吸血姫&元勇者vs界断将4 決着?
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リーン・ブラッドロード 吸血姫 Lv138
職業:復讐王
状態:怪我(中)・魔法使用不可・月の加護(三日月・発動中)
筋力:42580(21290)
防御:39980(19990)
魔力:47540(23770)
魔防:41240(20620)
速度:46940(23470)
魔法:元素魔法(全)・空間魔法・闇魔法・回復魔法・付与魔法精神魔法
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ヨミ 人間 Lv131
職業:剣王
状態:健康・魔法使用不可
筋力:39540
防御:35420
魔力:31240
魔防:36420
速度:37450
魔法:身体強化魔法
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うん、これで私も二人の戦いについていけそう。
欲を言えば、半月〜満月の夜がよかったけど。
けどまあ.......こっちにはヨミがいるし。
私とヨミなら絶対に負けない。
「さて、じゃあ.......行くわよ?」
「いつでもどうぞ?」
私とのやり取りを合図に.......フルーレティア様が飛びかかってきた。
最初の狙いは私か。
「悪いけど、二人同時に相手出来るほどの余裕は無いわ!一人一人、一対一を繰り返させてもらうわよ!」
つまり、互いをぶっ飛ばすなりなんなりして、二人同時に攻撃させない気か。
でも、ヨミに使った魔獣による足止めはしてこない.......ってことは、あれが最強の魔獣だったのかな?
そう私が考えている間に、距離を詰められた。
.......けど、さっきまでの私とは違うんだ。
「ふっ!」
「甘い、ですよ!」
「っ!?.......ぐっ.......」
拳を突き出してきたので、そのまま腕を掴み、柔道よろしく投げ飛ばした。
綺麗に着地されたけど.......その着地の瞬間、手足は地に付いている。
その一瞬が命取りだ。
「ヨミっ!」
「分かってるよ!」
「ちょっ.......!?危なっ!」
着地の瞬間、先行していたヨミに斬らせ.......ようとしたんだけど、ダメだったか。危機一髪で躱された。
(ああもうっ.......!あのチビッ子、なんて怪物発見してんのよ.......!魔法を封じてこれって、嘘でしょう!?)
「ヨミ、私がアルスでサポートするから、ヨミは兎に角攻撃!出来るだけ注意を引き付けて!私は隙を見て嫌がらせみたいに攻撃を加えていくから!絶対に、二対一の状況を崩しちゃダメ!」
「任せて!もう、リーンに攻撃なんてさせないから!」
「ごふっ!?」
「え!?リーン!?」
「だ、大丈夫.......なんでもない.......頑張って.......」
(.......あの娘は、ほっといても自滅するんじゃないかしら?)
※※※
.......二十分経ったけど.......ダメだ、決定的な攻撃が与えられない。
私がアルスで動きを先読みして、小さな隙に攻撃を加える。
それを警戒して、逆にヨミに隙を見せた所を、あの子がバッサリと斬る。
それで、細かい傷はいくつか付けたんだけど.......それでも、大ダメージと言うには程遠い。
しかも、当然こっちも無傷じゃない。
わざと作られた隙にまんまと飛び込んでしまう.......というのが多々あって、私もヨミも多少の攻撃を食らっている。
この人のやばい所は、その作られた隙のタイミングが不規則で、かつ見破るのが困難という点だ。
「リーン、どうする?このままじゃ、ただのいたちごっこだよ」
「分かってる.......でもどうすれば.......!」
「ふ、ふふふ.......さあ、どうするのかしら?ワタクシはまだまだ余裕があるわよ?」
.......流石にブラフだろ。
だけど、互いに決定打がないのも事実だ。
本当にどうしようか.......。
.......ぐう、やりたくはなかったけど、あれしかない。
『保守の腕輪』を使うしかないか。
「ヨミ、悪いんだけど.......どうにか頑張って、隙を作ってくれる?出来るだけ大きな。それも、私が突ける隙を」
「えっ、唐突な無茶ぶり.......」
無理か.......?
