吸血姫の復讐2
いつもの倍近く長いです。書いてたら止まらなくなりました。
「ま、魔王軍の.......ナンバー、3.......?」
「そうだよ。前世では、お前達にどんな目に遭わされても、抵抗なんて出来なかった。.......けど、今を見てよ!私は魔王軍第三位の強さ!お前達が束になっても絶対に勝てない力を持ってる!」
「な、なんで.......」
「んー?」
「なんで、魔王軍に、加担しているんだ。お前は、元とはいえ、人間だろ?人間に、力を貸そうとか、思わないのか?」
「思わないよ?だって私.......前世で自分が人間だったってことを脳をえぐり出して忘れたいくらい.......人間が、大っっっっっ嫌いなんだもの」
「なんっ.......!?」
「だからお前達は逃がさない。目に付いた人間は、余程の理由が無い限り殺すって決めてるから」
前世でも、今世でも、人間なんてクズばかりだ。
まあ、前世には少しはマトモなやつがいたと認めよう。
でも、今世はダメだ。女神ミザリーへの狂信に取り憑かれ、他の種族を過剰に見下す差別主義の集合体なんて、世界の害悪にしかならない。
.......そして目の前のこいつらも、狂信こそ無いが、生きていることそのものが、私が生きる世界にとっての害だ。
「さて、お話はこれくらいにしよ?もっと遊ばなきゃ.......ああ!別に抵抗してもいいよ?その方が面白いや」
「.......ぜ、全員、魔法だ!魔法を使えるやつは使え!急げえ!」
黒田の一言で、その場の六人中、三人が魔法が使えるようで、必死に私に撃ってきた。
多くの魔法は私に直撃し、土煙がもうもうと上がり、周りが見えづらくなる。
「ど、どうだ、どうだよ!ざまあみろ!千条のくせに、俺達を見くびるか.......」
「馬鹿が、あんなのがあれで死ぬわけねえだろ!走れ!逃げるんだよ!」
「黒田君正〜解〜。けどごめんねぇ?逃げるなんて無理♪」
「うわあああっ!?」
「ど、どうやって回り込んで.......!?」
「どうやってって言われても。普通に地面蹴って回り込んだだけだよ?ああでも、私ってば速すぎるから、貴方達程度じゃ知覚出来なかったかもね!」
「ば、ば.......化け、物.......」
「化け物は酷いなー、一応女の子だっていうのに。さて、じゃあ私の番だね.......だーれーにーしーよーおーかーなー?」
「じゃあ、水谷君にきーめた。どうやって殺して欲しい?」
「ひっ.......!?い、嫌だ.......嫌だ、助け.......」
「おい、質問してんだろ。.......どうやって殺して欲しいの?一番最初だし、少しは加減してあげよっか?」
「や、やめて.......やめ、やめてくれ!!頼む!お願いします!助け.......」
「あーもう、煩い.......じゃあこれにしよ。」
さあ取り出したるは、一本のノコギリ。
ただのノコギリじゃないよ?丈夫な木で出来た、木刀のノコギリバージョン。
「な、なんだよ、どうする気だよ、それ.......」
「え?これで君の首を落とすんだけど?普通の金属の刀とかノコギリとかだとさあ、切れ味良すぎて一瞬で終わっちゃうからね。.......知ってる?斬られる時ってさ、切れ味悪い刃物の方が数倍痛いらしいよ?それに、これなら長く楽しめるでしょ?」
「ひっ、ひいっ.......!?や、やめて.......!やめてぇ!」
下半身濡らして、顔もぐちゃぐちゃ。汚ったないなー、もう。
.......あ、逃げた。
「逃がすわけねーだろ」
「うわあああっ!?」
「ほーら、そんなに泣かないで水谷君?ちょっと君の首を、切れ味超悪いノコギリでギコギコするだけでしょおお?ねええ?.......君には、カッターで体に何度も傷付けられて、服まで切られて.......そうして、君は笑ってたよ、ねえっ!?」
