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第14話

授業が始まったが、集中出来ない。


寝不足で眠気が、そして寮の子たちが今どうしてるかを考え、残った3人の心配もあるので一向に内容が入ってこない。


当てられないと思ってたら当てられなかった。ラッキーだった。


ここは私立の学校。制服は勿論あり、噴水や白いベンチのある庭園まである。

制服は青いネクタイとズボン。そしてブローチ付きのブレザー。ブレザーは黒でお洒落な雷みたいな襟がある。

女子は紐の赤いリボンとスカート。あとは一緒だ。


授業は途中で寝てしまい、気づけば終わっていた。



昼飯の時、友達に話し掛けられた。


「さっき授業中寝てただろ」


「バレたか……寝不足でな」


俺には友達がいる。それもあまり人と関わりたくないから、ごく僅かなのだが。その数少ない友達は昼飯の時、机をくっつけて話し掛けてくる。それが億劫でも楽しいわけでもない。普通だ。


「本題はそれじゃなくて新しくバイト始めたって言ってたじゃないか。何のバイト始めたんだ?」


ここは穏便にいこう。


「飲食店」


「飲食店かー俺もやってみたいなぁ。夜やるやつ?」


「学校が終わってすぐの夕方だよ。夜勤はさすがにない」


嘘吐き過ぎたか。バレないかな……

やってみたいと羨むのは女子寮のほうだと思うけどな。


「今度何か食べに行っていい? 奢ってよ。何処にあるの?」


いや、これはマズイ。


「いやいやいや! 狭いし、美味しいかも分かんないし行かない方がいいよ。それにバイトしてる姿見せたくないし」


「何だよ。気乗りしねーな。そんな否定する? バイトしてる姿なんて気にしないよ、俺は」


「嫌なんだよ。もうバイトの話は終わり!」


「なんか隠してる事ないか? それにお前、雰囲気変わったな」


いぶかしげな顔で友達は俺を見上げる。


「隠してる事は何もないよ。雰囲気変わったって本当?」


「怪しい。なんか女でも出来たような雰囲気。それに明るくなった」


女子寮でバイトを始めた事で雰囲気って変わるものなんだ。女子たちのお陰で明るく見られるようになるのは素直に嬉しい。


「ないないない! 怪しくもないし、彼女なんて出来るわけないだろ」


「まあ、それ以上は追求しないけど」


ホッとして胸を撫で下ろした。女子寮の管理人してるってクラス中にバレたらどんな好奇な目で見られるだろうか。どれだけ嫉妬され、羨まれるだろうか。想像しただけで恐ろしい。


気づけば箸の手が止まっている事に気付き、慌てて食べた。


休み時間が終わり、眠たい授業が終わり、放課後になった。


他の生徒たちは部活に行き、ぽつりと俺だけが取り残された。


部活は受験もあってやってない。友達と帰る事もしない。だって帰ったらバレるから。家にはもう帰らない事にしている。両親と妹だけが住んでいて、『お兄ちゃんに会いたい』と妹がたまにメールしてくるが、その欲求は抑えて無視して、返信だけして帰りはしなかった。またどこかで会えると信じてるから。


教室から出て、噴水と白いベンチのある庭園に向かった。


誰かと会えるかもしれないから。


噴水の回りには人は居たけど知ってる人は誰一人いなかった。


白いベンチのある庭園に足を踏み入れようとしたら蜂が顔に襲ってきてびっくりした。


沢山の薔薇に包まれた中、そのロードを可憐に歩く。誰が歩いても薔薇のお陰で美しく見えるだろう。


白いベンチに近づいてみるとそこには女子の後ろ姿が見えた。後ろ姿は姿勢が良く、体貌痩躯なスタイルだった。


この姿は女子寮の子じゃないか、と思い、顔を見る為に近づくと知ってる顔だった。


こんな所で何やってるんだ? と思った。だが、一人佇む姿も美しい。


その女子寮の子に話し掛けようとした時、その子が先に声を掛けてくれた。







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