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吸血姫と任命

『天女』のミィアとかいう、謎の聖十二使徒に逃げられこそしたけど、無事に都市を一つ攻め落とした。

 生き残り?いたよ?私が全員殺したけど。


 で、そこから進軍して、都市破壊人命搾取しながら首都へと向かった。


 .......そして、アルヴェラ王国攻略開始から一ヶ月後。



「はーい、あんた達、戦闘開始ー。設置されてる砲台も壊してきて。魔術師、結界術師、付与術師は、リーンお願い」

「はーい、了解です」


 ついに私達は、アルヴェラ王国首都での決戦に臨んでいた。

 流石首都なだけあって、結界攻略には時間がかかった。

 うちの結界術師総動員、レインさんの天候操作に私の魔法までフルに使って、三日かけてようやく穴を空けられるだけとか、どんだけ強固な結界なんだよ。


 穴の大きさが大きさだったので、中級以下の兵士は待機、上級以上の兵士と、私、準幹部のシェリーさん、総勢百五十人くらいで結界内部に侵入、結界術師と付与術師を皆殺し、更に結界のマジックアイテムを破壊して結界を解除、進軍。多少の違いはあれど、いつもの流れだ。


「ではリーン様、ご指示をお願い致します」

「はい。.......えーでは、先に私とシェリーさんで先行します。穴は一つだけ、間違いなく遠距離攻撃の集中砲火があるはずです。極力先に殺しますが、後続は注意してください」

「「「はっ!」」」


 そして、決戦の火蓋が切られた―――!



 ※※※



「.......手応えねー」


 作戦開始から僅か三時間。

 首都陥落にかかった時間だ。


 .......どうも連中、私達が結界を破れるとは思ってなかったようで、ろくな準備してなかったみたいなんだよね。

 馬鹿すぎる。戦争は常に最悪を想定することが重要だってのに、魔族だからと見下す。基礎ステータスの差を覚えてない鳥頭か?いや、こんなこと言ったら鳥系の獣人の皆さんに失礼か。じゃあ、人間頭め。


 というわけで、私達の侵入に焦った貴族共。

 しかもあろう事か、こいつら逃げようとしてたんだよ?

 ろくに作戦も伝えず、転移の魔方陣使ってメルクリウス聖神国に逃げようとしてた。


 それを予期してたシェリーさんが、真っ先に城に侵入して魔法陣を破壊してくれたから、誰も逃げられなかったけどね。


 で、私の仕事である魔法系職業の殲滅は完了。ついでにこの国の強そうな連中トップ10くらいの奴らも全員殺しておいた。あとは配下の皆に任せて、休憩中。


「こ、こちらなどいかがでしょうか!?最高級の上物ワインでございます!!」

「ねえあのさ、私の事よく見て?酒飲める歳に見える?」

「ひいっ!も、申し訳ございません!すぐにジュースを.......」

「いらん。もういい、死ね」

「アギャッ」


 今の私?

 この国の貴族を椅子にして机にして、給仕させてる。

 最近のマイブーム。偉い人間を家具みたいに扱って、暴君ごっこするんだけど、これがなかなか楽しい。


「あ、あの.......こうしていれば、本当に命は.......」

「椅子が喋んな」

「ヒッ.......は、はい.......」


「.......リーンあんた、今の絵面かなりやばいわよ」


「あ、レインさん。街の方はどうですか?」

「お陰様で順調よ。貴方が主要な強い連中を皆殺しにしてくれたおかげで、スムーズにことが進んでるわ」

「それは良かったです。皆さんには極力死なないで欲しいですからね」

「.......とてもじゃないけど、人間とはいえ、知的生命体を物みたいに扱ってる女王様が言うことじゃないわね」

「やだなあレインさん。私は吸血()ですよ。女王はお母さんです」

「あっそ。.......まあ何はともあれ、これで国落とし完了ね。ああ、そういえばあんた王族の連中どうしたの?」

「座り心地悪かったんで、ミンチにしました。ほら、そこの炭素の塊がそうですよ」

「.............おおう」


 なんかガリガリのもやしみたいなのしかいなくて、おしり痛くなりそうだったんだよね。

 腹立ったから刻んで燃やした。


「あーでも、なんかこれ飽きてきた.......ぶっちゃけ私、別にSじゃありませんし。偉そうぶってた人間貴族に屈辱を与えるのが楽しかっただけで」

「それをドSって言うんだと思うんだけど」

「だって、魔族やヨミに対してはそういう気持ち湧きませんもの。.......はあ、もういいやあんたら」

「じゃ、じゃあ.......!」

「うん、バイバイ。ドカーン」

「.......ぇ」


 要らなくなったので、小規模爆発で殺した。


「.......きたねぇ花火だ」

「酷いセリフね.......」

「それでレインさん、私に何か御用があったのでは?」

「ああ、そうそう。魔王様から連絡入ってさ。緊急幹部会議開くから、全員戻ってこいだって。その足で、ちょっと早いけどあんたはそのまま魔族領で休暇とっていいってさ」

「え、本当ですか。ラッキー」

「思う存分、ヨミとイチャコラしなさい」

「はい。.......ん?.......ちょ、何をっ!?」



 ※※※



 レインさんと共に魔王城へと戻り、会議室に入ると、既に全員が集まっていた。


「あ、リーン、おかえり!」


 パアッ.......という擬音が見えてくる感じで私に笑顔を向けて出迎えてくれたのはヨミだ。


「.......尊い」

「え?なに?」

「あ、いや、こっちの話.......」


 あっぶね、可愛すぎてちょっと拝むところだったわ。


「.......リーン、イチャイチャしとらんでさっさと座らんか」

「イイイイチャイチャなんてしてません!」


 失敬な!


