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ザ ダークレディその2

「タマちゃん、来たよ。」


インターフォン越しに、光華が来訪を伝える。

すると、ロックの解除音がした。そして、玄関ドアが中から開けられる。


「いらっしゃい。光華、宮野君。さっ、上がって。」

「「お邪魔します。」」


前回来た時は、3階のサンルームの方でのバラの植え替え作業だったので、ちゃんとした玄関から訪問したのは初めてだ。

何も手土産が無いが、仕方ないだろう。


「えっと、コーヒーと紅茶と日本茶、どれがいいかしら?」

「私、日本茶で!」

「じゃ、同じものでお願いします。」


玉子さんは、お盆にお煎餅や霰を入れた木製の菓子入れと湯呑を乗せて、客間へ戻ってきた。


「来る途中で、宮野君には、大体のこと話した。」

「そう。ごめんなさいね、宮野君。知り合いに一応訊ねてみたんだけど、実際の被害が出ないと、やっぱり警察はほとんど動いてくれないらしくって……。」


ワカナ本人が、送られてきた手紙などを持って警察に届けを出すのであれば、話は多少違ってくるようだが、本人は警察へ届ける気がないらしい。


「あまり、続くようなら、私が説得するつもりだけど。」


玉子さんも、どうしてよいのか分からず困っているようだ。


「ワカナさんは、『誤解されている』って言ったんですよね。とすると、顔見知りなんですか? その中年男。」

「分からないの。でも、あくまでも印象なんだけれど、ワカナさん、相手が誰だか知ってるみたいだった。」


光華と玉子さんは、相手の中年男に見覚えはなかった。光華に言わせると、中肉中背で、あまりぱっとしない見た目。


「あと、頭の方が、少しばかり寂しい感じだったね。」

「光華、そういう事はあまり……。」


まぁ、玉子さんも光華をたしなめてはいるが、否定はしなかった。


「その、大声を出してはいたけれど、暴力に訴えるようなタイプの人にも見えなくて……。人が集まり出したら、すぐ、逃げて行ってしまったし……。」


再度、その中年男が訪ねてくるかどうかも分からない。1週間ほど、ワカナの帰宅時間近くになったら、注意して、出方を見ようということになったという。


「で、宮野君にはカカシ替わりに居てもらうってことで……。」

「光華! 何てこと言うの! 宮野君、あの、危険は無いと思うの。ただ、居てもらえると助かるの……。」


ワカナの帰宅時間は大体、夜9時頃。今週ならば、その時間は問題なかった。



一旦、家に帰り、荷物を置いてくることにした。

玉子さんの、今週の夕食は用意させて欲しいとの申し出をありがたく受け取ったので、夜7時に『ハイツエグランテリア』へ車で戻ることに決めた。


時間があいたので、ホームセンターに行ってみる。

ちゃんと売ってるんだな、防犯ブザー。腕に自信がない分、こういう物は、一応準備しておく。


他に何か要る物があっただろうか? ひょっとしたら買ってきて欲しいものがあるかもしれないと思い付き、玉子さんに連絡を取った。

玉子さんからは、園芸用の結束バンドが分かれば買ってきて欲しいと言われた。

園芸用品のコーナーを順に見て廻る。正直、何がどういう順に並べられているのか、よく分からない。2巡くらいして、やっと、結束バンドが並んでいる棚が分かった。

会計を済ませてから、スマホに目をやると、まだ時間は余っている。


園芸コーナーのさらに奥の方にあった熱帯魚コーナーに行って、水槽でも眺めて時間を潰すことにした。

水槽が並んだコーナーはちょっとした水族館のようになっており、俺も、カクレクマノミくらいは分かった。白い縞が入ったオレンジ色のヤツだ。

魚にしても植物にしても、生きものを育てるのは大変そうだ。玉子さんは、あれだけ多くのバラをよく引き受けたと思う。

頃合いを見て、俺は、駐車場に移動した。

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