「謝る!謝るよお!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめっ.......ひいいいいいぎゃあああおおおおおお!!!」
「あははははは!!あははははは!!ほらもっと喚いてよお!?安いものでしょお!?私は一年もお前らに苦しめられてたんだから!それを一度に体感してるだけでしょお!?それで死ねるんだから、これ以上苦しいことはなくなるんだから、ラッキーだと思えよ!あははははは!!あははははは!!」
※※※
「ふー.......あれ?」
一人殺すのに十分もかけてしまった。
めちゃめちゃスッキリしたけど.......体中に血はべっとり、汚いなあもう。
しかも、他の連中逃げちゃったよ。
まあ、大丈夫だけどねー。
まず、神器『天眼アルス』の力のひとつ、障害物に目視を妨害されない限り、遥か先まで見通せる千里眼の力で、連中を視認。.......結構離れたな。
『あー、もしもしサクラ君?一瞬だけ転移阻害結界を弱めてくれるかな?』
『は、はい.......分かりました.......』
ほい、じゃあ転移っと。
「お待たせ〜!さて、次は誰がいい?」
「ひいいっ!?」
「嘘だろぉ!?」
「もー、つれないなあ。.......さてさて。とはいえ、私にもあんまり時間がないわけですよ。これでも四魔神将、それなりの立場だから仕事も多いし、お前達の帰りが遅いからって、聖十二使徒の上位に来られたら流石に面倒だしね。.......というわけで、いっちばん私が一緒に遊びたい、黒田君と根元さんは残しておくとして.......他の三人はもういいや。《三重化付与・消えぬ炎》」
「ぐおあああああああっ!?!?」
「熱っ、あ、熱いいいいいいいい!!!」
「たす、助けてくれええええ!!」
「あははははは!!ちゃんと威力は加減してあげたから安心しなよ!《消えぬ炎》は普通の炎とは違って、燃える時に酸素を必要としない特殊な炎だから、息も吸えるよね!その温度なら.......まあ、五分ちょっとで死ねると思うから!」
さあ、楽しいお祭りも終盤だね。
私の目の前には、片手を引きちぎられた二人の男女が、涙を流しながらガタガタ震えてる。
さて、まずは.......やっぱりこっちかなあ?
「ねーねー、根元さん」
「ひっ.......や、やめ、て.......」
「あのさ、『鉄の処女』って知ってるよね?」
「え.......?」
鉄の処女。
女性を模した棺型の人間大の箱の中に、鉄棘がビッシリと詰まっていて、扉を閉められると全身に棘が突き刺さるという、残酷な処刑器具。
「それをさあ.......貴方の為に再現してみたんだけど、どう?気に入ってくれたかなあ?」
「あ.......ああ、あ.......」
「気に入ってくれたみたいだね!じゃあ、中入って?私がちゃんと、扉閉めてあげるから♡」
「や、やめて!ゆる、許して!前世のことは本当に謝るからあ!!」
「お前には、色々とされたね?私のお金取ったし、裸の写真を校内でばらまいたのもお前。トイレに顔突っ込まれたこともあったし、ああ!熱湯を体に注がれたこともあったね!.......そんなことが、謝るだけで許されると思ってんのか?調子乗んなよビッチ」
「い、いやあああああああ!!!」
「ああ、言い忘れてたよ。お前の無駄に高い防御力じゃ、多分すぐには死ねないよ?ちょっとずつ棘がくい込んで、失血死するのを待つしかないね。何時間かかるか分からないけど、まあ頑張って死んでね!」
「嫌だ!嫌だあああああああああ!!!.......あ゛っ゛」
鉄の処女を閉じると、中からは何も聞こえない。そういう風に作ったからね。
「さあて.......じゃあ、最後になっちゃってごめんね?お待たせ、黒田君♪」
※※※
「ああ.......ああああ.......うああああああ!!」
うるっさ。
先に舌引っこ抜いちゃおっかな?でも、それだと喚き声が聞こえなくなるし.......
