第20話
で、何でこんな事になったんだ?
買い物について行く事になったのは麻邪実、愛理、紗弥奈、そして俺の4人。
ちひろは行く前に駄々を捏ねて「行きたい」と訴えていたが、罪になるからと制止した。
麻邪実は俺が行くなら行くと言っていて無理やり連れてこされた。麻邪実は俺の腕を抱きしめ、紗弥奈は手を握っている。
だから、何で俺が行かなきゃいけなくなった!? しかもハーレムじゃん! 途中から気づいていたけど。
そして、愛理は演劇の練習になるから、と練習を道端でしている。
「私、下着着てないの」
「私の下着を返して!」
「盗んだのは貴方でしょう」
「もう証拠は掴んでいるわ。白状しなさい!」
おいおい、下着盗まれた事になってるの? しかも、白状しなさいって。そんなフレーズ演劇で使うか? それに道路で大声で叫んでほしくない。
「愛理、大声で叫ぶな。ここは演劇の練習をする場じゃない。道端だから自重しろ」
「分かった、ごめーん」
洋服売り場に着いた。透明のかなり大きな建物だ。
で、俺はここで待たされる事になった。建物の外で。What's?
春だから暖かいが。ってそういう問題じゃない。これに何の意味があるのか……
「じゃあ、たっくんよろしくねー。ここで待ってて」
愛理が室内で演劇の練習しなければいいが。麻邪実も問題行動起こさなければいいが。全部、紗弥奈がまとめてくれるか。少し安心した。
洋服売り場ではスマホでオンライン動画でちひろと会話している。
「ちーちゃんDだよね」
紗弥奈が聞く。
それにちひろが答え、話は進む。
「このフリフリのがいい?」と愛理。
「フリフリじゃなくて羽毛のがいい」
ちひろは本当に子供のようだ。
「あ、タンクトップ買わなきゃ」と麻邪実が言い、それに一同、気づいた。
「タンクトップは無地でいいよね?」と麻邪実が言って、ちひろが「リボンくらい付いててほしいな」と答えた。
結果、替え用のも合わせて15点の衣類を買った。
俺は30分以上待たされる事になった。何でこんな罰ゲームさせられなきゃならないんだ。直立不動、、。
「ただいまー遅かったよね?」
「ああ」
もう7時過ぎだ。暗いからついてきて欲しかったのか? どうやら、あながち間違いじゃなさそうだ。
「暗い、こわーい」と紗弥奈。
腕を抱きしめる力が増している。
「麻邪実ちゃん、ちょっと右いい? あたしも怖いから」
「なっ、怖いを理由にしてたっくんの隣狙おうとしてない?」
「してないよ」
喧嘩はやめてほしい。
「あっ、怖いといえば……」
ネタが思い付いたような愛理を規制する。
「やめやめ」
「何がみんな怖いの?」
「おばけ」と紗弥奈。
「車に轢かれそうになるのが怖い」と愛理。
「じゃあ紗弥奈と交代すればいいじゃん」
「そういう問題じゃないの! 突っ込んでくるかもしれないじゃん」
「それは昼間でも変わらないじゃん」
「夜の方が事故率高い」
「そういうヤミ子は怖いものないのか?」
それが気になる。誰しも一つくらいは怖いものを持っててもおかしくない。
「怖いもの? それはたっくんが死んじゃう事かな。あとは愛が破滅する時。誰にも愛されなくなった時」
「嬉しい事言うじゃん」
そんなこんなで話してたらあっという間に寮に着いてしまった。もう皆お腹を空かして待っていることだろう。
乃愛が作ってくれてるから大丈夫かな、と安心していたのだが。先に食べてるかな、と思ってた。
それがまさか、皆お腹空いてるだろうに食べずに待ってくれていたのだ。
「おかえり、みんな」
「ご飯作って待ってたよ」
この姿には感動すら覚えた。嬉しくて涙が出そうだった。
「みんな先に食べててよかったのにー。あたし達遅かったから」
そう言うが謙虚な気持ちは同じだ。皆優しい。
「買ってきたぞ、ちひろ」と俺はちひろにビニールバッグを渡す。
「ありがとう。でも着ない」
「何でだよ! 皆が買ってきてくれたんだぞ」
ちひろは明日からそれ着て学校行く事になる。
食卓を9人で囲った。昨日と同じ風景だ。毎日こうして食事をするのだと思うとほっこりした。それは高校卒業するまで――管理人を辞めるまで――だ。
「それじゃあ、人数揃った事だし少し話をしよう」
そう指揮して手を組み、話を進めた。




