる、ミサ様っ!特にアルコール類は一滴残らず処理させていただきますっ!」


「最後にこれはとても大事な事なんだけどネットの某素人小説サイトで開催されている某個人企画だけは閲覧しないで。」

「へ?なんで?」


「私もこの部屋を契約した時に管理人からそう言われただけで詳しくは知らないんだけど、その企画の作品を読むととんでもない事が起こるらしいのよ。だから私も一度もその個人企画にはアクセスしていないわ。」

「ふぅ~ん、そうなんだ・・。」


「それじゃ、お留守番お願いね。」

俺は彼女にそう告げると、いつの間にかそこにあった旅行鞄を手にして部屋を出た。その背後からは彼女の「ひゃ~、ブルジョワ気分だぁっ!」という奇声が聞こえたが、取り敢えず問題なく部屋を出る事が出来たのは朗報だ。

そう、朗報なはずなのだが、俺はマンションを出たところで足が止まってしまった。そもそも彼女が訪ねてきてからこの瞬間まで、俺は俺でありながら俺の意思とは関係なく喋ったり動いていた気がする。


それがマンションを出た途端、その呪縛から解き放たれた感じなのだ。しかしだからと言って問題が解決したわけではない。

そう、俺は依然として彼女が『ミサ』と呼んだ女性の姿のままなのだ。仮にこのまま本来の俺の部屋へ戻ったとしても、そこに俺の姿をしたやつがいたら俺はどうしたらいいんだ?


俺の意識としては女体化したと言っても俺は俺なので、その俺の部屋にいる俺はニセモノのはずだ。だが世間や生体的にはきっと俺の部屋にいる俺のニセモノの方が俺として認められるはずだ。

うん、なんせ今の俺には俺が俺である証であるマイサムがぶら下がっていないのだら・・。


むーっ、なんか俺俺ばかり言っていると『オレオレ詐欺』でもやっている気分になるな。

でもまぁ、まずは確かめてみなければなるまい。なので俺はまず通りすがりのおっさんに近くの駅の場所を聞いてアパートに帰る事にした。


因みにおっさんは案内してやるよと言って、如何にも人通りの少ない場所に俺を連れて行こうとしたのでぶん殴って駅の場所を吐かせた。

うん、なんかこの体って鍛えられているらしくパンチのキレが凄かったよ。そう言えば部屋の隅にはすげぇ重そうなバーベルがあったっけ。


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― 新着の感想 ―
ど……、どうなるんだこれ……。
うん、なんせ今の俺には俺が俺である証であるマイサムがぶら下がっていないのだら・・。 ↑ いないのだから・・。 ミスっぽいので念の為。不要な指摘でしたら感想を削除しちゃって下さいませ。 ⊂(・▽・⊂…
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