表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/248

吸血姫と魔王

 部屋を出て最初に驚いたのは、入ってきた時と部屋が違ったこと。

 .......いや、うん。だってね?私が待機してた後ろのこの部屋、扉がひとつしかないんですよ。

 だから、一旦ここから出て、別の部屋に向かうのかと思ってたら、部屋出たらそこが魔王の間でした。


 なるほど要するに空間魔法(デタラメ)だ。空間魔法のひとつに、空間置換が出来る魔法があるんだろう。多分それ。

 つまり私は、ほとんど心の準備ができていないまま、魔王の前に単身放り出された訳だ。


 魔王の間的なところなのだろうこの部屋は............あれ、なんか魔王の間感無いな。

 暗くないし、薄気味悪い電灯はついてないし、紫色の絨毯も敷かれてない。当然、「なんでこれ主人公スイスイ進んでんだよ」とツッコミたくなるような細い道もなく、煉獄の炎的なのが下にあったりもしない。

 むしろ明るいし何となく落ち着く感じの電気がついてるし、絨毯は.......あ、絨毯は真っ黒だ。


 そして目の前には、11の影。

 その内10は、5名ずつで左右に分かれていて、その中にはいつの間に移動したのか、さっき私を案内してくれた、ティアナさんの姿もある。

 恐らくあの人達が、魔王軍の10人の幹部なのだろう。


 そしてその奥。数段の階段の先にある大きな椅子に座っている影。


 あれが、あれこそが。私達魔族の頂点。

 ―――『魔王』。


 人間が最も恐れる存在にして、邪神.......イスズ様の眷属。

 並の勇者の数倍の実力を持つ、世界最強の一角。

 その『魔王』が、私に語りかけてきた。


「.......お主が、リーン・ブラッドロードか?」

「.......え?あ、はい!」


 相手は『魔王』。

 イスズ様が認めた、私達魔族の王なんだ。


 事実、今―――()()()()()()()()()()、反射的に跪いてしまった。

 それが当たり前であるかのように。それが自然の摂理であるかのように。

 今の言葉にこめられていたのは、まさしく.......『王者の威厳』だった。


「よい、楽にせい。主のことは、(わらわ)もイスズ様よりおおよその話は聞いておる。主を歓迎するのじゃ、リーン」


 そう言って、私に微笑みかけてくれる魔王。

 今の私では、戦えば手も足も出ないどころか出そうとする前に殺されるであろう、圧倒的強者。

 魔王は、女性だった。綺麗な金色の髪を背中まで伸ばして、そして、私達吸血鬼と同じような、赤い目をしていた。


「では、改めて名乗らせてもらおうか。妾が『魔王』、フィリス・ダークロードじゃ」


 そう名乗った魔王のその姿は.......そう、まるで―――



 ..................ロリっ子。



 .......うん。ロリだった。

 前世のラノベとかじゃ、結構ありがち。だけど、ここは現実なんだから、んなはずないと思ってたんだけど.......

 正直、魔王って言うから.......デス〇サロとかはないにしても、ドルマ〇スくらいのが出てくると思ってた。


 しかも喋り方からして合法ロリ。合法ロリだよ。しかも一人称妾!

 なんてこった、実在していたのか、ロリババア魔王。

 やっべぇ、前世の微妙なオタク気質がここで火を吹きそう。頭ナデナデしたい。

 .......って、何を興奮してるんだ私は。


「ありがとうございます。非才の身ではありますが、魔王軍の勝利の為、尽力したいと考えております」


「おお、ティアナが言っていた通り賢い子供じゃのう。じゃが、そんなに気負うでない、妾は堅苦しいことが苦手なんじゃ」


 .......堅苦しいこと苦手なんだ。魔王なのに。


「吸血鬼の里でのことも耳にしておる。お主の決意についてもな。それで、主自身には、我ら魔王軍に加入する意志があるのか?」

「.......はい。私だけでは、人類を殺し尽くすなど到底出来ません。魔王軍の方々の御力が必要と愚考しております」

「そうか、分かった。では主の魔王軍加入を認めよう。元々、イスズ様に主を任されておるしな。暫くはティアナに面倒を見てもらうとよい。良いな、ティアナ」

「もちろんでございます、魔王様」


 ティアナさんが私の担当になってくれるんだ。

 面識のある人、しかも幹部を私につけてくれるとは、優しいな、魔王。


「ではリーンよ、聞いての通りじゃ。暫くはティアナの元で戦う技術を磨け。格闘術を学ぶのも良いが.......此奴はエルフ族の女王でな、魔法の技術が非常に高い。主の職業(クラス)は『復讐者』じゃったな?魔術師系程ではないが、あれも多少は魔法適性に対する補正がかかる。魔法を学ぶも良いじゃろう」


 この世界では位の高い者しか持てない『名字』を持ってる時点で察してはいたけど、やっぱりティアナさん、王族だったんだ。


「何から何まで、ありがとうございます。私も魔法については興味があったので、学んでいきたいと考えています」


「そうかそうか。よし、妾からの話はこれでひとまず終わりじゃ。.......で、主から何か聞きたいこと等はあるかの?大抵のことならば答えてやれるぞ」


 また質問コーナーか.......

 ここで何か質問をしないというのも、何だか勿体ない気がする。

 多分、これが終わったら魔王.......いや、もう上司だし、魔王様か。魔王様に会う機会なんて、そうそうないだろうし。


「.......えっと、じゃあ.......魔王様って、成長なさってるんですか?」

「...................最初の質問がそれでいいのか?」


 いや、だって.......気になるし。

 魔族って、寿命が長かったり、見た目が全然変わらない種族が結構いるけど、生涯をロリのまま終える素敵な種族の存在は聞いたことがない。

 魔王様の種族が何かは.......いや、察しはついてるんだけど。


「.......妾はイスズ様の加護によって、成長が停められておる。じゃから、寿命が存在しないし、これ以上見た目が変わることも無い」

「えっとじゃあ、このままずっとロリってことですか?」

「ロリの段階にすら達していないような小娘が聞くことか!?」


 おお、そういえば私、5歳児だった。ロリどころかぺドだったよ。


「はあ......真面目な娘だと思っていたのじゃが、此奴()クセが強いタイプか?.......ん?.......おいアロン、何を笑っておるか!」


 あれ、なんか1人、完全にツボに入ってる。 幹部の、アロンって今呼ばれた.......獣人族かな?獣耳としっぽ生やしたお兄さんがめっちゃ笑ってる。

 .......いや、これ爆笑してるのが一人だから目立たないだけで、他の幹部も結構な数笑いを堪えてる人いるな。ティアナさんも肩がカタカタ揺れてるから、必死で耐えてるんだと思う。


 あ、魔王様が獣耳お兄さんに掴みかかった。

ふと見てみたら、100ptをゆうに超えていました、ありがとうございます!

この調子で進めていきたいと思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ペドでもあってはいるけれど、ロリータと書かれているので、正確にはハイジ。 [一言] 結構面白いです
[良い点] いい感じに話が進んできましたね! 続きが楽しみです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