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小太郎 初めてのくださいな(小太郎編)

作者: Eiji

「あぁ 面白くて可愛いかったなぁ」

「でもよ 4歳で買い物するってスゴイ事なのか?」

「スゴイじゃん!お母さんと一緒じゃなくて1人で行くんだよ」

「なら 隣に居る のはもっとスゴくないか?」

「あっ…すぐ近くに居た」

小太郎 3歳の時



「小太郎くん」

「しょうこ姉ちゃん!」

「しょうこちゃん いらっしゃい」

「おばさん 小太郎くんをテレビに出してもいい?」

「テレビ?」

「うん!『はじめてのくださいな!』」

「あぁ〜!あの番組ね」

「しょうこ姉ちゃん なんだそれ?」


『はじめてのくださいな!』

小さい子供が生まれて初めて 親からから離れて 1人で買い物に行く番組

泣きじゃくる子供に無理矢理サイフを持たせ スタッフ達が影で見守りながら感動させようとする番組


「実は 勝手に応募したら 出演依頼来ちゃった」

「小太郎どうしますか?」

「俺 やる!」

「本当に!小太郎くん ありがとう!」

こうして 小太郎の『はじめてのくださいな!』出演が決まったのだ

小太郎に内緒じゃなくていいのか?


数日後


「よろしくお願いします!君が 小太郎くんだね!」

「そうだぞ!おっちゃん誰?」

「お…おじさんは お父さんの古い友達だよ」

怪し過ぎるぞディレクター

ってか小太郎は番組に出る事もう知ってるぞ…


「今日は 番組史上初の3歳児という事でスタジオと生中継での 生特番で…」

母ちゃんに不安がよぎる…


「お母さん なんの心配もいりません スタッフが変装して小太郎くんに付かず離れずで見守りますので」

「はぁ…」

母ちゃんの心配は そこ ではない…


『さぁ〜 始まりました 「はじめてのくださいな!」今日はなんと番組史上最年少の登場ですよ!』

『3歳ですか…これは出掛けるまでに時間が掛かりそうですねぇ』

『今日もどんな感動が待っているんでしょうか!それでは現場に映像をお渡しします』


『はい!それではお母さんよろしくお願いします』


「小太郎 ちょっとおいで!」

「なんだ母ちゃん?」

「ちょっと買い物行ってきてくれない?」

「えぇ〜!」


『やっぱり始まりましたねぇ〜!今日はお母さんの説得が長く掛かりそうですよ』


「小太郎 肉屋でコロッケと魚屋でシャケの切り身を買って来てくれない?」

「めんどくさいぞ!」

「小太郎…」

母ちゃんの低い声…

「行ってくるぞ!」


『すんなり出掛けましたね…』

『そ…そうですね…』


「母ちゃ〜ん!」

小太郎が戻ってくる


『やっぱり無理でしたね』


「お金〜!」


『お金を忘れただけですね…』


『ここで 小太郎くんが買い物に行くルートを説明すると 家を出て左に曲がり2つ目の信号を右折し橋を渡ってすぐ左が商店街 本日小太郎くんが買い物をする場所ですね』

『おや?家を出て右に曲がりましたよ…』


変装したスタッフが慌てる

「おい!逆に行ったぞ!」

「とりあえず 気付かれないように追え!」


『まぁ 想定内ですね 子供の行動は』


小太郎は商店街とは逆にどんどん歩いて行く


『買い物する事忘れてるんじゃないでしょうか?』


「おぅ!小太郎 どこに行くんだ?」

「おじちゃん!買い物だぞ!」

「そうか 気をつけて行くんだぞ!」

「おぅ!」


『忘れてはいないみたいですね…』


小太郎が来たのは河原

「あっ!」

小太郎がトンボを追う

スタッフが小太郎を追う

「はぁ…はぁ…絶対見失なうなよ…」

「はい!」

スタッフは代わる代わる交代して小太郎に気付かれないように尾行するのだが…

「どこにあんな体力あるんだ…」


『現場は大変そうですねぇ…』


