表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/248

吸血姫と適性、そして凶報

思いつきで微百合展開入れてみました。


「はいそうです、そこの魔力を先に.......ああ違います、そこは.......そうです、その調子。さあ、これで大丈夫なはずですよ」

「《そよ風(ソフトウィンド)》!」


 そう私が言うと、教室内でフワッと風を感じた。

 これは.......


「成功です、リーン様。流石の習得速度、お見逸れ致しました」

「よっし!やっと出来た!」


 苦節1時間、あーでもないこーでもないと術式編纂を習い。

 そして漸く、魔法の習得に成功した。


 魔法。

 前世では夢物語でしかなかった、超常の力。

 それを、たったひとつだけ、最弱級のものとはいえ、習得に成功したんだ。なんだか感慨深い。


「一度成功した魔法は、その後自動的な術式編纂をする事も可能です。試しに魔力を込めて、もう一度、今度は名称だけ唱えてみてください」

「えっと、じゃあ.......《そよ風(ソフトウィンド)》」


 すると、確かに術式編纂をした気はしなかったのに、風を感じた。


「無論、全ての魔法ではありません。あくまで、自動発動に設定した魔法のみであり、その数は個々人の才能によります。私ならば40です。リーン様も恐らくそれくらいかと思われます」


 成程成程。


「ありがとうございます、ティアナさん。これからもよろしくお願いします.............でも最初のみたいなのはやめてください」

「最初のものは、残念なことに魔王様に禁じられてしまいましたからね.......。ちゃんと真っ当に教えさせて頂きます」


 出来れば最初から真っ当に教えて欲しかった。


 でも、流石は『賢者』というべきか、ティアナさんの教え方はとても上手かった。

 私が早く習得出来たのも、ティアナさんの影響が大きいんだと思う。


「じゃあ、次のステップに参りましょう。まず、リーン様は風の適性があったようですが、他の属性の適性を調べます」


 .......ん?


「えっと、人によって使えない魔法があるんですか?」

「いえ、誰でもやろうと思えば全ての魔法が使えます。ただ、その人の魔法適性によって、習得までの時間が変わってくるのですよ。ですので、それを調べさせて頂きます」

「あれ、なんでそれ一番最初にやらなかったんですか?」

「リーン様.......と言うより、吸血鬼族は、先天的に風系統の属性に対する適性を備えている種族なのですよ。ですので、風属性の魔法を一旦習得して頂いた方が、モチベーションが上がるかな、と」

 

 へー、吸血鬼って風属性適性持ちだったんだ。知らなかった。

 風属性といっても、それは多岐に渡る。極論、雷属性だって風属性の派生なのだ。


「では、失礼致します」


 そう言ってティアナさんは、私の顔に自分の顔を.......近づけ...............て.............


「ティ、ティアナさん!?何しようとしているんですか!?」

「何って.......適性の測定ですよ?」

「いやそうじゃなくて!」


 だってこれ、傍から見たら.......キ.......キス.......的なあれに見えるんじゃ.......


「適性の測定で1番早い方法です。ご理解を」

「ちょっと.......あの.......」


 逃げようにも、頬をがっちりホールドされてて逃げられない。

 ちょっ.......私のファーストほにゃらら.......!


 .......うわっ、ティアナさんまつ毛長っ.......。

 改めて見ると凄い綺麗な顔してるなあこの人。

 流石エルフの女王と言うべきか、同性の私でも魅了されてしまいそうな美人だ。

 あとなんかいい匂いする。凄い落ち着く香り。でも香水の匂いとかじゃなくて、なんというか、大自然を感じるような香り.......。


 あれ、なんかこう、熱い気持ちに.............。

 一番初めが美人なエルフか.......なんか、悪くない気分に.......



 ―――コツン。



「.......え?」

「あ、暫くじっとしていてくださいね。ふむ.......ふむ.......はい、分かりましたよ。どうやら、元素魔法に関しては四大属性全てに適性があるようです。土属性が若干低いですが、問題ありません。また、回復魔法の適性も高い。これは羨ましい、私は回復系は丸っきり才能がなかったんですよ。他にも、付与魔法や闇魔法への適性も素晴らしい。.......逆に、光魔法と結界魔法に関しては、まったくと言っていいほど適性がありませんね」

「.......えっ」

「ああ、先程のは、適性検査の最も簡単な方法ですよ。()()()()()()()()()だけ。つまり脳を近づけて魔力を感じやすくするんです。その流れで適性を測るのです.......リ、リーン様?どこへ行かれるのですか!?」


 畜生!

 ティアナさんなんてキライだ!



 ※※※



「.......えっと、落ち着かれましたか?」

「.............はい、すみませんでした」


 新しい扉を開きかけて、猛烈に恥ずかしい思いをして、逃げ出した数分後、私は無事にティアナさんに確保されていた。


「何故あのような行動に至ったのかは分かりかねますが、体調が悪いようなら.............っと。申し訳ございません、魔王様から連絡が...................ふぅ。.......リーン様、魔法訓練は一旦中断です。魔王様から緊急の呼び出しが入りました。リーン様も連れてきて欲しいとの事です」

「魔王様が?」

「はい。既に空間連結は済んでおります」


 教室の扉を開けると、確かに別の場所に繋がっていた。

 ただ、前と違って、会議室みたいなところだ。

 もう既に幹部はティアナさん以外集まっていて、円卓に座っている。


「来たか。ティアナ、リーン、早く席に着け」


 そう言われて、慌てて用意されていた席に座った。

 ティアナさんも幹部第三位用の席に着席していて、これで円卓が全て埋まった。


「.......揃ったな。緊急の呼び出しをしてすまんかった。非常事態が起こったのじゃ」


 その一言で、元々緊張感に包まれていた部屋の雰囲気がさらに険しくなった。

 あの魔王様が非常事態と言うほどだから、余程のことなのだろう。


「.......つい先程。イスズ様より神託を受けた。その内容じゃが.......」



「数時間前.......『勇者』の、心の崩壊を確認したそうじゃ」

ご安心召されよ。

吸血姫の本命は勇者であるがゆえ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 浮気は駄目だからね
[一言] ゆ、勇者ちゃーん!!!;; 更新をのっそり追いかけてますが、やっぱり大変な展開になってきてますね…。楽しみに追わせていただきます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