4話
武器を取った俺たちは大型輸送車に乗り込み、ゴトゴトと揺れる車体に身を任せていた。
さっきまでの武器の取り合いの喧騒が嘘のようで静寂という言葉が場を支配していた。
そして、その静寂を壊すとんでも野郎が出てきた。
「ねぇ、僕らと同じくらいの年齢だよね!
僕はアーディブ!キミの名前は?」
「……高橋純」
うんん”さっきのチャラ男かぁ。ブラックリストなのに!関わりたくないのに!!
「ジュン!よろしくね~!隣に座ってんのはマケラ。俺の相棒なのよ」
「ヨロシクネ‼︎」
アーディブに紹介されたマケラは顔をぴょこっと出して俺に挨拶してくる。さっきは気にならなかったけど、2人とも褐色だし海外の人っぽい特徴的な日本語を話してる。ハーフってやつか。
みんなこの状況下に耐えられなかったのかアーディブが話し出した途端みんな次々と話し始める。
「ところでさ、ジュンは知ってるかい?この初日の任務でどれくらいの人が死ぬのカヲ」
「うーん。……9割ってのがよく聞く噂だね」
俺の9割という言葉を軸に、また静寂に場を支配させてしまう。
やっちまったーー。せっかくアーディブが和ませてた空気を台無しに。
…いや!!アーディブが聞いてきたんだ!よし。アーディブのせいだ!!
「9割8分」
「え」
「実際に新兵が死ぬのは9割8分だ。まぁ、俺は当然生き残るがお前のような凡人には酷な事実だったな」
シン・ソジュンはクイッとメガネを上げ、横から話したかと思ったらまた眠り始めてしまった。
あんのメガネ野郎ーーー!サラッと嫌味な野郎だな?!
「ハハッ、身震いしちゃったヨ」
アーディブの苦笑いを最後に車内の雑談は途切れ、武器を握る手に力が入る。
“俺はその2分に入れるのか”を無意識に考えてしまう。
「到着まであと3分だ。準備しておけよ」
運転席からの低い声に全員武器を握り直す。
この雑魚狩りが俺の、俺たちの出会いになることをまだ知らなかった。