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第10話

翌朝。


俺は変なものを見た。


女子大部屋を開けてすぐに。


布団がはだけた隙間から見える2人の白い肌。と6人のパジャマと8人の顔。


裸族が増えた!!?


***


「みんなー朝だぞー起きろー」


「むにゃ」


美少女の寝顔と寝起き顔。可愛い、美しい。


一番早くに起きたのは乃愛だった。しかも俺が声を掛ける前に来た瞬間、起き上がった。そして、キッチンへ。


で、麻邪実が起き上がったのだが、何故か服を着ていなかった。ちひろなら分かるのだが。本当に麻邪実だよな?


「何でパジャマ着てないんだ。寝る前は着てたよな。どこやった?」


寝相ねぞうが悪くて脱げるなんて話、聞いた事ない。


「それは……たっくんの目にあたしの裸を焼きつけておきたくて。そしたら恋人になってからも楽しみやすいでしょ?」


は? コイツ何ほざいてやがるんだ。


「ちぃちゃんの真似してみたの。もっと近くで見て?」


「無理だ。服着ろ。ちひろの真似してもなんも良いことねぇぞ。好感度もダダ下がりだ」


「そんな事言って本当は勃起してる癖に」


「変な事言うなよ」呆れ返って鼻笑いをした。


「起きたよー」とちひろが布団を上に上げて隠すポーズをする。


よりによって何でこのタイミングで起き上がるんだ。


そして二人は俺に近づく。


おいおい。やめてくれ。逆セクハラ。


目の遣り所が無くなった俺は手で顔を隠す。やや貧乳とやや巨乳がちらつく。


「ねえねえ、あたしの裸とちぃちゃんの裸どっちの方が好きなの? 答えて?」麻邪実はそう言いながら包丁を向けた。


迷ったが答えなかった。


ただ、

「服着てる麻邪実の方が全裸の時よりよっぽど好きだ」とだけ付け加えた。


「えっ、そうなの。だったら服着る!」


急いで制服に着替えた。最初からそうしてくれれば良かったのに。説得が早く終わって良かった。


「はぁー全裸で寝るの気持ち良かったぁー」という麻邪実の声が部屋中に響き渡った。



乃愛はもう既に朝食の準備へと取りかかっていた。行動が早い。


着替えに洗面所へ向かった伊織とまだ起きてくれない霞を後にして。


伊織はもうすぐ来るだろう。


霞はというと、

ようやく起き上がった! と思うとまた布団の中に入り、俺が仕方なく起こす。


「もう朝だぞ。起きて料理作れ」


われを目覚めさせるとは肝が座ってるな」


ん?


わが悪魔の子供が今この時誕生した。目覚めたのだ! 20億年ぶりに。この快挙を人類は祝福せよ」


悪魔の子供って霞のことか? 親が可哀想だ……


と思っていると起きた。


と思ったら

「今日は隕石がこの地に降ってくるぞー逃げろー」と大声で叫び出した。


うわぁ、びっくりした。


「この子、毎日言ってるから気にしないで。毎日のルーティーンのよう」と乃愛が冷静に返した。


冷静過ぎるだろ。毎日言われてるとそうなってくるのか。頭がおかしくなりそうだよ。


とそれはそうとて乃愛の料理の手伝いをしようとしたが、昨日の言葉を思い出した。


「余計なお世話」「俺がいなくても大丈夫」


手伝いに積極的になれなかった。


乃愛が料理をしているのを見ながら考えていた。

俺が声を掛ける前に来た瞬間飛び起きたのも寝顔や寝起き顔を見られたくないからだったんじゃないか、と。

つまり信頼されてない。嫌われてんじゃないかと思うまでに至った。被害妄想にすごく駆られていた。


そしたら、「何見てるの? もしかして手伝おうとしてくれたの? でも見守ってくれるだけで嬉しいから。ひょっとして、昨日の事で落ち込んでるのかな……。昨日は少し言い過ぎた、ごめんね。今、たくま君の大好きなオムレツ作ってるんだよ」と言われた。


何でそれを知ってるんだ?


「……何でそれを」


「それは……書類に書いてあったから」


そこまでチェックしてくれてたのか。嬉しすぎて涙が零れそうだった。


「何突っ立ってるの。作り終わったから運んで」


「分かった」


そうして9人で食卓を囲んだ。料理は乃愛と伊織がやり、霞は間に合わなかった。だから、食器洗いを代わりにするらしい。

今日は登校日だから食事をしたら早く学校に行かなきゃいけない。8人とは離ればなれだ。


大好きなオムレツを口いっぱいに頬張った。








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