「.......まあよい。さて、主らを呼んだのは何故かというとじゃな。実は、遂に例の勇者が、戦場へ投入された」


 その言葉で、(何故か)和んでいた周囲の空気は一変し、全員が油断ならない顔つきになった。

 特にヨミは、かなり険しい顔つきをしていた。


「まあ、別にいいんじゃが」


 そして二秒で力が抜けた。


「.......いや、別にいいって.......」

「そうは言うがな?今代の勇者じゃが、平均ステータスが8000にも届いておらんのじゃぞ。聖十二使徒が三人くっついておるが、序列下位の大したことない連中じゃ。ヨミ、リーン、サクラ、グレイ、レインを行かせて、サクラに転移阻害させれば事足りるわ」


 身も蓋もない。

 .......まあ、勇者は何がなんでも私が殺すけどね。


 何せ、今代の勇者は、転生者の黒田新一。

 私を前世で散々いじめやがったクズだ。


 うふふ、どうやって殺そっかなー。

 周りの奴らを皆殺しにしてー、下半身の汚物踏み砕いてー、地面舐めさせてー、爪剥いでー、皮剥いでー、最後は燃やしちゃう?

 んー、でも溺死させるのもいいなあ。撲殺とかもいいかも。殴り殺すのもありかな?いやー、迷うなあ。


「.......おい、リーン?聞いとるか?」

「.......はっ!?あ、ごめんなさい!」

「どうした?なんだか、黒いオーラが全身から溢れ出ておったぞ。買い物前の少女のようなウキウキした顔が逆に不気味じゃった」


 失敬な!!


「.......いや、まあ、それは置いといて.......魔王様、勇者殺しの件、私に任せていただけませんか?」

「む?構わんが.......珍しいな、主が少人数殺しを請け負うなど」


 失敬な!!!

 .......確かに、大規模な戦場で人間蹂躙するのが一番楽しいから、数千・数万人単位の多人数を皆殺しにする戦場に配属してもらえるように頼んでるけどさあ。


「では、勇者についてはリーンに一任しよう。さて、ぶっちゃけここからが本題なんじゃがな」


 .......勇者よりも大事な件って何だ。

 てか、勇者の扱い雑すぎだろ。


「突然なんじゃが.......新たな幹部枠を創設しようと思っておる」


 新たな幹部枠?


「新たな幹部枠.......我々十二人とは別の、ですか?」

「いや。この中からも何人か引き抜く。新たな幹部枠とは、簡単に言えば魔王軍最強の選抜組じゃ。魔王軍幹部は、貢献度によって序列が決まる故、実力の判断が難しい。そこで、純粋に武力のみで人員を選んだ」

「何故そのようなことを?」

「.......まあ、単純に.......今から上げる連中、強すぎるのじゃ。幹部の枠組みから外れるレベルでな。このまま幹部として、普通に仕事させておるだけでは勿体ない。もっと戦場に出して、武力に頼る仕事をしてもらおうと思ってな」


 .......ん?それってつまり.......


「.......書類仕事とかしなくていいってことですか?」

「真っ先に出る言葉がそれか主。.......まあ、幹部の時よりは減るとは思うぞ」


 .......っしゃあ!


 選ばれろ!選ばれろ!選ばれろ!

 もう書類は見たくないんだよ!国落とす時、報告書とかなんやらかんやらで、睡眠を必要としない程強い体なのに死にかけたんだ!もうあんなの嫌だ!


「で、肝心のそちらの人員じゃが。正式発表は後に回すが.......第四席がグレイ、第三席がサクラ.......」


 来い!来い!


「.......第二席がリーン。第一席.......筆頭がヨミ、これで行くぞ」


 .......っしゃあおらああああ!!


「.......どうしたリーン、さっきから百面相して。.......まあ、そういう訳じゃ。主らを、新たな幹部枠.......魔王軍『四魔神将』に任命する。異名の方も後々変えるでな」


「.......王命.......承った.......」

「サクラには後々伝えておきましょう」

「あーあ.......あたしは選ばれなかったかー。まあ歳だし、仕方ないか」

「レインは我々の誰よりも歳上だからな!」

「ルーズ、表出なさい」


「ううっ.......だ、第一席かあ.......」

「大丈夫だよヨミ。私も第二席としてサポートするし」

「リーン.......!」

「それに!もう、書類仕事しなくていいんだし!」

「本音そっち!?」


「言っておくが、幹部の時よりは減ると言っただけで、ない訳では無いぞ」


「えっ」

勇者をボコボコにするのは数話先なので、もう少々お待ちを。

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