「.......でも分かった。任せて」
「えっ、好き.......」
「ん?何か言った?」
「え?ううん、何も?」
「そう?.......じゃあ、行ってくる」
危ない危ない、背中かっこよすぎてうっかり告白しそうになったじゃん。
「.......作戦会議は済んだかしら?」
「はい。.......次で貴方を倒します」
「あらあら.......いいわよ!ワタクシがっ.......」
―――パアアアン!
「.......えっ?」
爆発音とも発砲音とも取れる、謎の音がした。
そして、周囲の雰囲気も代わり、私達とフルーレティア様が出会った時の、最初の場面に戻ってきた。
さらに.......
「.......あれ?ねえリーン、なんか、魔法が使えるようになってる」
「へ?.......《水生成》。あ、本当だ。.......なんで?」
あ。
さっきの音、どっかで聞いた音だと思ったら、思い出したわ。
サクラ君やレインさんといる時によく耳にするやつ。
そう、結界が壊れた時の音だ。
「えっと、フルーレティア様.......これは一体.......」
「あ、あわわわわ.......」
「.......フルーレティア様?」
なんだ?
尋常じゃないくらい慌ててるんだけど。
.......あと、怯え?
「こ、これはまずいわね.......ごめんなさいね二人共、ここは一時中断よ。ワタクシはちょーっと戦略的撤退をするから、二人は.......」
「逃がしませんよお?私が見てないところで.......随分とおいたをしたんですねぇ、レティ?」
「ヒイッ!」
上空から聞こえてきた、ちょっと艶のある声。
それはまるで、悪魔の囁きのような声で.......
.......ん?っていうか、この声.......
「ヴィネルさん?」
「はーい、リーンちゃん、ヨミちゃん、こんばんは。魔王様にお話を聞いて、応援にやって来ましたよー」
間違いない。
魔王軍幹部第一位、『謀殺将』ヴィネルさんだ。
戦闘力こそ低いものの、超がつくほどの頭脳と解析能力によって魔王軍を支える、魔王様の片腕と言ってもいい存在。
うん、そう。戦闘力は低いのだ。
.......なのに。
「ヴ、ヴ、ヴィネル.......!こ、こここれは違うのよ!?相互同意の元というか、ね!?あの、その.......!」
.......フルーレティア様の怯えが尋常じゃないんだけど。
一分前まで、私達と大勝負をして不敵に笑っていた最強の竜人とはとても思えないレベルだ。
「言い訳はそれだけですかねぇ?まあまあ、うちの主戦力を随分と痛めつけて.......またお仕置きが必要なようですねぇ」
「ヒイイイイッ!?」
.......えーっと。
私とヨミの、冷めないこの熱は一体どうすれば.......。
それ以前に、話についていけないんだけど.......。
※※※
「すまぬのう、ヴィネルが別件だったせいで、派遣が遅れてしまってな。予定より早く終わらせてくれて助かったぞ、流石じゃなヴィネル」
「いえいえ、仕事の簡略化は得意分野ですからねぇ」
「イヤアアアア!許してぇぇえええ!!」
.......何だこの状況。
現在地、魔王の間。
状況を説明すると、魔王様が玉座にいて、私とヨミが立っていて.......ヴィネルさんがフルーレティア様に乗っかって、フルーレティア様が潰れたカエルみたいな感じでうつ伏せになりながら命乞い(?)をしている。
もう一度言うね?何だこの状況。
「いやー、本当にすまんかったな。正直、あと三日はヴィネルの派遣は望めぬと思っておったのじゃ、故に、主らを派遣したのじゃが.......まだまだ、ヴィネルのことを過小評価しとったのかのう」
「最近は魔王様によく褒められますねぇ。嬉しいです」
「助けてえええ!もうしないからあああ!」
.......あの、魔法を封じられていたとはいえ、四魔神将の一席と二席が同時に戦っても互角に戦う化け物が、たった一人の女悪魔に組み伏せられている。
本当にどゆこと?
「えっと、あの.......一つ、いいですかね?」
「む?なんじゃ?」
「その.......ヴィネルさんとフルーレティア様って、どういうご関係で.......」
「元カノです♡」
あー、そうかなるほどね。
元恋人ねー。
へー、知らなかったわー。ふーん。
.......。
「「えええええええええええ!?!?」」