知ってか知らずか小太郎は 道無き道を突き進む


ガサガサ…

「あれ?どこ行ったんだ?」

キョロキョロする小太郎

「おっちゃんもトンボ探してんのか?」

息を切らしてジョギングの格好をしているスタッフが草むらの中で小太郎に見つかる

「はぁ…はぁ…おじさんは ジョギングをしているんだよ…」

「ジョギングってなんだ?」

「ジョギングは…走る事だよ!」

「ふ〜ん こんなとこ走って楽しいのか?」

小太郎…今まで小太郎も走ってたよな…

「おっちゃん 走る時はそんなの持ってたら走りづらいだろ?」

スタッフが持ってる紙袋の中には隠しカメラ

ジョギングの格好に紙袋って…


「俺 何か母ちゃんに頼まれてたような…あっ!」


『やっと思い出したみたいですよ』


「蝶々みっけ!」


ガタンッ!

スタジオから聞こえる 何かが倒れる音

『失礼しました…』


小太郎 今度は蝶々を追う

蝶々を追う小太郎を追うスタッフ


「はぁ…頼む…今までで…一番先が読めない…」

スタッフ達は紙袋を襷変わりに次の人へ繋いで行く


蝶々を追う事に飽きた小太郎は商店街に向かう


「腹減った〜〜」


『お!かなり遠回りしたけど…これは商店街へ向かってますね』


一方商店街では…


『現在そちらに向かってます どうぞ!』

『了解です どうぞ!』


「小太郎くんがそろそろ来ますんで みなさんよろしくお願いします!」

商店街では初めてのテレビカメラにみんな緊張が隠せない


小太郎が商店街に現れる


「来た!」

ざわつく商店街


「大将!儲かりまっか?」

「お…おぅ 小太郎!き…今日は1人か?」

緊張しまくりの肉屋の大将

「俺 1人だぞ!」

「え…偉いなぁ!小太郎!コロッケ食うか?」

「食う!」

買いに来たコロッケを サービスする大将…痛恨のミス


「小太郎 美味いか?」

「ハフ…美味いぞ…ハフ…」

「小太郎…今日は何を買いに来たんだ?」

小太郎に思い出させようとする大将

「なんで俺が買い物に来たってわかるんだ?」

「あ…あれ?さっき買い物に来たって言わなかったっけ?」

誤魔化そうとする大将

「言ってないぞ!」

「そ…そうだっけ?」


「あぁ!そうだ 俺買い物に来たんだ!」

時間差で思い出す小太郎

「だろう!何個だ?」

「大将まだ何も言ってないぞ…」

「あっ…」

先走る大将

「大将!コロッケおくれ!」

「何個だ?」

「そう言えば何個って母ちゃん言ってなかったぞ…」

確かに…

「ん〜…」

考え込む小太郎

「俺 一個でいいからなぁ…母ちゃん 何個食うんだ?」


『確かに 何個っては言ってなかったですよね…お母さんのミスですね』


「大将!俺と母ちゃんの分 一個ずつ!」

「2つだな!今 揚げたてやるから待ってろな!」

ニコニコして待ってる小太郎の映像が全国に流れる


『いい笑顔ですねぇ〜!アツアツのコロッケをお母さんに持って帰り褒められて感動のエンディングが目に浮かびますねぇ〜』


「ほら!小太郎!アツいから気をつけて持って帰るんだぞ!」

「大将いくらだ?」

「180円だ!」

「あれ?…俺のオメンダーの財布どこいったんだ?」

「どうした?小太郎」

「大将 ちょっと待ってて!」

小太郎 来た道を戻る


『さっきの河原にお財布を落としたみたいですねぇ…果たして見つかるか!ここで一旦CMです』


「おい 追いかけるぞ…」

小太郎を追うスタッフ


ガサガサ…

「あれ〜 どこだ〜?」


『焦っていますねぇ…同行のスタッフも気がつかなかったんでしょうか?』

『スタッフ全員 疲労困憊みたいですからねぇ…追いかけるのがやっとって感じですよ…』


小太郎に気付かれないようにスタッフ総出で オメンダーの財布を探す…


「あっ!」

『おっと 見つけたのでしょうか?』

「さっきのトンボ!」


ガタンッ!

