⑥
今回は崇さん視点で
短めです。
「この世界に二人だけの…二人の事を…二人で考えましょう」
口から“言葉”が零れ落ちてしまった。
一体僕は…何を口走っているのだろう…
それはこの子が…自分の身を売るような事を言うから。
きっと僕の中の“マザコン”が僕を動かしたんだ。
母は身を売る事はしなかったが“性被害”に耐えて、僕を育ててくれたから…
話の内容からこの人が…同じような被害に晒されていると推察される、だから…
いや、違う!
僕はさらけ出してしまった自分自身のみっともなさを押し隠すためにカノジョを利用しているだけなんだ!!
なんてみっともなく下卑たヤツなんだ!僕は!!
でも
ここまで分かっているのに
僕は柔らかな体を抱きしめている自分の腕を緩める事ができない。
徐々に上がってゆくこの人の体温に
心地良さを感じて…
僕を見上げた
この子の目の奥に
燃える煌めきが見える気がして…
目が離せない。
それが瞼ですう~っと閉じられて
ひくん!と小鼻が動いて
可愛い唇が尖ると
僕は傾き落ちそうになって
白昼夢を見てしまった時の様に慌てて頭をグリン!と引き戻し
手をカノジョの両肩に置き直した。
「結婚しましょう!」
「えっ?!」
カノジョが…戸惑いと紅潮と迷いとが綯い交ぜとなった表情を見せている一瞬の間に、僕は不完全な提案を整え、カノジョに提示した。
「あくまでも形だけの“偽装結婚”です。僕と結婚すればあなたは、山田氏やご尊父の呪縛から効率よく逃れる事ができます。 そうしておいて、あなたは桜井さんとの“機会”を掴めばいい。もとより私は男色家ですから…何の問題もありません。 それを離婚の理由にしていただいても結構です。 僕との離婚後、あなたが桜井さんと一緒になっても、桜井さんは山田氏からは恨みは買いませんよ。敵の敵は味方なのですから」
笑顔でこう提案すると、路子さんは小刻みに首を振った。
「そんな事!できるわけがありません!! あなたにご迷惑が掛かるばかりです!!」
僕は努めて快活にその言葉を打ち消す。
「この提案は僕にも十分なメリットがあるのです。先程お話した様に僕はマザコンです。そして男色家である事も…母は薄々勘付いています。 だから母に、少しの間だけでもいいから…そう、孫の顔は見せられなくても、可愛い“娘”を持たせてあげたい。母に仕えて下さいと申し上げてるわけでは無く、母にわがままを言って甘えてやって欲しいのです。僕は男で意地っ張りで、そういった意味では…つまらない子供でしたから」
この話を…
何とか信じてもらい
この提案に乗って欲しい。
僕は自分の中の“笑顔”を目一杯振り絞って
路子さんに注いだ。
続きます
やっぱり王子様は私には難しくて、なかなかうまく行きません(^^;)
ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!<m(__)m>