「おい、誰か助けろ!俺は勇者だぞ!誰かこの化け物を殺せ!殺せよお!うわあああああ!!」
.......この期に及んで他人任せか。
「はーい、助けなんて来ないからねー。あ、もう腕と脚は要らないよね?他の三本も引っこ抜いちゃうねー」
「えっ?.......うわあああ、やめろやめろ、やめてっ.......ひぎいいいいいいっ!?」
おー、随分小さくなっちゃった。
コンパクトになったじゃん。やっぱり時代は小型化だよね。
意味違う?まあなんでもいいや。
「で、どうして欲しいの?苦しませて殺すことは確定してるけど、せめて死に方は選ばせてあげるよ。焼死、溺死、窒息死、失血死.......なんでもいいよ?」
「た、助けて.......」
「だーかーらー、助けなんて来ないし、来たとしても私に勝てないって。喚いて気は済んだ?.......あっ、今すっごい良いこと思いついたよ!殴り殺そう!勿論ちゃんと手加減するよ?手加減してひたすら殴って蹴って、そうやって殺そう!どう?凄くいいアイディアだと思わない!?」
「ひっ.......ひいっ.............」
「あー、でもダメだ。腕も脚も無くて、抵抗する術がないやつを殴ってもあんまり楽しくないや。.......じゃあどうやって.......」
「あ、あのぉ.......リーン、さん」
「そ、そこのお前!誰か知らないけど、助け.......」
「あれ、サクラ君。どうかしたの?」
「え、えっと.......魔王様が、まだ終わらないのかって.......何かあったんじゃないかって、ご心配を.......」
「えっ!?.......あー、ヤバい、時間かけすぎたか.......魔王様を心配させちゃうなんて.......はあ。仕方ない、手っ取り早く殺そ.......」
とはいえ、このままただ殺すなんて論外だ。
こいつには、出来るだけ長く苦しんで死んで欲しい。
どうすれば.......
「あの、リーンさん.......よ、よくわからないんですけど.......リーンさんは、その、その人達が、嫌いで.......苦しめて殺したい、んですよね?」
「ん?.......まあ、そうだね」
「で、でしたら.......その、ご提案が.......」
「え、なになに?」
「僕は、その.......空間魔法の上位.......時空魔法を、使えるん、ですけど.......その中に、対象者の、体感時間を.......強引に引き上げる、というのが.......あって.......」
ふむ。
「この人を、ギリギリ即死しないくらいに、痛めつけて.......体感速度を引き上げて、その痛みを延々と感じさせる、ってのはどうでしょうか?えへへ.......」
.......おおお!
「流石サクラ君!天然無自覚ドS!最後流暢になってたのが気にならないくらいの良いアイディアだよ!ちなみに、その加速はどれくらいまで上げられる?」
「えっと.......百万倍、です」
「てことは、十秒で死ぬような傷を負わせたら、一千万秒.......え、えっと.......つまり.......」
「約百十五日、彼は苦しむことになりますね」
「最高じゃん.......聞いてたー?彼の素晴らしい考えを採用して、お前には四ヶ月くらい苦しんでもらうことになったよ」
「や、やめて.......くれ.......やめてください.......」
「お前には、随分と色々やられたよね?というか、今まで私が殺した、あいつらがやってきたことだって、殆どお前の指示だよね?じゃあ、あいつらよりもずっと、ずーーっと苦しんでから死なないと、採算合わないでしょ?.......じゃ、精々死ぬ程の痛みで死ねない感覚を楽しんでよ」
「うわあああ!嫌だ嫌だ!助けてくれ!助けて!助けてください!!....... あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「あははははは!!あははははは!!いいね!いい叫び声だよ!!.......じゃあサクラ君、お願い」
「は、はい!.......《体感時間加速》!」
※※※
十秒後の黒田は、最早廃人のようになっていた。
十秒で人はこんなに変わるもんなのかってほどに老けて見えて、口をパクパクさせて、何かを言っていた。
「も.......」
「も?」
「も.......殺.......て」
もう殺してくれ、かな?
まあ十分苦しんでくれたみたいだし、もういっかな。
結構気は晴れた。
「.......じゃあ、サヨナラ。来世なんか無いといいね」
「あ゛っ゛.......」
なので、頭を踏み潰して殺した。
「.......よーし、終わった終わった!さて、サクラ君。もうちょっと待っててくれる?最後の仕上げがあるからさ」
「えっ.......?最後の、仕上げ.......ですか?」
「うん、そう。.......あのさ、私、さっきの冒険者を一人だけわざと生かしておいたんだよ。そいつこっちに引き寄せられる?」
「あっ.......はい.......」
一人だけ生かした女。
天眼アルスで見たステータスによると.......名前はジュリア、か。まあどうでもいいけど。
「ひっ、ひいっ.......!や、やめて.......!」
「うん、やめるよ」
「え.......?」
「私の言うこと聞けば、貴方だけは見逃してあげる。.......ちょっと、伝言を頼みたくてね?」
冷静に読み返すとめっちゃえぐい事書いてる自分にちょっと恐怖しました。