2話
「ここが、俺の新しい家か…」
無感情な冷たい鉄筋コンクリートの壁が俺を見定めているようで気分が重くなる。しかし、もう歩みを止めることは出来ない。
中に入ると、スーツの人々が忙しなく行き交っている。こうして見ると至って普通の会社だ。
俺は、上部の電光掲示板に目を移す。
『新兵控え室は2階会議室』
エレベーターに乗り、会議室の少し重さのある扉を開くと100名あまりの徴兵の犠牲者達が集まっていた。意外と多いな。
「その制服って都立女子校の制服だよね!僕らの高校と隣じゃん!」
「まさに運命の出会いってやつじゃね?」
「はぁ、?あんたらみたいな無神経な男共に運命とか感じる訳ないでしょ!?」
チャラい男子達が気の強そうな女子に絡んでいる。関わると面倒だ。
俺が18年間で培った隠密スキル:「壁に同化」を発揮する時が来たようだ。
「おい、お前らさっきから五月蝿い。戦場では一つの行動が命取りになる。俺の足だけは引っ張るなよ。」
眼鏡をかけたインテリ系男子が間に入ってきた。うん、絶対に関わりたくない。あの4人は俺の中のブラックリストに入れておくとしよう。
バタンッ
「静粛に!これから入団式を始める。並びに、配属部隊も発表する。」
会議室のドアが開く音とともに隊服を身にまとった男性達が入ってきた。
それにしても配属部隊か…。俺としては前線に出ない部隊なら何でもいいかな
「続いて、第8部隊!シン・ソジュン!」
「はい!」
さっきの小煩い眼鏡は第8部隊に所属のようだ。
「高橋純!」
「は、はいっ!」
…終わった。ブラックリストの1人と同じ部隊じゃねぇか。
眼鏡と目が合うと睨んでくる。
「お前も足は引っ張るなよ。」
なんで俺だけに言った?他にも足引っ張りそうなやついるだろうが!
何事もなく入団式は終わったかのように思った。
「訓練演習を行うというところだが、第8部隊と第12部隊は残れ。緊急任務だ。」
ま、?