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チームリーダー

「俺がチームリーダー?なんで?」


ポーラの提案にトウヤは戸惑った。


「まずはチームについて話した方がいいかな?ギルドにある程度人数が集まると

相性のいいとかの理由で数人の集まりが出来るのよ。

そしてそれがクエストやプライベートの集まりになるのはわかるかな?」


組織が出来て人数が集まると、幾つかの集団が生まれる。


これは修道院にいた時もそうだったので理解は出来る。


「それはわかる。組織を作るんだからそうなることも理解出来るよ。

でもリーダーが何で俺なのかがわからないんだけど?」


「お前、自分の力をよく理解していないんだな」


ファイゼンがトウヤの頭をわちゃわちゃ撫でる。


子供扱いのようで不快だったので、勢いよく振り払ってしまった。


「トウヤには私とは違う人の集まりを作る力があるのよ」


ポーラが説明してくれるが意味が分からない。


「お前がどれだけの人と仲良くなりチームを組んだか数えてみな」


リーシャに言われ思い浮かべる。


ルー、ミナ、ティア、セレス……いや、ティアとセレスはポーラ経由か?


それにクルルとミイナかな?


「四人?ティアとセレスを入れたら六人か?」


「リリスも加入前から協力的な立場に引き入れたよね?」


「それは成り行きというか……」


「さらにソニアさんやジュリアさん、それに二つのギルドのマスター、

サブマスターと友好関係を築いているわ」


「それは――」


ポーラはトウヤの発言を手で止める。


「メンバーでもここまで外部の人と繋がりを持ったり関わることは無いわ」


その説明に頷くリーシャとファイゼン。


その立場を知る人が肯定するのだからそうなのだろう。


「そしてこういった働き方はチームリーダーに多いのよ」


自分のチームがより良い環境で動けるようにするために、

リーダーは外部との繋がり、いわゆるコネクションを大事にする。


これがあるといざという時に助けてもらえたり、情報交換が出来たりするので、

コネクションが多いに越したことはない。


そういう力がトウヤにあるのだと言うのだろう。


ポーラもそれぞれのマスターとの関係も含めて多く築いているし、

ファイゼンは独自のコネクションも持っている。


さらにリーシャは教官と言う立場になり多くの人間とのコネクションがある。


「それならリーシャでもいいんじゃない?」


尤もな疑問を聞く。


「もちろんそのつもりだったわ。でも思ってた以上にトウヤが他と仲良くるから、

リーシャの下で縛るよりこっち方がいいんじゃないかって思ったのよ」


「もちろん強制はしない。やる気のないリーダーは命に係わるからな」


「うちらもサポートするからやってみないか?」


三人に迫られ断る雰囲気ではなかった。


「わ……わかったよ、何をすればいいんだ?」


「よかった~。特別なことはしなくていいよ」


「え!?」


特に何もしなくていいいのは意外だった。


「今でも十分協力者にすることが出来てるんだ。意識して変える必要はないぞ」


「貴族にだけは気をつけろってだけだな」


「あ、ああ、わかった」


嫌な思いをした貴族を思い出し、気をつけろの意味を理解した。


「そして、トウヤのチームにリリス、あなたに入ってもらいたいの」


「え?」


いきなり名前が出てリリスは驚いた。


「わたしが、トウヤのチームに?いいの?」


「もちろん。トウヤと一緒にクエストを手伝ったりして、活躍の場を広げてほしいの」


「……ポーラ達とは?」


「もちろん同じギルドにいることは変わらないから今まで通りよ。

そこに私の意見よりも、二人がどうしたいかをメインに考えて動いていいってことよ」


「なんかギルドみたいだな」


「小さなギルドと言う意味では正解よ」


トウヤとリリスは了承し、二人のチームが出来た。




「しっかし大胆な人事だよなぁ、常識外れ二人をチームにするなんて」


話が終わり三人だけとなった部屋で、リーシャは伸びをしながら言う。


魔法世界に来て半年ほどしか経っていない二人がチームを組んで進んでいく。


大胆とも言えるし無謀とも言える。


「たぶんこれからトウヤは貴族に関わる機会が増えると思うわ。

その時判断を人に委ねるんじゃなく、自分で考え、決めていけなきゃ危険だと思うの」


「ミイナのこともあるだろうが、焦りすぎじゃないか?」


ファイゼンの指摘は尤もだ。


だがポーラは首をゆっくり振り否定する。


「むしろ遅いかもしれない……そんな気がするの」


貴族を中心に(うごめ)いている。


そしてそれはトウヤ徐々に巻き込んでいる。


そんな予感がしていた。


「思い過ごし……だといいな」


心配し過ぎて参ってしまっては元も子もない。


ファイゼンとリーシャは少しでも心配事が晴れることを祈ることしか出来なかった。




訓練場にていつもの面々に話をした。


「へぇ、あんたがチームリーダーとか意外ね」


「まあ、まだ頼りないリーダーだけど頑張れ」


ルーもミナも応援してくれるようだ。


「まだいろいろと頼りにしないといけないからよろしくお願いします」


トウヤは照れてるような申し訳なさそうな何とも言えない挨拶をしていた。


「これからトウヤとリリスで動いていくのかい?」


「基本的にそうだが、とにかく人手や知識が足りいないから二人を頼りにするし、

いろいろな人に声をかけなきゃいけなくなってくると思う」


「ああ、協力させてもらうよ」


外部に協力依頼をして、関係を築いていくのはポーラの狙い通りでもある。


「……ねぇ、あたしもそっちに入ればいいんじゃない?」


「!?」


ルーの突拍子もない発言に一同は驚いた。


「ちょ!ちょっと待てルー。家の再興はどうするんだ!?」


「あっ……」


ミナが指摘するまで忘れていたようだ。


「ルー、目先の利益だけ考えるんじゃない」


「ご、ごめん」


ルーの目標は貴族としてのお家復興させることだ。


その目標へ向かいたいのであれば、

貴族社会でもあるアルカナフォートに在籍していた方がまだ有利である。


「ま、まあ外部協力者として頼りにさせてもらうよ」


貴族社会に詳しくないトウヤは気持ちだけ受け取った。




話が一段落ついたところで緊急の知らせが届く。


しかも全員同時だった。


「全員って珍しいな」


ミナが驚くのも無理はない。


大体はギルド単位なのでミナ、ルーまたはトウヤ、リリスだけの場合が多い。


全員同時に知らせると言うのは本当に稀な事なのだ。


全員が同時に確認し、全員が驚いた。


その知らせは全員が知る人物の訃報だった。




パースレールのサブマスターであるアルフォート・ハーディ氏、

他八名がクエスト中に殉職されました。


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