スタジオから聞こえる本日2度目の何かが倒れる音…


『失礼しました…小太郎くん トンボ追いかけ始めましたねぇ…』

『子供の行動は先が読めませんねぇ…』


小太郎がトンボを追う

小太郎をスタッフ全員で追う


『番組始まって以来ですねぇ…スタッフのこんな疲れきった顔…』


小太郎はトンボを追って家の前まで来た


「あっ!財布めっけ!」


『…家を出てすぐに落としたみたいですね』


「あっ!」

小太郎は何かを思い出したように商店街の方へ走る

『やっと思い出したみたいですね!今日は生放送…時間内に終われるでしょうか…』

『それよりも スタッフが最後まで追いついて行けるかが問題ですね…』


「はぁ…はぁ…商店街が見えて来た…ん?」

小太郎は商店街を素通りする

「どこ行くの〜!」

スタッフの悲鳴

小太郎が向かったのは交番

「おい…交番に入ったぞ…撮影許可取ってないぞ…」

「おまえ そぅっと行って撮って来い」

「えぇ!この格好で行ったら不審者ですよ…」


「おまわりさ〜ん!」

「おっ どうした小太郎?」

「これ!落ちてた!」

小太郎は自分の財布を拾って交番に届けに来たのだった

その様子を そぅっと撮影するスタッフ


『自分の財布を届けに行きましたよ…』

『いい子ですねぇ〜 どこで気づくのでしょう…』


「小太郎 偉いなぁ!オメンダーの財布か…ん?『こたろう』って名前書いてあるぞ…小太郎のじゃないのか?」

「あっ!どうりで見覚えある財布だと思った!」

「……」

「……」

『……』


「もう落とすなよ」

「おぅ!おまわりさん ありがとう!」

交番から出てくる小太郎をスタッフが追う

「君!何をしてるのかね?」

「あっ…これは…」

小太郎が走る

スタッフが追う

「君!待ちなさい!」

スタッフをおまわりさんが追う


『スタッフ…大丈夫でしょうか?…』


「君!」

「すいません…私 こう言う者ですが…」

「テレビ局のディレクター?」

「はい 今…『はじめてのくださいな!』の収録中でして…」

「あぁ〜〜!あの番組か…もしかして小太郎を追いかけてるのか。」

「はい…」

「大変だな…」

「はい…」

とりあえずスタッフの誤解が解けた…


「大将!コロッケくださいな!」

「おぅ!小太郎 やっと来たな!今 揚げてるからな」


『放送時間 後15分ですが…』


「ほら 小太郎アツいから気をつけろな」

「大将!ありがとう!はい お金」

「まいど!」


『今 10円しか出してなかったような…』

『んっ!んっ!ちゃんと180円出してましたよ』


5円しか出していない小太郎…


「小太郎!買い物もう終わりか?」

「終わり!」

「本当に終わりか?」

「終わり!」

「何か忘れてないか?」

「忘れてない!」

「魚屋に用事ないか?」

「大将 何言ってんだ?」

「ほら おにぎりに入れると美味いやつ」

「ハンバーグか?」

「ハンバーグじゃなくて…」

「玉子焼き?」

ハンバーグ 玉子焼き…おにぎりの具か?

「いや…ほら 海から帰って来るやつで…」

「父ちゃんか?」

「……」


『肉屋さん頑張って!放送時間が…』


「シャ…」

「シャ?」

「ケ…」

「ケ?」

「続けて言うと」

「あぁ!」


小太郎 魚屋に走る

「おばちゃん!シャチ くださいな!」

ガタンッ!

本日3回目…

「シャチ…」

おばちゃんはシャケの切り身を包んで待っていた…

「ほら!これ持って行きな!」

「おばちゃん これ シャチ か?」

「そうだよ!シャケ だよ!」

時間を急ぐ大人達

「はい お金!」

小太郎 家に走る

「小太郎!お釣り!」

おばちゃん 小太郎を追いかける


『よし!間に合う!』


家の前では母ちゃんが待っていた


「母ちゃ〜ん!」

「小太郎〜!」


『ここで感動のエンディング!』


「あっ!」

小太郎が蝶々を見つける

「母ちゃん 買って来たぞ!」

小太郎 買って来た物を渡し蝶々を追って行く


『……また来週』



















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