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ソラとシド

作者: るい

ドレミファソラシドで名前を作って物語を書くシリーズ

これは 絵を描く学生ふたりのお話です


いつもの写生の時間

コンテスト映えする

鮮やかな色の景色に向かって

クラスメイト達は駆け出して行く

だけど

僕は

みんなから離れて

色のない 場所に向かった


こんな所で描くなんて言ったら

先生はしかめっ面するだろうな

でも、僕はここが一番落ち着く

そっと

廃屋に入って行く


いつものモチーフの場所を目指す

僕の好きな椅子


ハゲたペンキの椅子をみているときは

音楽を聴いている時に似ていると思う

誰かが使ってきた時間から

音符が生まれ奏でている気がする


いつものごとく

誰もいないと思っていたら

先客がいた


僕が描いていたモチーフに向かって

チョークを動かしていた


「え…」

思わず声が漏れた

先客が振り向いて怪訝な顔を見せた

「ご、、ごめんなさい 嬉しくて」


「嬉しい?」


「僕はこのモチーフが好きなんだ!

一緒の人がいたなんて!」


怪訝な顔から満面の笑顔になった


「君とは気が合うね!」


「僕はソラと言います!君は?」


「あ、、、えっと、、あの、、、、シ…ド」


「シド!よろしく」


「あ、、よろしく、、

あの、あまり 人と接するのが苦手で」


「僕も!僕もなんだ!

僕から声かけるなんて珍しいんだ!

こんなに友達になりたいなんて!」

言ってしまってから

恥ずかしくなって顔を赤らめた


「ぼっ僕もだよ 君と友達になりたい!

よかったら一緒に絵を、、、描かないかい?」


その日から ふたりで絵を描く日々が始まった


写生の時間になると廃屋に行って

ふたり横に並んで描いた

お互いに選ぶモチーフを褒めあった


相変わらず

先生が渋い顔をするモチーフだろうけど

そんなことはどうでもよかった


シドがすごく褒めてくれるので

描くのが楽しかった

ちょっとした描き方のコツも

教えてもらえて

描くたびにワクワクした




コンテストが何回か開かれた

コンテストのあとは

明暗が分かれるものだけど

今回は酷いものだった

クラスで上手だと評判だったミーファが

絵を辞めてしまった


ミーファに続いて何人も

上手だと思うクラスメイトが

辞めていった


なんでも天才が現れたらしい

何回コンテストに応募しても

絶対無理だ

敵わない と

描くのを諦めたらしい


僕はすかすかになった教室で

相変わらずマイペースに絵を描いていた

天才なんて僕に関係ない世界

もともとコンテストに出れると

思ってないし

描くことは呼吸だから描き続けるだけ


でも、先生はちょっと変わってきた

他の生徒がいなくなったから

僕に興味が出てきたらしい

コンテストに出すように

しつこく言われるようになった


「このままの絵でいいなら出します…」

地味と思われてるだろうな

先生は渋い顔をしながら

でも承諾してくれた


写生の時間

いつものように廃屋に行って

絵を描いていた

今度コンテストに出ることになった話をした

「天才がいるんだって

クラスメイトはなんだか敵わないからって

描くのを辞めてしまって

僕が出ることになったんだ」


「…そう、、、

君は描くこと辞めないの?」


「優勝とか関係ないし

僕にとって絵は呼吸だから

なんだっけ、、天才クラウド?さんと

勝負とか

関係ないかな」


「…クラウド・シード…だよ」


「どんな素敵な絵なんだろう

それを観れるのは楽しみかな」


「ふふっ

やっぱり描くことって楽しいなぁ

辞めなくてよかった」


「君もクラウドさんのこと気になるの?」


「うん…気になるかな…

でも、今、ソラのおかげで気にならなくなった

全力で描くよ」


「お互い完成頑張ろうね!」


コンテストが開かれた

僕は敢闘賞をもらった

シドを探していたけれど見当たらない

天才クラウド・シードが会場入りしたとのことで

人がぐわっと動いて壇の周りに集まっていった

今回も優勝とのことで人だかりがすごい


シドが見当たらないので諦めて

作品を観に行くことにした

色取り取りの作品が並んでいた

構図流石だなぁ

その中に地味な自分の作品があった

みんな美術なのに自分だけ図工みたいだな

苦笑い

敢闘賞のリボンに申し訳ないなぁと謝りながら

優勝作品を観に行く


わぁ さすが

作品は圧倒的だった

色味は地味だけど迫ってくる勢いがあって

心が鷲づかみにされる

あれ?でも、、、この、、モチーフって!?

作品の前にたたずんでいたら

もみくちゃになったシドが現れた


「遅くなってごめん ソラ

君の あっ」


!クラウドさん今回も優勝おめでとうございます!

シドは引っ張られて行ってしまった

僕は混乱した

え、、、、え!

あ、、あ、 シドじゃなくて シード、、、

シドは天才クラウド・シードだったんだ、、、


そのあとはもうシドとは会えなかったので

僕は帰宅した


写生の時間が来た

ドキドキしながら廃屋に向かった

シドがいた

緊張した顔をしていた


「あ、、の、、

あの、、優勝おめでとう」


「僕のこと、、嫌いになった?」


「どうして?素敵だと思うけど

嫌いになんかならない」


「でも、、僕の側に来てくれる人は

絵を辞めて消えて行ってしまうんだ、、」


絵を辞めたミーファの気持ちが

分からないわけじゃない

たしかにあの圧倒的な作品を観た時

込み上げるものがなかったわけじゃない

けど

「僕は辞めない

離れない

だってこんなに気の合う人に

出会えたんだもの

僕はシドの絵が大好きだ」


「ほんと?」


「僕の観たかった世界を

観せてくれるんだもの

描いてくれてありがとう」


「…ありがとう…

ありがとう

初めて絵を描き続けてて

良かったって思えた

僕に友達ができるなんて

思ってなかった

嬉しくて

あはっ

涙出てきた」


「うん ずっと一緒に絵を描こうよ

僕ら ずっと友達だよ」



僕たちはそれからも

あちこちで

一緒に絵を描いた

僕は相変わらず下手でコンテストで

優勝なんてこと絶対ないけど


シドとモチーフについて

あれこれ感想言いながら

楽しく絵を描いている





色々悩みは尽きませんがでも、自分らしく進めたらいいなと思って書きました

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